ココ の ブログ

梅雨入り(1)

梅雨入り(1)

 例年よりも12日も早く露に入った。関西は昨年と比べると18日も早いそうである。うっかり気がつかず「まるで梅雨のような長雨だな」と独りごとを言うと「昨日、梅雨入り宣言があったわ」と出迎えた妻が言った。「へえ、知らなかった。道理でジケジケする訳だ」と工事現場から戻って傘を玄関脇の傘立てに立てながら返事をした。車を車検に出しているので今日は電車で現場へ行ったのだ。予定では未だ本格的な工事には入らず準備中なので車検に出したのだった。雨天の日は工事は無いと聞いていたのに現場から電話があり、役所の担当者も来ているとの事で何事かと急きょ現場へ向かったのだ。車だと1時間半の処を電車だと遠回りだから2時間近く掛かった。それでも乗り継ぎのタイミングは良い方だった。

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 現場に着くと役所の担当者は既に帰ってしまって居なかった。「今日は何の工事をやっているの?」と訊けば、耐震補強のブレースの基礎部分を掘削して既存の地中梁のサイズを点検しているとの事だった。雨でも工事をやるという連絡を受けていなかったから「工事をする時は事前に連絡をくれる事になっていた筈だが」と監督に訊くと「すみません」とだけ言う。「それで、呼び出しの理由は?」と訊けば「設計図では既存の地中梁天端のサイズが少ないので、あと施工アンカーの埋め込みが足りなくなるので相談しようと想って・・・」「その事は電話で、来週の月曜の定例会議でも間に合うから良いという事だったのでは?」「そうなんですが、気になるものですから・・・」とボソボソと呟くように言う。

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 それよりも、現場事務所も出来ていず、仮設の電気も水道も入っていない状態なのだ。「役所の担当は何を言っていたの?」と監督に訊けば「別に何も。学校側と何か打合せがあったみたいですヨ」とだけ言う。そこで確認の意味で役所の担当に電話を入れ「今、現場に居ますが、何か用事でもありました?」と訊いてみた。「現場にあなたが居ないので訊いてみただけ。何時になったら仮設電気は入るの?」とためぐちで返事するではないか。「今日は工事の予定は入って居なかったので・・・、電気は業者に早くしろとは言っているのですが、現場事務所もコンテナ・ハウスを置いただけで使えず返事待ちの状態です」「業者には強く言って下さい。電気が入らないと仕事にならない。メールが出来るのは何時からか訊いて下さい」

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 他人ごとのように言う。業者に指示をするのは業者と直接契約している役所の仕事じゃないのか、と言いたいところだったが、ぐっと抑えて、その旨を契約書類に書いてあるから業者が直ぐに動くと想っている処が若いなと想った。海千山千の業者を動かすのは容易な事では無いのだ。監理者は工事の進捗状況の把握と検査が仕事だから業者のお守までやって居られない。手練手管を使って業者を動かすのは慣れているが、田舎の業者は鈍臭いから一筋縄では行かず、事の理非を言ってやっと納得する程度だ。それでも、監理業務に支障が出ても困るから「役所の担当者が怒っているヨ。早く事務所が使えるように強く言えと言っている。何時から電気が入るの?パソコンやコピー機や電話も何時から?」矢継ぎ早に言った。

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 すると監督はやっと重い腰を上げて携帯で会社と話を始めた。工事契約をして半月ほど経つのに現場事務所が出来ていないのは矢張り鈍臭い証拠である。暫くして会社から返事を得たらしく「6月の初日には電気が入るそうですから、パソコンなんかはそれ以後ですネ」「役所の担当者は現場に度々来れないので毎日メールでやり取りをしたいそうだ。出来るだけ早く手配をしてやってくれヨ」とキッパリと言うと「分かりました」と神妙に返事をする。折角、雨の中を現場まで来たのだから地中梁の横を掘削した処をスタッフ(箱尺)を立て、部位を記した看板を入れて工事写真を撮らせた。それを帰宅してからメールで役所担当に送っておこうと想うのだ。これまで定例会議の議事録は毎週メールで送っている。

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 現場事務所の電気の事も伝えておけば安心するだろう。現場が本格的に動き出せば役所担当は来ても来なくても状況を写メールで送っておけば安心出来る筈である。検査も監理者のボクが実施して書類に残すから問題は無い筈である。要するにスタートがスムーズに行っていないので業者に不信感を抱いているのだろう。大体、田舎の弱小業者なんてものは段取りが悪いのは付き物だ。それをイライラしたところで工事が進む訳ではない。全体の工程表通りに進めば問題なく完了する筈だから定例工程会議でチェックすれば良いのである。ボクはそう睨んでいるから取りあえず来月から本格化するだろう。業者や役所担当のお守まで出来ないから淡々と仕事を進めるだけの事である。何も難しい仕事では無いのだ。(つづく)

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