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一年目の福島原発事故(6)

一年目の福島原発事故(6)

 東北大震災一周年追悼記念式典を観て白けてしまった。観る前から感じて居た事だが、二万人近い津波犠牲者と福島原発事故の犠牲者の鎮魂式典という美名の下に挙行された巨大なガス抜きの為の様な式典であった。亡くなった人々やその家族には気の毒な気がするものの、この式典で総てが終わったという感じがしてならない。表面上は神妙そうな顔をしながら平然としている政府や東電の関係者達は、明日から原発事故の責任と罪の追及が始まる事を覚悟すべきである。東北人は遅まきながら国と東電に対して集団訴訟を開始するだろう。多分、数十年は掛かる裁判になる筈だ。責任者は代が替わって後任の責任者が他人事の様な気持で業務を受け継ぐだけだろう。福島原発の事故さえ無ければ東北大震災はもっと違った解決の方向に向かった筈である。返す返す残念でならない。悔やんでも悔やみきれない想いがして、この怒りを何処へぶつければ良いか複雑な気持ちである。

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 水俣の水銀中毒事件やその他の公害の犠牲者が長期の裁判で手にした勝利は、空しいものではあったが、うやむやにせず国や企業に責任を取らせたという事実を忘れてはならない。原発事故に依る損害賠償や精神的苦痛は測り知れないものがあり、既に始まっている病気への不安も付いて廻るだけに戦争責任と同じだけの重さがある。政府や東電(国内の電力会社全社)は逃げて済む問題では無い事は知っているのだ。だからこそ固唾を飲んで国民や批判者の動向を覗っているのである。世論の反撃が一番怖い。ガス抜きをする事で対面を採りつくろうとしているのである。それらを静める為の作用として皇室を利用し、哀悼の意思表示をする事で政府は「言うだけ番長」の役割を平然と続ける。ブログで何度も同じ事を書いて来て虚しいが、それでも言わねばならないのだ。黙ってしまうと彼等の思う壷になってしまう。国民運動で彼等の責任追及と補償をさせねばならない。

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 昔から東北は哀しみの土地であった。宮沢賢治のイ―ハト―ブ(ロシア語で岩手{いはて}の事を読み露わす表現)の国は「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」の世界であった。貧しい人々が苦しみを乗り越えて農業に従事し、近代日本を夢見て来た処であった。宮沢賢治が生まれた頃(1896明治29年)に「三陸地震津波」や「陸羽地震」が発生し、東北地方に多くの災害をもたらした。そういう影響下にあったかの地で育った宮沢賢治の眼には貧しい人々の生活が焼き付いていた事だろう。昔から貧しい土地であった東北地方が今日も同じ様に貧しいまま放置され、安い労働力と恵まれた自然の水や空気が近代国家日本の発展の犠牲になって来た事は日本人なら誰もが知っている。一年前の東北大震災を知って子供の頃、母親が買い与えてくれた宮沢賢治の童話集を読み漁った風景が浮かび上がったのだった。又しても東北地方に不幸が襲ったのだ。

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 そして更なる不幸・原発事故という悪魔が東北地方を襲い、踏んだり蹴ったりの状態に、よくぞ人々は我慢しているものだと驚き呆れたのだった。関西人のボクなぞには想像も出来ない忍耐力である。とてもじゃ無いが、そういう土地にボクは暮らす事なぞ出来ない。千年もの王城の地であった京都に生まれ育って過酷な自然災害から程遠い生活しか知らない人間に「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」の生活なぞ分かろう筈も無い。それでもメルヘンの世界として心優しい少年が苦労する母親を想う詩は響きの良い歌であった。早くに亡くなった役人をしていた義弟なぞは「宮沢賢治全集」を書棚に取り揃えていた。亦、従姉妹の夫で矢張り役人をしていた男も宮沢賢治が好きだったのか定年退官して亡くなる前年に夫婦して宮沢賢治の世界に旅行した。彼等に共通する趣味というか文学には哀しみが漂っていた。人の苦しみが分かる人間に宮沢賢治が共感を呼だのだろうか。

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 たまたま世界の自動車産業を支える部品工場が東北地方にあった為に世界の自動車産業が被害を受け、生産がストップした時期があった。それを何とかバックアップしようと世界から技術者が東北地方に集結して、6カ月は掛かるだろうと言われた復旧工事が僅か3ヶ月で出来上がったという。今や東北の地にある工場も日本だけのものでは無いという事だった。世界が東北に注目し全体の復旧を願っているのに、肝心の政府は「言うだけ番長」で原発事故の解決策も震災跡地の復旧策も何も持たないのだ。震災一周年追悼記念式典を挙行したからガス抜きが出来たと想い上がるなと言いたい。今では瓦礫の整理整頓や家屋の解体作業等で復興需要という好景気に沸く東北のある繁華街は、新宿歌舞伎町以上に繁盛し活況を呈しているという。我々関西の一般人には遠くて無縁の事だが、ゴールド・ラッシュに沸いた西部劇の様に想え、当面は荒くれ男達が暗躍するのだろう。

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 ところで最近、入ってきたニュースで、スコットランドがどうもイギリス連邦から離脱して独立するそうだ。未だ決定はしていないが、これでイギリス連邦はウェ―ルズとイングランドだけに成り極端に弱体化し、アメリカの凋落を受けて更に世界の弱小国に転落すると言われる。いよいよ米英帝国の崩壊とBRICの台頭が具体的になって来た訳だ。日本は、北海道と本州と九州、四国の四つの島から成る国だが、多分、夫々が独立をするという事は考え難いものの、道州制が具体的に成って来れば夫々の首長が強く主張し始め、いい加減な現在の政府なぞ吹き飛ばされてしまうかも知れない。現に「大阪維新の会」に観る様に、将来の日本の姿を模索する新しい勢力が台頭して来ていて、旧勢力が必死に成って潰そうと躍起になっている。今の国会議員は程度が低すぎる。地方政府(自治体)の長の方が優秀な人材が多く、沖縄も県には成ったが、かつては独立国であったのだ。(つづく)

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