ココ の ブログ

諦観(3)

諦観(3)

 ボクの様な小さな設計事務所を持っている建築家は五万と居る。が、年齢的な事もあり、仕事もそろそろ切れ始め、後継者も居ないとなればボチボチ廃業しようかという気持ちになる。が、せめてあと数年は健康の為に現役で行きたいという気もある。それと、毎日家に居て日曜日の様にブラブラしているのが苦痛で外に出ていると言うのもある。先述した様にアメリカ経済に翻弄されてリーマン・ショック以来、クライアントが銀行の貸し渋りや事業の先行き不安から設備投資を控えると事務所は直ぐに干上がってしまう。年金で細々と生活して居る仲間が多い中で、それでも事務所の維持費を稼ぐ為に止められないのもある。事務所の若いスタッフが黙々と文句も言わずパソコンと睨めっこしながらキャドを動かしいるからだ。

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 そんな事務所が多いご時世だけにアトリエ事務所なぞは潰れているのと同じ状態である。民間の仕事だだけでは喰えないから役所の仕事もしている設計事務所は何とか食い繋いではいるが、面白い作品は殆ど生まれない。クライアント(役所も含む)に経済的余裕が無いのだ。一人でやっている事務所は言わば何処かの事務所の下請けである。スタッフの多い事務所が忙しそうにしているのも下請け事務所だろう。大手以外、自前でやって行ける事務所は殆ど無いのが現状だ。かつて大きな組織に居た頃の馬力は今はもうボクの中から消えてしまった。大組織と言う後盾が無い以上、建築家としてのスター性が無ければ消えるしか無いのだろうか。せめて事務所の若いスタッフの行く末を心配して経費を稼ぐ位なものだ。

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 こういう社会状況でボクのような建築家が出来る事と言えば、せめて若いスタッフを建築家の卵から抜け出させ、そこそこの人間に育てるか、それともボランティア活動をするかだろう。当初は数寄屋が好きで始めた設計なぞ趣味でやるしかないと恩師に言われ、商売としての設計は商業施設(料亭や旅館)が低迷している以上、近年では望めず、個人住宅は殆どボランティアの域でしかやって来なかったからマンション設計が多かった。公共施設の新築も時代の流れで殆ど無い状態だ。役所の仕事と言えば改修や耐震補強が今の時代の流れになってしまって、大阪府庁も財政難で黒川紀章設計の府庁舎は建たず、丹下健三設計のタワー都庁は100億もの財源を自治省の宝くじから得たから時代が良かっただけの事だ。もうそのような時代は来ないだろう。

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 運が人生を決定するのだ。良いクライアントに出逢うのも、経済情勢が良い時に能力を発揮出来るのも総て運だ。付いている人は何処までも運に乗り、付いて居ない人は何時までも運に見放される。不公平と言う積りはないが、人生、総て運で成り立っている。が、運に乗れるのも実力の内だろう。運を掴めない人は運の女神に見放されているのだ。というよりも運の女神には後ろ髪が無く前髪しか無いから、それと気が付けば素早く前髪を掴める人だけが運に乗れるという訳で、要は瞬間に見極める能力が有るかどうかの問題だ。悠長に構えて居ては駄目なのだ。生き馬の目を抜くだけの器量が無ければ諦める事だ。だから、綺麗ごとを言って居たり他人がどう想うだろうと躊躇している様では目は無いのである。

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 それには体力も必要だ。フットワークができなければ瞬発力も出ないだろう。勿論、脳の活性力をフルに高めておくのも必要だ。常にアンテナを張っておき情報を分析出来るだけの訓練もしておかなくてはならない。要は自分を中心に如何にアピールし認めさせるかの問題である。ひっ込み思案では駄目なのである。謙譲の美徳なぞ平安時代の貴族の遊びに過ぎない。そのくせ、あの時代は生々しい殺し合いをしていたのだ。自分では手を下さず命令で陰謀は達成されていたからこそ、貴族連中は権力に擦り寄ってロビー活動ばかりしていたのだ。それを面白おかしく美しくロマンある物語にしたのが源氏物語であった。ドン・ファンなぞカムフラージュでしか無かった訳だ。当時の権力者であった藤原氏はモデルとして光源氏を創出した。

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 後の世では似たような権力者としてヨーロッパで、出自こそ違うもののロスチャイルドというドイツのゲットー生まれの一家を生みだすのである。ロスチャイルドについては世に多くの研究書が出ているから誰でも表面的な概要は掴む事ができる。しかし、歴史は書かれない部分にこそ大切な事実があるものだ。無関係な処に彼等の事が書かれていたり出てきたりする。実態は世界経済だが、政治は勿論、文化面にも学術面にも現れる事があったり縁戚関係があったりする。人間関係のネットワークが世界中に張り巡らされているのである。無関係と想われる日本にも中国にも古くから彼等の触手は伸び、縁戚関係を創り上げて来ているのである。ゲットーで生まれた一家の兄弟の血がヨーロッパに広がり、植民地にも広がり、世界中に浸食して行ったのである。(つづく)

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