株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

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寄付行為の控除



昨年の一年間を表す漢字は「災」でした。本当に災いの多い年でしたね。今年はそんなことがないように気をつけ、対策を練っておきたいところです。先日、日本赤十字社に約10億円の寄付をした老夫婦の話がメディアで報道されました。ここまで大きなものでなくても、今年は国内外で起きたさまざまな災害に対し寄付をされた方が多いと思います。このような善意の寄付に対し、国が税制優遇措置を設けているのをご存知でしょうか?

税法では寄付行為を奨励する観点から、寄付金に対して税金を一部免除する特例を設けています。
かといって、寄付金ならなんでもいいということになると、脱税の温床になりますので、寄付金控除の対象となる特定寄付金を限定列挙しています。
 1)国や地方公共団体に対する寄付金
 2)公益法人等に対する寄付金で財務大臣が指定したもの
 3)日本赤十字社、日本育英会、国際交流基金など特定の公益法人に対する寄付金
 4)民法の規定によって設立された法人のうち一定のものに対する寄付金
 5)学校法人や社会福祉法人に対する寄付金
 6)公益の増進に著しく寄与する特定公益信託の信託財産とするための寄付金
 7)政治活動に関する寄付金で一定のもの

 なお、私立学校や、特定の個人、任意団体などへ寄付は、寄付金控除の対象となりません。
 さらに、学校の入学に関してする寄付金や、政治資金規正法に違反するもの、寄付した者に特別の利益が及ぶと認められるものは、寄付金控除の対象となりません。


 税法の説明は少々わかりにくいのですが、日本赤十字社、日本ユニセフ協会などはよく耳にされると思います。なお、学校の入学に関してするもの、政治資金規正法に違反するもの、寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められものは適用外となります。

 ちなみに、寄付金控除は医療費控除などと同様、会社の年末調整では処理を受けられないので、サラリーマンの人も自分で確定申告する必要があります。寄付金控除は、扶養控除などと同じくその年の所得金額から控除する形で、税金が減免されます。
 控除額は、「次のいずれか低いほうの金額 ― 1万円」となっています。 
 イ)その年に支払った特定寄付金の合計額
 ロ)その年の総所得金額等の25%相当額

 つまり、1万円以下の寄付金であると、寄付金控除は受けられません。
 寄付金控除を受けるためには、寄付を証明する書類(領収書など)を確定申告書に添付するか、申告書提出時に税務署に提示する必要があります。しかも、寄付金控除は「所得控除」なので、所得が330万円以下(税率10%)の人が5万円寄付したとしても、実際に節税できるのは(5万円-1万円)×0.1=4,000円となります。ここまで読むと「えー、これじゃあ寄付金控除を受けるのって結構面倒じゃない!」と思われる方もいるでしょう。ただ、寄付金控除を受けるために寄付をするというのは全くもって考え違いです。寄付行為は善意で行うものですから、せっかくだから確定申告をしてみたら還付金が受け取れた、というスタンスがよいのではないでしょうか。ちなみに、政治活動に関する寄付金で一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選ぶことができます。これは政治家に有利なように政治家が自らの寄付金を多くするために決めた措置です。こうした災害援助的な寄付も税額控除にすべきですね。絶対!!


 ここまで国が規制を多くするのは、寄付金控除制度を利用した脱税行為を防ぐためですが、活動内容に賛同して善意で寄付をしたNPO団体が国から承認を受けていなければ、寄付金控除の対象にならないといった現象も起きています。個人が善意で寄付をする場合、その団体に税金優遇があるかどうかということに重点を置くことはあまりないでしょうが、寄付金控除を見据えた結構大きな金額を寄付する場合は考えないといけないでしょう。また団体を運営する側としてもこれは大きな問題となります。先日私が阪神大震災でボランティア活動をしていたことを話したかと思いますが、東京で企業から寄付金を募っても寄付金控除になるかどうか、で足切りされてしまうケースがかなりありました。企業側の意図も分かるため、しょうがないのですが、何とかならないものかともどかしい思いをしたものです。結局は赤十字社などへは寄付ができるが私どもには寄付をしてくれない、すなわち我々が届けたかった毛布や食料などの購入資金は集められず、現物給付の形でもらうのが精一杯だったのを覚えています。

 こういった声を受けて、12月15日には発表された「平成17年度税制改正大綱」では、寄付金控除枠の拡大(控除限度額を総所得金額等の25%→30%へ)が上げられていましたが、認定NPO法人の認定要件などは来年の検討課題として持ち越されることになりました。
 寄付行為を奨励する税制でありながら、いろいろと問題の多い寄付金控除制度。『災い』の多かった2004年の経験から、よりよい方向へ改革されていくことを期待したいものです。


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