株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

ソフトバンク



ソフトバンクは10月1日付で、今年買収した携帯電話事業会社、ボーダフォンを
ソフトバンクモバイルに、2004年に買収した固定通信大手、日本テレコムを
ソフトバンクテレコムにそれぞれ社名変更する。グループ通信事業のブランドを
ソフトバンクに統一し、通信の巨人・NTT、au携帯で絶好調のKDDIへの追撃
体制を整える。同日付でソフトバンクの孫正義社長が、ソフトバンクテレコムの
社長を兼任し、グループ主要通信会社すべてのトップに孫社長が就く。これに
より携帯電話と固定電話、ブロードバンド通信の融合サービスなどの提供に向け、
孫社長の号令一下、グループ各社が機動的に連携できる布陣を築くことになる。

それに先立つ28日、ボーダフォンの「06年秋・冬『新プロダクト&サービス』説明会」
で10月以降15機種64色の新機種を順次投入することを明らかにした。会社側は、
多くの新機種を順次投入することで選択肢が少ない現状を一気に変えていく
方針だ。しかし、それはなかなか容易ではないだろう。通信業界ではNTTが
売上10兆円超で、固定通信の設備ベースのシェアで9割超、携帯電話でも
過半数のシェアをもつ。KDDIも高収益を保ち、両社に対する市場の評価も
高いからだ。

ちなみに10月から発売するのは、光学3倍ズームのカメラが付いたシャープ
製の端末や、Jフォン時代以来の取り引きとなるパナソニックモバイル
コミュニケーションズ製の端末など13機種。新製品群は端末の薄さにこだわり、
とくに韓国のサムスン電子製の折りたたみ式端末は、薄さ12.3ミリを実現。
ソフトバンクによると、日本国内で販売されている第3世代(3G)の端末としては
最も薄いという。

孫社長は「(ボーダフォンを)買収したときにすでに何機種かの端末は用意されて
いたが、もっと品揃えを、もっと端末を薄くと毎日のようにメーカーと交渉した。
ボーダフォンは端末とコンテンツが少ないと批判されたが、それを一気に変えて
いく」と語った。そのうえで「実はあと2機種、隠し玉が出てくる。今日は内容を
言わない」などと述べた。また、広告の新キャラクターに、ハリウッドの人気女優、
キャメロン・ディアスさんを起用。女性ファン獲得を狙いに、米人気男優、ブラッド・
ピットさんのCM起用も検討するなど「かっこ良さにこだわる」(孫社長)姿勢を打ち
出した。

さらに、ソフトバンクグループのインターネット事業大手、ヤフーと連携。10月1日
から新型携帯に搭載した専用ボタンを押すだけで、ヤフーのネットサイトに
つながるサービスを始め、同一IDで携帯とパソコンの両方でヤフー・メールなどを
自由に使えるようにする。従来の携帯のネット接続サービスでは、情報を見る
のに数百円単位で課金されることが多いが、ソフトバンクの携帯ならヤフーの
パソコン向けの無料サービスを手軽に利用できる。最大の弱点の通話のつながり
にくさについても孫社長は「基地局増設が順調に進み、日常の使用に支障がない
レベルになっている」と強調。NTTドコモなどライバル追撃に自信を示した

これに対し、ソフトバンクの株価は、年初から下がり続けている。シェア低下に
苦しむボーダフォンを今年4月に約2兆円という巨額で買収するや、財務内容
悪化を懸念する声が高まり、1月に5190円まで上げた株価がこのところは
2000円前後と半値以下という状況だ。証券会社も相次ぎ評価を下げ、リーマン・
ブラザーズに至っては目標株価を900円に設定した。

また、10月24日に導入予定の番号を変えずに携帯電話事業者を乗り換える
ことができる番号ポータビリティ制に向けた各種調査では、ソフトバンクの劣勢が
伝えられている。業界他社の幹部も「ボーダフォンは草刈り場になる」とみる。
ただ、28日の新機種発表会で孫社長は、「何か大きなことをするといつもこき
下ろされる。しかし、2、3年で評価は変わるのがパターン」と、厳しい評価もどこ
吹く風だ。最近、孫社長は「大人のソフトバンク」と、企業としての成熟を強調する。
ソフト販売のベンチャー企業設立から25年。連結売上2兆円を超える企業に
膨張したソフトバンクが、周囲の厳しい視線を跳ね返して真の大人に成長できるか、
これから本当の正念場を迎える。

9月26日付の日本経済新聞は、ソフトバンクが、買収したボーダフォンの携帯
電話事業の収益を担保にした証券化を行うことで、複数の金融機関から1兆
4500億円を調達する方針と報道した。この証券化はキャッシュフローが定期的に
見込める事業に対して、そのキャッシュフローを利払いや元本の返済原資とする
スキームで、主に不動産など事業プロジェクトで利用される。通常の銀行借り入れ
では、企業全体が融資の審査対象になるのに対し、証券化の場合は企業全体
ではなく、事業プロジェクトのみが審査の対象となる。もちろん生まれるキャッシュ
フローもこの特定のビジネスのもののみが計算対象になるため、他の部署や
会社全体が赤字でも融資対象となるのだ。

ちなみにソフトバンクは、ボーダフォンの買収資金として期間1年の短期
借入金で1兆1600億円を調達した。ただ国債利回りに上乗せされる借入
金利は、9月までは2.5%、12月までは3%、そして来年1月以降は3.5%と
かなり高めに設定されている。国債の金利が現在1.3%ほどであることを
考えると、来年1月以後は5%近い金利負担となる。1兆1600億円の5%とも
なれば利子の支払いだけで年間600億円というケタ違いの金利負担になる
のだから。まぁ、ソフトバンクそのものの格付けが投機的な推移順であり、
社債発行ができない以上、借入しか選択肢がなく、その借入にもケタ違いの
金利がついているのだから、何か手を打たないと破綻してしまう。

借入後の選択肢を迫られていたソフトバンクは、この借入をいわゆるブリッジ
ローンとしても位置付けとしており、実際にリファイナンスまでのつなぎとして
いた。格付けがあれば、転換社債などゼロクーポン債のオーバーパー発行など
選択肢があったのだが、格付けがない現況では難しい。となれば、このゼロ
クーポン債に近い、可能な限り低金利の商品、これが証券化を選んだ理由
だったのだろう。報道によると、ソフトバンクは証券化によって銀行借入に比べ
1%程度低い金利で資金を調達できるよう。今回の調達資金額は1兆4500億円
なので、100億円程度利払い負担が軽減したことになる。格付けという単一的な
視点でソフトバンクのこのビジネスへの評価を下したために、金融機関は
100億円もの金利収入を失ったことになるんだよね、これ。それについて
金融機関はどう思っているんだろう・・


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: