海外旅行紀行・戯言日記

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ヨーゼフ・シゲティ


ハンガリー生れのバイオリン奏者。生地のブダペスト音楽院に学び,13歳でベルリンに独奏者としてデビュー。深く作品の本質に肉薄する演奏を追究し,その姿勢はピアノ奏者のギーゼキングなどとともに〈新即物主義〉とも形容された。J.S.バッハからロマン派まで幅広いレパートリーを誇り,同時代の音楽も好んで演奏。バルトーク,プロコフィエフ,ブロッホとは深い親交を結んだ。1951年米国の市民権を得,晩年はスイスに住む。1931年に初来日。

シゲティのバイオリン演奏は、音の美しくないことで有名でした。“シゲティはボーイングに力が入りすぎて音が汚く、ビブラートもあまり使わぬ上に、細かい音の粒が綺麗に揃わず、技巧的に鮮やかな切れが無い”と酷評もあり、その通りと思うのです。彼の来日公演でも演奏途中で失敗して中断、最初からやり直した等のエピソードも残っています。だが、彼の演奏を聴き進む内に、そういう欠点はどうでも良くなって、私たちの心に直接語りかけて来る音楽の迫力に訳も無く圧倒されてしまいます。
シゲッティは、音楽に徹することで、自己を磨きぬくと同時に、聴く者の精神のあり方をも支えて来た音楽家だったのです。
Szigeti

死後30年となりますが、未だ数多くのCDが発売されています。バッハの無伴奏バイオリンソナタは、シェリングの名演奏等もあるのですが、彼の演奏は絶品だと言われています。私の所には、アナログレコードが無伴奏を含めてあるのですが、プレーヤも無くなって残念ながら紹介できません。是非、機会を捉えて聴いて見ることをお勧めします。

パールマンとかヨーヨーマ等の技巧を誇示する自信たっぷりな名演奏とは、違った世界が展開すること請け合いです。
ただ、各種音楽コンクールが演奏家の登竜門となっている現状では、彼の様に精神性を第一とした演奏家は浮かび上がれないスタンダードが確立しているのでは危惧しています。


パルティータ3番の「ガボット」演奏はこちらです!




田中耕一氏のノーベル化学賞も日本の化学学会では、何の対象にもならず名前も知られていなかったにも拘わらず、学術功績としてスウェーデンのノーベル賞選考委員会で認められました。このような従前のしがらみとは、違った観点での選択肢が音楽界にもあって欲しいと思います。日本では残念ながら、無理な懇願とはなりましょうが・・


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