神戸辺り、たゆたう時間

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規格英語の読み方・訳し方Tips


英語で記述されている標準や規格で、よく用いられる助動詞とその役割は、よく知られています。
知られているだけではなく、ISOの規格中にも次のように記載されています。

 shall   ~しなければならない   要求事項を示す
 should 
 ~すべき   推奨を示す
 may 
 ~してもよい   許容を示す
 can 
 ~できる   可能性又は実現能力を示す


ただし、can と may には特別な用法があります。
A can be B.  あるいは  A may be B.
Aは、よくBになることがある。(一般的な事例の提示)

例えば、A-SPICE PAM3.1 SUP.7BP.1 の備考1で、
NOTE 1: A documentation management strategy may define the controls needed to approve documentation for adequacy prior to issue
needed以下を省略して訳すと、
文書化戦略は(必要とされる)さまざまな制御を定義するものであることが一般的である。
これがmayの「一般的な事例の提示」という用法の例です。

2.やっかいな 等位接続詞 and
A and B
これは、日本語にすれば AとB、という何でもない表現です。このandは等位接続詞と呼ばれます。
では、AとBとC、では?
A, B, and C
ですね。

問題は、
A and B and C
という表現です。これは?
① A and (B and C)
② (A and B) and C
のいずれかです。どちらでしょうか?判りません。①なのか、②なのか、いずれかを確実に決定する方法はありません。
その時の文脈によるしかないのです。

特にAやBやCが、単純な単語ではなく、to不定詞区などの場合、係り受け関係が非常に難解になります。
たとえば、A-SPICE PAM3.1のMAN.3 BP.10に以下のような表現があります。
Regularly review and report the status of the project and the fulfillment of activities against estimated effort and duration to all affected parties.
有識者がこの分の構造を分析したところ、以下のような係り受け関係であると結論付けました。









3. 英語の「ニュアンス」の表し方
英文和訳するとき、単語の意味を英和辞書で調べて当てはめていきますね?
でも、どうしても文脈的にしっくりくる訳語が辞書に載っていないとか、同じような目的で色々な単語が使われるとか。
そういった経験、ありませんか?
その時、利用できるのが
・Web検索
・英英辞典
です。これはそれぞれ、用途が少し違います(私は別々の使い方をしています)

①単語の意味を組み合わせても、何を言っているかさっぱりわからない(その1)
 技術系の規格や文書にありがちなのが、「技術用語」のケースです。このケースは往々にして名詞・形容詞の複数後の組み合わせで
 特殊な意味を表現しています。
 これは知らないとどうしようもないものです。こういう時は、Web検索です。(技術系のHPやブログなど)
 同じような用語を日本語に訳していたり、解説していたりするページを探しましょう。

①単語の意味を組み合わせても、何を言っているかさっぱりわからない(その2)
 辞書を引いてもわかりにくいのが、慣用句です。また、特定の前置詞との組み合わせで特別な意味をなすケースも少なくありません。
 多くの例文を見て、今読もうとしている文脈にピッタリあいそうなものを探し出すしかありません。
 こういう時はWeb辞書が役立ちます。最近のWeb辞書は一連の語を入力すると、近しいものを提示してくれたりします。
 筆者が使っているのは、
英辞郎
 です。

③英語の「ニュアンス」を知りたい。(中上級向け)
 単語の「深い」ニュアンスを調べるには、英英辞典です。
 適切な訳語を見つけ出すだけでなく、単語に込められた含意がわかることがあります。
 例えば、commnunicate という単語。
 英英辞典によると、
 To make your ideas, feelings, thoughts, etc. known to other people so that they understand them
 (アイデアや感情、考えを他の人に知らしめ、理解できるようにすること)
 つまり、一般的な「伝達」の意味だけでなく、「同じものを知る」「同じ状態になる」がベースのニュアンスとして存在します。
 ですので、一方通行ではなく、「(情報を)伝達し、伝達されたものと同じ情報を受け取り側も理解する」ことを目指した活動である、という含意が理解できます。
 実は、規格などで「communicate」と表現されるとき、そこには暗に「伝えるだけでなく、伝えた相手と共通理解を確立していること」を期待している場合があるのです。
 (となると、特に欧州系のアセッサーなどはその観点でアセスメントをしたりする)


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