本当の美しさを求めてーかぐや治療院

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iPS細胞の誕生


iPS細胞の誕生までにはヒントとなる研究の流れが3つあるとご紹介しました。
これらの研究をもとに発想されたiPS細胞、どのように開発されたのでしょうか。
それまでの3つの流れの1つはES細胞の作製でした。
ES細胞は不妊治療で不要となった、廃棄される予定の胚を使って作製されますがもともとは生命の萌芽である受精卵その文化的、宗教的な観点から受精卵の使用を問題視する声がありました。また受精卵は患者さんご本人の細胞ではないためES細胞から作った細胞を移植すると拒絶反応が起こる可能性もありました。そして2つ目の流れ体細胞の初期化です。全ての細胞が体の設計図を持っているというお話がありましたがある研究により役割が決まってしまった、こちらのリンパ球ですね、リンパ球とES細胞を合体させてできた細胞こちら緑の細胞なんですけれどもあらゆる細胞になれる多能性を持っていてそして、卵だけでなくES細胞にも核をリセット初期化する何かがあるということが示唆されていました。

そして最後3つ目はたった1つの遺伝子によっても細胞の運命が変わってしまうことがあるという発見でした。応の問題を克服するべく前の研究から得た知見をもとに新しい方法でES細胞のような細胞を作れないか研究がおこなわれました。

その1つが、例えば皮膚のような運命の決まった細胞にES細胞で働いている遺伝子を加えてやることでES細胞のような細胞に運命を変えてしまおうというような研究でした。

これがまさに山中教授が考えたiPS細胞作製のコンセプトでした。ここで核をリセットする遺伝子探しが始まりました。そのヒントとして既に公開されていたES細胞で働いている遺伝子のデータベースを活用しました。

その中からES細胞で働きが強い遺伝子またES細胞のみで働いている遺伝子を選び出しました。また過去の報告から重要である可能性が高いというふうに考えられていた遺伝子それらを合わせて全部で24種類を候補の遺伝子として選び出しました。まず初めに候補遺伝子を1つずつ試していきました。

しかし、いずれの場合でもES細胞の性質を持つものは現れませんでした。少なくとも候補遺伝子1つではES細胞のような細胞が作れないということがこの実験で分かりました。

次に候補の24遺伝子全てを同時に導入するという大胆な発想で実験をおこなったところES細胞のような細胞実際はたくさん集まったものなんですけれどもそれが出来ました。これで24遺伝子のうちにES細胞のような細胞を作るのに必要な遺伝子は含まれているということが分かりました。

では一体どの遺伝子が最低限必要なんでしょうか。先ほどの実験から1種類ではできないということが分かりましたが2種類あれば作れるのかそれとも3種類必要なのか。それともそれ以上の数の組み合わせが必要なのでしょうか。全ての遺伝子の組み合わせまた可能性を実験しようとすると全部で約1700万通りにもなってしまいます。そこで発想を逆転させて24種類から1つだけ遺伝子を取り除き残りの23遺伝子を導入してES細胞のような細胞ができるか確認をしていきました。必要な遺伝子であればES細胞のような細胞はできないはずです。1つずつ遺伝子を抜いていくそういった実験を繰り返したところ4つの遺伝子こちらに、ちょっと名前が出ているんですけれどもOct3/4、Klf4、Sox2、c-Mycそのそれぞれを抜くとES細胞のような細胞ができないということが分かりました。

つまり、これら4つの遺伝子がES細胞のような細胞を作るのに必要であるということを突き止めたわけなんです。こうしてマウスの皮膚の細胞に4つの遺伝子をレトロウイルスという遺伝子の運び屋を使って外から細胞の中に入れてやることでES細胞のような細胞を作ることができました。この人工的に作製されたES細胞に似た性質を持つ細胞これを山中教授は人工多能性幹細胞(iPS細胞)と名付け2006年にはマウスでまた2007年にヒトでこの成果を発表しました。そして、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

実際にこの写真がヒトの皮膚の細胞の写真になります。このような細胞に4つの遺伝子を外から入れてやることでこちらの写真のようなこの丸いところなんですけれどもiPS細胞が作られました。この真ん中の大きい丸1つが1つのiPS細胞ではなくっていくつものiPS細胞が集まった集合体コロニーと呼ばれるものです。

今回はiPS細胞の誕生と題してそれまでの研究を活かしてどのようにiPS細胞が開発されたか
そのお話をしました。次回はどのように使われていくのかiPS研究の展望についてお話しします。


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