本当の美しさを求めてーかぐや治療院

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乾燥が健康を壊します。



傷が出来たらまず消毒して、乾かして、ガーゼをあてて治療するというのが今までの常識でした。しかし、これは医学的には間違いなのです。

傷は乾かしてはいけません。

傷が出来ると、主に線維芽細胞などからなる「肉芽組織」が増殖して、創面を覆います。その上を表皮細胞が滑るように移動して傷を塞ぐとういのが、大雑把な「創傷治癒」の過程です。
下の図は、1960年代に初めて「モイスト・ウンド・ヒーリング(湿潤環境下での創傷治癒)」という考え方を示したWinterという人が作った、傷の治り方の模式図です。
左側は「閉鎖性ドレッシングによる湿潤環境下」での治癒、右側は従来の「乾燥させた」場合の治癒過程です。

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左右に伸びる「赤い点々」が表皮細胞を表しています。湿潤環境下では、表皮細胞は肉芽組織の上を滑るように、速やかに移動しているのに対して、右の「乾燥環境下」では、表皮細胞は乾燥した痂皮(カサブタ)や壊死組織の下を、潜りながらゆっくりと移動しなければならないことがよく解ります。例えば「タコ」のような水生の軟体動物が、乾燥した砂漠を移動することを想像してみてください。

傷を乾燥させると、表皮の移動が妨げられるだけではなく、創傷治癒に必要なあらゆる細胞が乾燥して壊死してしまいます。また傷から沁み出してくる「浸出液」も乾燥して「痂皮(かさぶた)」を形成し、傷の治癒を邪魔します。
また、傷の表面には、白血球やマクロファージといった「免疫細胞」が遊走して来て、傷を細菌感染から守っています。傷が乾いてしまうと、これらの「免疫細胞」は乾燥した場所へは移動できないため「感染防御」の仕事が出来なくなるのと同時に、これらの細胞自身も乾燥のために死滅してしまいます。つまり、傷は乾燥すると「感染」を起こしやすくなるのです。

従って、「傷を早く治す」と言う意味でも、「感染を防ぐ」と言う意味でも、傷は乾燥させてはいけないのです。また「傷を乾かさない」治療のメリットとしては、「痛くない」ということが挙げられます。傷が乾いてカサブタた出来ると、傷が「ずきずき」と痛むことがありますが、湿潤環境下での「創傷治療」では、痛みを殆ど感じることはありません。

また、外敵の侵入を防ぐ喉、鼻の粘膜や、侵入した外敵を倒す腸内の免疫細胞は、空気が乾燥して水分が奪われると、機能が大きく損なわれます。その結果、インフルエンザなどの感染症や、肌荒れなど、体の内外に健康被害を及ぼします。

1)フィルムドレッシング
 ポリウレタンで作られた、薄い透明なフィルム状のドレッシング材。粘着部分のシールを剥がして皮膚に貼り付けて、傷を密閉する。手術後の縫合創や、アルギン酸、ハイドロジェル(下記参照)を覆うための「二次ドレッシング材」として使用する。写真は腹部の縫合創を被覆するために使用したもの。こうするとカサブタができずに、きれいな縫合創となる。

2)ハイドロコロイド・ドレッシング「カラヤガム」という親水性のコロイドと、薄いポリウレタンフィルムの2層からなっているドレッシング材。親水性コロイドの面に粘着性があり、こちら側が傷と接するようにして使用する。コロイドは浸出液を吸って「ドロドロ」のゲル状に溶けて、創傷面の湿潤環境を維持する。深い傷や浸出液の多い傷ではこの「ドロドロ」が直ぐに漏れ出てきてしまうため、このような傷の治療には向いていない。薄手のもの(写真左)と比較的厚めのもの(写真右)がある。
最近Johnson&Johnsonから発売されている「キズパワーパッド」という製品はこのハイドロコロイド・ドレッシング材である。

3)ポリウレタンフォーム・ドレッシング
 細かい気泡を含んだスポンジ状のポリウレタンで出来たドレッシング材で、表面はやはり薄いフィルムでコーティングされている。厚みがあり吸水性に優れているため、比較的浸出液の多い傷を覆うのに使用できる。これ自体には粘着性が無いので、粘着包帯などを利用して固定する必要がある。細く切ってドレインとしても使用できる。
 写真は半分に切って裏面と表面を同時に見えるようにしたところ。下側の白い方を傷面に当てて使用する。

4)ハイドロジェル・ドレッシング
 無色透明のジェル状のドレッシング材。一見「塗り薬」や軟膏剤のように見えるが、これもれっきとしたドレッシング材である。乾燥気味の傷や壊死組織の残った傷に使用する。親水性のジェルの中に浸出液を保持して、浸出液に含まれる自己融解酵素を活かしながら壊死組織を少しずつ溶かすような場合に有効である。単独では使用できないので、フィルムドレッシングやポリウレタンフォーム・ドレッシングなどと合わせて使用する。

5)アルギン酸ドレッシング

 昆布の抽出液から作られた綿状のドレッシング材。浸出液を吸収してジェル状に溶ける。もともとはその吸水性を活かして浸出液の多い創傷に使用される目的で作られたが、現在ではもっと吸水性の優れたドレッシング材が入手できるため、あまりこの目的での利用価値は無い。しかし、止血作用に非常に優れているため、出血を伴う新鮮外傷に対する初期治療に使用するドレッシング材として非常に有用である。単独で使用すると乾燥して固まり、「カサブタ」のように傷にくっついてしまうので、必ずフィルムやハイドロコロイドなどのドレッシング材と合わせて使用する。

6)ハイドロポリマー・ドレッシング

 親水性のポリマーとそれを覆う粘着性のカバー素材の2層からなっている。ハイドロポリマーは吸水性に優れており、比較的大量の浸出液を伴う傷に使用できる。浸出液を吸収すると、ポリマーは傷の形に合わせて膨張し、創傷面にフィットする。従って、このドレッシング材は浸出液が多く、深い傷に使用するのが便利である。写真はハイドロポリマー部分に水道水を含ませて膨張させた様子。







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