2005/03/20
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カテゴリ: 関係小説
 十一「声」

 呼びかけてもこちらを見もしない者がある。よく見ると友人によく似た石像であった。別の日、また呼びかけを無視された。よく見ると恋人によく似た石像であった。また別の日、自分そっくりの石像を見かけた。これには声をかけなかった。

 十二「重」

「頭が重い」と男は言うと、そのまま地面に寝転がった。目の横を猫が通った。猫の足が蹴る砂利が見えた。男は「にゃあ」と一声鳴くと、そのままどこぞへ逐電した。

 十三「足」

 足の速い女がどこまでも駆けていた。止めようとする男は皆蹴り飛ばされた。穴に落ちても沼に沈んでも女は駆け続け、いつのまにか地上に戻っていた。男たちは女が駆け飽きるのを待っていた。海に辿り着くと女は駆けることをやめて煙草に火をつけた。海が少し沸いた。

 十四「小」

 小さな村の小さな家の小さな部屋の小さな箪笥の中に小さな人はあまりいない。

 十五「死」

 いつも陽気で村の人気者だった女が死んだ時、皆悲しんだ。乱暴者で人に迷惑ばかりかける男が死んだ時、村の者は喜んだ。それを見ていたある子供が、自分が死んだ時皆には笑って欲しいと思い、思いつく限りの悪事を働いた。その子供が死んだ時、村には誰一人生きている者は残っていなかった。





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Last updated  2005/03/21 02:10:51 AM
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