**No.14**

「あ、あの・・・」

みるみる顔が紅潮していくのが分かった。

初めて人に告られた・・・・

「ゴメン。いきなりでビビったろ?今すぐ返事が欲しいとは言わない。ゆっく

り考えて。」

「・・・うん。」

もう心は決まってるはずだった。

でもなぜか一瞬、駿の顔が頭に浮かんだ。

いつものように、裕二は家まで送ってくれた。

「じゃな。」

「バイバイ。」


家に入るといつもより家の中が明るく思えた。



次の日は日曜だった。

今日は裕二は由梨たちと合コンする。

ちょっと心配だった。

裕二は昨日ああ言ってたけど、もし誰かと付き合う事になったら・・・

いや、でも裕二はそんなことをする人じゃない。

でも心配だ・・・

その時ケータイが鳴った。

(誰だろう・・・)

見ると由梨からの電話だった。

「もしもし・・」

「あ、千紗~?あのさぁ、メンバー一人足りなくなったから来ない~?超イケメンば

っかだよ~?やっぱ噂通りだったしぃ~vv」

「・・今日はいいや。また誘って。」

「マジぃ?じゃ切るね。」

「うん。」

電話を切って、ボーっとしてるといつの間にか眠りについていた。

その時あたしは一つの夢を見た。

それは、駿とあたしが付き合って仲良くデートしてる夢だった。

目が覚めてみると涙を流していた。


なんでだろう・・・

駿はもうあたしの事なんてなんとも思ってないのに・・・ましてや由梨と付き合

ってる・・・それにあたしには裕二がいるのに・・・

なのに・・・なのになんでこんなに駿が懐かしいんだろう・・・・

次の日、学校で由梨達と話していると、昨日の合コンの話でもちきりだった。

「昨日はレベル高かったよねぇ~。」

「実はね、あたしあの中の一人と付き合う事になったんだぁvv」

嬉しそうにそういったのは由梨だった。

「じゃぁ駿どうしたん?」

そう言うほかの人の声を聞いて、由梨は「だってあっちの人の方がレベル高か

ったからフったw」


あそこまでして手に入れた男なのに、そうも簡単に振るなんて・・・

最悪だ。

その日は一日中この話をして終わった。

今日は裕二と一緒に帰らなかった。

家までの距離が妙に長く思えたのは、やっぱり裕二と一緒に帰らなかったせ

いだろうか。

家について、部屋でテレビを見ていると、階段の下からお母さんがあたしを呼

んだ。「千紗ー、男の子が来てるよー。」

裕二だろうなと思って階段を駆け下り、玄関に出てみた。

・・・そこには裕二でなく、駿が立っていた。

予想外の展開に、何を言っていいのか分からなくなった。

「・・・どうしたの?こんな遅くに・・・」

「話したい事があって来たんだ。」

「何?前あたしを突き放したくせに話したい事って。」

今まで嫌な思いをしたのがふと蘇ってつい悪い言い方をしてしまった。

「違うんだ!あれは千紗のために・・」

「何で?あたしのためなら普通あたしを助けてたんじゃない?」

「だから!由梨が俺の事好きで千紗いじめてるんなら、俺が千紗と仲悪くな

れば手ぇ出さなくなると思ってああしたんだ!」

「でも・・・そのあと由梨と付き合ったじゃん!!」

どんどん怒りが増してきた。

「・・・それは、俺がああしても由梨がいじめやめなかったから、俺が由梨と付

き合えば終わると思ったんだよ!」

「・・・そんなの言い訳だよ・・・あたしが今までどれだけ嫌な思いしてきたか!!」

「俺はずっと由梨を説得してた!もう俺と付き合ってるんだからやめろっ

て。あいつと付き合ってる間も千紗のこと忘れた時は一回も無かった!・・・俺

は千紗が好きなんだ!!!だからあいつが別れようって言った時、真っ先に

千沙に会いに来たかった!」

この言葉を聞いて涙が出てきた。

「・・どうして?・・・どうしてそれを早く言ってくれなかったの?・・あたしも駿

がずっと好きだった・・・!でも・・・あの時駿に突き放されたから・・・だから・・

この気持ちを塞いできた!!」

「・・・ゴメン。今まで俺が悪かった・・・これからは俺ちゃんと千紗を守れる自信

あるから。」

「駿・・・」

そう言うとあたしは駿に抱きついた。

「好き・・・好き・・・」

駿の優しい空気に触れると、まるで封印が解けたように好きという気持ちが

心の中に満ちていった。 **続く**






































































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