**No．17**
学校に行くまで、二人ともお互いに一言も喋らなかった。裕二は駿をまだ敵視していた。
二人の間にあたしが入って歩いていた。
とても気まずい。
会話一つかわすことも無く、時間だけが過ぎていった。
結局何も話せないまま学校に着いてしまった。
教室の前まで来た時、駿が「じゃ。」と言って自分の教室に入っていった。
あたしと裕二が教室に入ろうとした時由梨の話し声が聞こえた。
「･･･千紗････だよね。」
話し声が入り混じる中あたしの名前が聞こえた。
何を話しているんだろうかと教室に入ろうとしたら、裕二があたしの腕をつ
かんで止めた。
「どうしたの？」
「いいから静に･･」
裕二は真剣な顔をしていた。
「･･うん･･･」
ｶﾞﾔｶﾞﾔという雑音の中由梨の声を聞いた。
「あいつ絶対ｳｻﾞｲし。つか麗那が高瀬高の男子ﾚﾍﾞﾙ高いって言ったから仲直
りしたふりして合ｺﾝｾｯﾄしてもらったけど、やっぱ噂どおりだったよねvv」
他の人の声が聞こえた。
「千紗のﾔﾂもﾊﾞｶだろ。（笑）あんな簡単に仲良くしてやるかっつの！まるっ
きり信じてやんの！！ｷｬﾊﾊ！！」
今度は沙希の声だ。
沙希はいつもあたしについてまわっていた。
「いつからまたｼｶﾄ始める？」
また由梨だ。
「てかｱｲﾂ来たら始めよぅよ。」
「いいねぇ～ｗｗどんな顔するだろ。楽しみ～♪」
「･･･ははは。冗談だよね･･･。」
「千紗落ち着け。」
「ぅぅん、きっと冗談だって。絶対そう。」
「千紗！」裕二はあたしの腕をｷﾞｭｯと握った。
「離して･･･あたし由梨に聞いてくるから･･･」
「･･･待て。千紗一人じゃ何も出来ない･･。大羽も呼んでから･･･」
裕二が言い終わらないうちに裕二の手を振り解（ほど）いて教室に入ってい
った。
「おはよ～。ねぇ由梨～、さっきの話冗談でしょ？面白くない～。」そうい
って笑った。
由梨は何も言わなかった。
「理科は教室どこだっけ？」そういうと他の人達を連れて教室を出て行った。
あたしは由梨を追いかけていった。
「ねぇ由梨ってば。もう冗談はいいから。あ、そうだ。今日みんなでﾌﾟﾘ撮り
に行かない？」
由梨が早歩きするのについていきながら言った。
由梨がいきなり立ち止まった。
そしてあたしの方を向いて一言いった。
「消えて。ｳｻﾞｲ。」
そう言うとまた前を向いて行ってしまった。
あたしはその場で立ち止まった。
頭が真っ白になった。
裕二が後ろから走ってきた。
「千紗。大丈夫か？今あいつ･･大羽に連絡取ったから、ちょっと待ってろ。」
裕二の言葉は耳に入ってなかった。
あたしはそのまま廊下を走って玄関に行った。
後ろから裕二が走って来ている。「千紗待てよ！！」と言った。
「裕二！！ついてこないで！！お願い！！！」そう言うと靴を履いて外に出た。
雨が降っていたがそんなの目に入らなかった。
あたしは結局生きていても意味が無い･･･
消えたほうがいいんだ････
その思いがあたしの体を車道へと向かわせた。
車道の真ん中に立った。
ﾄﾗｯｸが前から来ている。
一瞬ためらったがその場から動かなかった。
ｸﾗｸｼｮﾝを鳴らしてる。
誰かが「危ない！！」と叫んでいる。
これでいいんだ････
目を閉じた。
やっとこんな毎日から開放される････
ﾊﾟｯﾊﾟ――――――
どんっ **続く**
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