サイボーグ023

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第15話 烽火台


次に向かうはスバシ故城。
クチャ市内の北25kmにある。
したがって、千仏洞からは東へ80kmくらい。

道路といえば、道なのか、河川敷なのか、
単なる砂地なのか、区別できないような悪路。
羊飼いの群に出くわして、しばらく立ち往生したり、
目的地に向かう道を間違えたのか、
ドライバー氏が険しい顔でランクルを飛ばしまくったりと、
前途多難。

でも、天気が回復して抜けるような青い空と、
その向こうに見える天山山脈の雪山が
おじさんを明るくさせてくれる。
何故って、おじさんは富山県出身で
小さい頃から立山連峰を見て育ったからかな。

そのうち、「やっと、見つかりました」
ワンさんが示した方向には、
周囲も高さも15mほどもある巨大な物体がある。
「クズルガハ烽火台」とよばれ、
漢の時代の辺境地の防衛のための烽火(のろし)台らしい。

仏塔との説もあるらしいが、
上部には望楼も見え、前者の説に賛成する。
どちらにせよ、木枠と練り上げた土で造られた高層の塔遺跡が、
何もない平地に忽然と建っている姿は異様である。

そして、記念撮影のため10分ほど車を降りたが、
烽火台の陰から出る気になれないくらい暑い。
戻った車の中も想像通りの暑さ。
もう5時なのに・・・。

「いいから、ホテルへ帰ろうよ、ワンさん」。
心の中で叫ぶおじさんの期待は、
ワンさんの一言で淡くも消えました。
「次まで、まだ15kmくらいあるよ、早く車に乗って」。


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