サイボーグ023

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第21話 長距離バス 



朝早く出発するパターンに慣れてきて、
散歩ができる時間に起きれるようになってきた。

カメラを持ってホテルの周辺をうろうろしてみる。
交通量はまばらで、自転車がほとんど、
たまに二人乗りのバイクが通り過ぎるくらい。
車なんて1台も無い。
結構寒くて、
半袖Tシャツ1枚のおじさんを憐れむように見ていく。
そういえば、みんな長袖で
厚目の上着を着ている人もいる。

もう少し歩こうかと思ったけど、
「寒い~」あきらめて朝食へと向かう。
ここの朝食は今までとちょっと違ってて、
おかゆ、揚げパン、ピーナッツの炒めなどがついている。
趣向が変わっておいしく感じた。

満足感を覚えながら
ドライバー氏運転のランクルは出発。
ガススタンドで給油し、一路和田(ホータン)へ。
左側にきれいな崑崙山脈を見ながら砂漠をひたすら進む。

すれ違うのは、
オアシス近くなら農作業に向かうおじさんを乗せたロバ車だが、
それ以外ではトラックや長距離バスが多い。

その長距離バスは、いろいろな意味で凄い。
まず、車体はオンボロ、
満員状態で屋根に荷物まで積んでる。
当然エアコン無しのはずなのに、
砂埃りが入るからか窓が閉まってる。

たまたま同じ場所で休憩になったので観察してみた。
バスから疲れ切った顔をした人々が、
ぞろぞろと降りてくる。
そのうちに、バス側の砂漠に消える集団と、
反対車線を越えた砂漠の中に消える集団とに分かれた。
前者が女性で後者が男性。

何をするのかって?
そうなんです、青空トイレだったんです。
自然に分かれるのも不思議、
戻ってきた人の数も確認することなく
発車していくバスもまた不思議。

想像力が旺盛なおじさんには
理解できない長距離バスでした。


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