サイボーグ023

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第24話 木乃伊


再びランクルで市内へ。

ところが、車内の雰囲気がちょっと違う。
見知らぬ若いお姉さんが乗っており、
独身のNさんIBさんは緊張気味で、
よそいきの話しぶりがおかしい。

名前は忘れたが(頭悪いもんで)、
何でも和田地区の特別ガイドさんなんだって。
この辺りでは珍しい漢民族のお嬢さんで、
鈴の音みたいな声が妙に記憶に残る。

そう言えば、しばらく女の人と会話してなかったから、
別の意味での異民族との遭遇かな。
不思議な感覚を覚えながら、
初めに向かったのは「和田地区文物管理所」。

何のことはない、
先ほど歩いた通りの脇道にある博物館である。
鉄筋コンクリート2階建で、
入口の看板や入館券には、
イスラム語・漢字・英語・日本語で書かれている。

ちなみに、日本語表示には
「ホータンの歴史の文物ミイラの展覧」(原文)て書いてある。
和田には日本人がほとんど来ないと思ってたけど、
やっぱり、来館者は多いんかな。

鈴の音ガイドさんと一緒に薄暗い館内に入る。
和田地区で出土した文物や古代の民具や生活用品が飾られ、
奥の部屋には、当館の目玉である木乃伊(ミイラ)が安置されている。
涼しいだけが取り柄で、
残念ながら館内の写真撮影は禁止。

粗末な木枠に収められたミイラが、
ガラス窓越しにうらめしそうにこっちを見てる。
眼球は無いので、正確に言えば見てるような気がする。
「あ~あ、やだ、やだ」。

もともと博物館系は好きやないので、
30分ほどで外に出た。
明るい太陽にたまらなく好感が持てた。


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