サイボーグ023

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第27話 マッサージ


IBさんの気持ちなどおかまいなしに、
ワンさんが言う。

ホテルまでは近いので、
戻ったのは7時過ぎ。
着いたらすぐに、別棟にある食堂に向かう。

鈴の音ガイド嬢と同席できなくて、
残念そうなIBさんをからかいながらの夕食となる。
おきまりのメニューの中で、
ナン(平ぺったいパン)とカバブ(羊肉の串焼)が目をひく。

昼に街へ出かけたとき、
おいしいにおいに誘われて、カバブを焼く店先を覗いてみた。
ナンを皿代わりにカバブが盛られ、
よっぽど買って食べようと思ったんだけど、
吊り下げた羊肉にはえがたかってるのを見たもんで、
つい躊躇してしまった。

今度はホテルという安心感で食べてみる。
羊肉独特の臭さもなくおいしい。
ついついビールがすすみ、
追加注文したのに、あっけなく拒否された。
答えは簡単、冷えたビールが無いとのこと。
多少の不満はあるが、
冷蔵庫が貴重な地域なので我慢するしかない。

それでも、ほろ酔い気分で本館に戻る。
途中で日本語の看板を見つけた。
「マッサージあります」だって。
おじさんは、超マッサージ好きで、
かつて上海・西安・北京などで経験したことがある。
シルクロードでは珍しいし、
今日はおじさんが一人部屋。

よーし、頼んでみよう。
フロントに電話して待つこと30分。
現れたのはウイグル族の40代のおばさん。
にこやかな笑顔で話しかけてくるが、全然わからん。
仕方ないので笑顔で返すしかない。

簡単に手足を揉んでたと思ったら、
そのうちに、うつぶせになったおじさんの上にのしかかってきた。
「ひぇー、重い、痛い」。
どうみても、80kg以上はありそうな肥満体のおばさんが、
体重をかけてるだけのマッサージ。
効果ありと勘違いして、
さらにのしかかってくる。

重さに耐えた地獄の1時間が終わるころには
虚脱感が支配してました。


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