サイボーグ023

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第29話 濡れ衣



昨夜の衝撃の余韻が残って、
多少はぼっーとしながらも
変わり映えしない朝食をいつものように食べ、
ホテル前で待つランクルに乗った。

そしていざ出発という時、
ホテルのメイドみたいなお姉さんが、
血相を変えて車に寄ってきた。
ガイドのワンさんに何かまくしたててるが、
何のことかわからないので、
おじさんは知らん顔してた。

そしたらワンさん、
話を聞き終えておじさんに
「部屋のバスタオル知らないか?」
「部屋に置いてきたよ」
「もう1枚知らないか?」
「最初から1枚しか無かったで」

ワンさんが内容をメイドに伝えると、
またすごい剣幕で何か言ってる。
するとワンさん、
「荷物の中を調べたいって言ってる」
「な、何だって!」

おいおい、いい加減にしろよ。
おじさんは日本人だよ。
こんな安ホテルのきちゃないバスタオル、
持って帰ってどないすんねん!
疑われたことに激怒!激怒!

これが本当の濡れ衣。
それでも抑えて抑えて、
「調べたらいいじゃん!」

そしたらほんまに調べやがる!
探し終わるまではじっと堪えてたけど
お目当てのブツが見つからなくて、
最後に残念そうに戻って行くメイドに
日本語で「ばかやろう!」って
溢れる怒りを殺して言ってやった。

朝から気分は最悪、
天気も晴れてはいるんだけど、
砂塵の霧に覆われて視界不良。
前途多難を思わせます。





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