アル中とその奥さん、デビュー!



あのですね、私おとといは少し【飲み過ぎてしまった】ようなのであります、
うちの奥さんがおっしゃるには…

私としましては、決してどのような【醜態】をさらした記憶もなく、
いつもの通り【起きたら天気がよかった】→【で、公園に行った】→【気分が良いので酒屋に寄った】→【空が青かった】→【安い赤ワイン
が実に旨かった】…と、
何のハードルもなく沁みいるような【酩酊】に心身を浸した、
…ただそれだけの事なのでございます。

そしてワインが空いて【大変良い心持ち】になった私は、
急にわが奥さんに会いたくなりました。
…なんとなく自慢したかったのでありましょう、
わが下町の心地よい週末を…なごやかな酩酊を…
それを余裕をもって【享受】しているわがお気楽人生を…。

まあ、途中のJRと西武線内の記憶は全く頭から欠如しているのでありまして、
そこから推測するにかなり【出来上がって】いたのでありましょう。
それは認めます、それは認めます、わが奥様…。

  * * *

しかし、しかしながら、ビールをあおりつつ私が【声を荒げて罵詈雑言】を噴出した!
→それはあまりにも【辻褄】が合致しないのではないでしようか?

【寝っ転がって手足を振り回し、奇声を振りしぼった!】→
それではあまりに話を【デフォルメ】し過ぎではないのでしょうか?
そんな事をする【必要性】が何処にあるというのでしょう?
私は大変気分良く【酔って】いたのでございます!
いったい何に対してそんなに【怒る】というのでしょうか?

…酒飲みを、酒飲みを、【目のカタキ】にするなぁ!
なんでそんなに【差別】するんだぁ!

あなたは【二言目】には必ずこうおっしゃいます。
「だって酔ってたでしょ!覚えてないんでしょ?
  自分のやったこと覚えてない、それだけじゃぁ~~ん?!!!」

…まるで客をベロベロに酔わせておいて、飲食してもいない【不当な勘定】を
レシートに打ち出す俗称:暴力バーの【言いぐさ】ではありませんか?!!!
その【必殺の台詞】があるかぎり、いかようにも【酒飲み】を悪者にしたてあげ、
【精神的圧迫】をゴリ押ししようとそれは肯定され得る→
そのような【弱者をないがしろにする】考え方は大変スットコドッコイでありましょう。
それでは【秩序】は成り立ちませーん!!!

酒飲みは、酒飲みは…とっても【いたいけ】なんだぁ!…歳とればとるほど…。
解ってないね、フンッ。

 【宣言】いたします、ここに!
私はそのような【かさにかかった卑怯】なバッシングには二度と屈しません!!!
さ、立ち上がりましょう、皆さま。
いいですか、立ちあがるのですよぉ!今こそ! 

私は全国【アル中】の誇りに【血を吐くように】訴えるのであります!!
【全アル中に市民権を! 平和に酩酊でき得る権利を!
 色眼鏡で見られない社会的敬意を! 我らをさげすむな!】

今まで不当に無視されてきた【われらの権利】を
手元に取り戻そうでは、あーりませんかぁ!!!
さあみんなで叫びましょう!!! 
【福利厚生】、声をかぎりにだぁ!!!

  * * *

…私の方が年下だからってね、【子供扱い】するんじゃないですよ、フンッ。
怒るときは怒りますからね、【アル中】だって、フンッ、フンッ。
…でもご飯作ってね、ちゃんと。
いわしのつみれ汁好きだからね、頼みますね…
いつまでも怒ってちゃイヤですよ…

  * * *

…気をとり直して
さあ、みんなでシュプレヒコールだぁ…
(皆様、しょせんアル中とはこの【程度】です…)

(04.3.17)
ふと見ると、一番目立つ柱の【ど真ん中】に新しいお品書きがあります…
 【カリブの恋】。
…良いネーミングであります。
ただ気にかかるのは、このお店ほかのお品書きには
英語など一切入ってない、という事なのでした…
【カブ漬け】・【自家製キムチ】、飲みものは【焼酎炭酸わり】・【ウーロン割】…。
…たしかにこの中では非常にめだつ名前でありましよう。

  * * *

(指さして)「マスター、これは甘いんですか?」
「お?う~ん、そうだな…甘酸っぱいぞ…【恋の味】だ。」
バイトの女性が笑っております。

「……解りづらい表現ですね、わりと。」
「まあ深く考えるな。飲んで見ろ。」
出された【葡萄色の液体】は、赤ジソの味と微かな酢の香りがしました…
「ウ~ン、これは旨い! 疲れがとれますねぇ!」
「なんだ、疲れてるのか? フム…、【カリブの恋】だ。」

でもこの【小洒落すぎたネーミング】は、ココに来るおっさん達にとって
【気恥ずかしくて】注文しづらいのでは…とも思われます。
思い切ってマスターにその疑問をぶつけてみました。

「そんな事はないぞ。これは【いい歳したおっさん】が付けた名前だ!」
「へ~、誰ですか?常連さん??」
…マスターはややうつむきました。
「…オレだ。【カリブの恋】だ…」
下町のマスター、まだ心のなかに【少年】が住んでいるようです(笑)…

※読み返してみると、自分で作った【飲み物】、
自分で命名するのが当たり前ではないかと…。
なぜ気づかんのだろう?オレ…

(04.03.17)


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