* まいにち公募&投稿日和 *

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2011年04月28日
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カテゴリ: 日常
「私が住む町内では、毎日午後6時に
『夕焼け小焼け』のメロディーが鳴り響く。
元々は災害告知用の防災無線だが、
幸いにして緊急放送は聞いたことは一度もなく、
6時のメロディーだけが町の暮らしに浸透している。

家の近くには野菜畑やビニールハウスが点在している。
今はシソが紫の絨毯を広げ香気を発している。
そんな環境だから、メロディーは農家の人へ夕餉の時間を知らせ、
仕事の切りを付ける目安にもなっているようだ。

我が家でも夕食の時間は午後6時。
サイレン塔から「カラスと一緒に帰りましょ~」の曲が流れると、
10歳の長男は公園から自転車で引き返してくる。
6歳の次男が食器並べを手伝ってくれる間に、私はお汁を温め直し、
自営業の夫に「食事よ~」と声を掛ける。

食卓に集った家族の顔が夕焼け色に染まるのを眺めると、
家族揃って食卓を囲めることに感謝の気持ちが湧く。
変わり映えのない毎日だが、
家族の笑顔が日々積み重ねられるよう願っている。」

 <読売新聞「ぷらざ」>

   ***   ***   ***   ***   ***

これまでエッセイをぼつぼつと書いて投稿してきたが、
上記エッセイは、私が投稿を通して伝えたかったこと、
書き残したかったことの、大きなひとつのような気がしている。

生きている限り「変わらないもの」はないだろうし
変わってゆくからこそ得られる思いや発見があり、そこに、喜びもある。
「変わってゆく」ことを信じられることで、心に希望を持てることもある。
それでも「変わらない」ことも、とても大切にしたいと思うことも、たしかにある。

日々変わって行く暮らしの中で、
淡々と、毎日、変わり映えのないような日々を積み重ねられることーーー

それが、どんな奇跡的な偶然の積み重ねの上に成り立っているのか、ということを
忘れてはならない、と思う。

家族それぞれに、仕事や生活や健康上などの悩みや問題や心配があったりしつつも、
時に、自分の問題に真正面からぶつかりさらに傷ついたり、
あるいは(納得できないながらも)そこそこに物事とのこころの折りあいをつけて乗越えたり、
はたまたあるいは、「これだ!」という答えを見つけたりがして、
あしたに希望を持ったりしつつ、
また、「今日」という新しい一日を、自分の歩調で、ぼちぼちと歩いて行けることのありがたさを。

日々の、慌しい暮らしの中に没頭していると、
手元にある、変わり映えのない「日常」に慣れてゆき、
それらがあってあたり前のことのように受け取ってしまい、
変わらない中にある、平凡で、でも貴重な時間や物事の積み重ねをーーー
その大切さを、見落してしまっている気がする。

家族から
「細かいのに、雑!」(私の中には、これが矛盾せず同居している)
と言われ続けている私なので、大きなことは言えないだろうし、
いつもいつも、、というわけにはいかないだろうけれど、
でも、小さな生活の中の、ささいな、でもたしかに「うれしいな」とかんじることを、
できるだけ、大切に積み重ねて行けたらいいな、と思う。

まずは「家族」の笑顔が、まいにち見られること。
それがどんなにありがたくたいせつなことかということを、
今改めて心に留めておきたいと思う。








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最終更新日  2011年06月01日 07時10分40秒
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