　昼下がりの迷宮～

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2006.06.18

倉知淳　『ほうかご探偵隊』

(4)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：本の話（日本の作家・か行）

読み終えた本　　倉知淳　『ほうかご探偵隊』　です。

ほうかご探偵隊

僕のクラスで連続消失事件が発生。僕は四番目の被害者に！といっても、なくなったのはもう授業でも使わないたて笛の一部。なぜこんなものが！？棟方くんの絵、ニワトリ、巨大な招き猫型募金箱、そしてたて笛が一日おきに姿を消すという奇妙な事件が五年三組にだけ起こっている。ニワトリなんか密室からの消失だ。この不可思議な事件を解決してみないかと江戸川乱歩好きの龍之介くんに誘われ、僕らは探偵活動を始めることにした。僕がちょっと気になっている女子も加わり事件を調べていくのだが…。そこにニワトリ惨殺目撃証言が！町内で起きた宝石泥棒との関連は？龍之介くんの名推理がすべてを明らかにする。

「かつて子供だったあなたと少年少女のために」「本の復権を願い」刊行された、講談社・ミステリーランドのシリーズ。そのなかでも評判の高い一冊です。
倉知淳は『猫丸先輩』シリーズなど何作か読んでいて、期待が高かったのですが、見事にそれ以上の満足を与えてくれました。

ガンが夢中になったのも頷ける。

私が読んでも物足りなさなど微塵も感じない。

そして、「こういう謎を、子供に与えられてよかった！読ませてよかった！」と、心の底から思える本でした。

ミステリーランドは、人気作家が子供を対象に手抜きをせずに書き下ろす、というシリーズです。
倉知さんはあとがきにも書かれているように、小さいころ、大好きな特撮物にあらわれる子供だましに
「子供に媚びるな、子供をみくびるな、子供騙しはうんざりだ」と思ったそうです。
その当時の熱い思いが伝わってくるようです。

ベストセラー作家のミステリーでも、終盤になって現れた人物が犯人だった、とか
（実際の事件なら、そういうこともあるのでしょうが）
動機は単なる変質者の妄執だった、とか
（現実なら、入り組んだ事件ほど、ありうることですが）
手がかりは探偵だけが握っていて、解決編で「そういえば」なんて明かしたりする
などなど…
ガッカリするようなものは山ほどあります。

この本ではそれがないのね。全く。
さりげない描写の中に手がかりも何も、きちんと書きこまれていて、丁寧に、心を砕いて、練られた謎だということが伝わります。
トリックが大掛かりならいい謎だというわけではない、ということだと思います。

どんでん返しもきちんとあって、楽しませてくれたあと、
主人公と親友の二人は、本屋さんに行きます。
「～殺人事件」「～の謎」「～の冒険」…「～の推測」←ｗ
たくさんのミステリが棚に並ぶのを見て、
「これから、もっともっと面白い謎解きが出てくるお話を、僕らは読めるんだ。」
「“謎”はまだまだ終わらない。」
と、期待と希望に満ちた思いを抱きます。
このシーンすてき！

素敵です。

読後の私に残った楽しい謎☆２つ

１☆龍之介くんの苗字は何？
２☆龍之介くんの叔父さんって誰だろう？

なんとなく想像できるような、楽しい気分です　

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