ねことパンの日々

ねことパンの日々

とどのつまり... 押井守・森山ゆうじ著

とどのつまり...(新装版) 押井守・森山ゆうじ著 平成16年(原著昭和60年) 徳間書店

とどのつまり...

中学生の頃に、本屋で何気なく手に取り、妙にひきこまれたマンガです。引っ越しを繰り返すうち、何処にいったか分からなくなってしまいました。昨年「イノセンス」公開とともに復刊されたものを目ざとく見つけ購入。

近未来(?)の日本でクラーイ生活を続けるひとりのアニメーターが、ひょんなことから出会った少女。そしてその少女を「未登録児童(アリス)」として保護しようとする政府当局、少女を連れ去ろとする非合法組織、そして下水に巣くう「水猫」....とまぁ、なんともとらえどころのない漠然とした背景をもつマンガです。
そもそも、こいつらの存在自体が非常にあやうい。と言うより、自分の存在そのものを疑う(よう仕向けられる)ことでストーリーが展開しているようです。また、ところどことに挿入される主人公の思考のようすは、ストーリーの展開を細切れにし、いっそう非現実感を際だたせています。こういうのを、観念マンガとでもいうのでしょうか。
著者の押井守は、「うる星やつら」の演出で注目され、天野嘉孝とのコラボ作品「天使のたまご」、「赤い眼鏡」、「機動警察パトレイバー」など数々の名作、問題作を世に送り出している鬼才です。その背景にあるのは、現実世界への漠然とした不安や、自己存在の危うさです。これは押井自身の暗部ともいえそうですが、現代社会、特にバブル期を生きる「オトナ予備軍」にはすこぶる共感を呼ぶものだったようです。
奇妙な味わいのこの作品、さて、好きになれる人はどのくらいいるでしょうか...?

それにしても。
うちにあったこのマンガの初版、今はどこにあるのやら。
気が付いたらなくなっていたんですよね~。不思議。
いずれ初版を古本で手に入れようと思っていますが、未だに見つからない...。
もしかして、レアものなんでしょうか。
お持ちの方いらっしゃったら、教えてください<(_ _)>


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