ねことパンの日々

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アルプスの山の娘 岩波文庫 昭和9年

アルプスの山の娘 ヨハンナ・スピリ著 野上彌生子訳 昭和25年(初版昭和9年) 岩波文庫

アルプスの山の娘

ずいぶん前に、ネットで購入した本です。
もうおわかりですね、この本、「アルプスの少女ハイジ」の原作の邦訳です。
初版は昭和9年(1934年)となっていますが、訳者が最初にこの本を訳したのが「もう20年も前のこと」(「あとがき」より)となっていますから、大正3年(1914年)にはもう訳が出来ていたことになります。
そんなに古い訳があったとは知りませんでした。

山の上のおじいさんに預けられた女の子が、自由奔放に育つも、途中で都会(フランクフルト)に連れて行かれて夢遊病になり、また山の生活に戻ってくる、そして都会でいっしょに暮らしていた女の子クララも、山の生活で健康を取り戻す、という、ハッピーエンドのお話ですね。
しかし、この本には、それぞれの登場人物のつらーい過去がセキララに語られています。

ハイジのおじいさんは、むかし遊び人でふらふらしていたが、イタリアあたりで傭兵をやっていたとか、それで稼いで村に家を建てたが、息子夫婦が非業の死を遂げた(その子供がハイジ)とか、ハイジの夢遊病は母親ゆずりだとか、クララのお医者様は、娘を病気で亡くして失意のうちにアルムのハイジのもとを訪れるとか....。
アニメでここまでセキララに語られていましたっけ??
覚えていません....(; ̄ー ̄川 アセアセ

当時の精神疾患に関する無理解という問題や、地方と都会の差別的な関係が明確に描かれ、19世紀末のドイツとスイスの関係を明らかにさせる歴史的資料としての意義もたいへん大きい著作ですが、何よりハイジとクララの関係がこの著作のほうがストレートに描かれており、ラストの感慨もひとしおです。
児童文学やアニメでこの作品に親しまれた方、ぜひこの訳をお読みになってください。
おすすめです!!!


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