ねことパンの日々

ねことパンの日々

雑誌記事、ハガキ等貼り込み 昭和14-5年頃

雑誌記事、ハガキ等貼り込み 昭和14-5年頃

貼り込み

先日、或古書店の目録で偶然見つけ、ついつい買ってしまったものです。
大きさは、B4サイズを2つ折りしたくらい。値段は15,000円也。ΣΣ( ̄◇ ̄;)!ハウッ!?
ちょっと頑張って買っちゃいました...。

この貼り込み、恐らく美術品の運送や展示具制作の会社のパンフレットが台紙になっていると思われますが、問題はそこに貼り込まれたものども。
激レアな新聞記事!チョーまにあっくな人物(画家)に宛てた会合の通知ハガキ!!
もぉ垂涎どころか、滝のようなヨダレの流れようです...。
その中で、特に注目すべき記事は、

記事

さる美術家の、「世界を水準に」という記事です。
彼曰く、

「油絵が「もののあはれ」や「幽玄」に代表されるような趣味的傾向に向かうことは、厳に慎まれねばならない。」

加えて、この時期の所謂「日本精神」の再認識ブーム(?)によって、西洋から学んだ堅固な造形感覚や、知性による力強い構成が、芸術家の意識から薄れていることを暗に指摘しております。
日中戦争が激化の一途を辿るこの時期、日本は「日本精神」「日本的性格」をさまざまな事物に求めるという、言わばニワカ日本主義がブームとなります。もちろんそれに迎合せず、自らの表現を追究していた芸術家もいましたが、多くはそのブームに乗ることで自らのアイデンティティを確立しようとしたと思われます。
この記事を書いた作家は、こうした安易な「日本的」ブームに警鐘を鳴らし、造形を知的に、力強く成すべきであると主張しているわけです。

この作家は、この記事を書いた翌年、治安維持法違反の嫌疑により特高警察に逮捕され、半年間の拘留生活を余儀なくされます。

安易に「日本的」なる言説がまかり通るとき、有無を言わせぬナショナリズムが横行するとき、日本は危機に陥ってきました。そのことは歴史が証明しています。

芸術が社会に対してなすべきことは何か。それを擁護し、未来への遺産とする我々市民はいったい何をなすべきか。

いろいろ考える材料をくれる資料です。

ちょっと高かったですけどね...(; ̄ー ̄川 アセアセ

(2005/10/13)



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