ねことパンの日々

ねことパンの日々

2009.03.11
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カテゴリ: 本のこと
おはようございます。
昨日と同じく、朝からぱーっと晴れ渡った群馬です。
風は、きのうほどは強くないようですが、それでもけっこう吹いてます。
スギ花粉はいっぱい飛びそう!
花粉症のみなさま、要注意です~~~~~☆≡(*≧ε≦*)/))へぶしっ!!

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さてさて。
きょうは、予告どおり、最近読んだ本のレビューを書きたいと思います☆
入院の友として持って行ったものどもは、実際ほとんど手が着かず、
帰宅後の課題と、あいなりました。(#/__)/ドテ
帰宅後は、入院前に読みかけたもの、その前にさらっと読んだきりだったものに、手をつけています。
長時間読むのはまだしんどいので、少しずつですけどね。

まずはこちら。


加藤哲郎著『象徴天皇制の起源』(平凡社新書) 平凡社 2005年

著者が2004(平成16)年にOSS(アメリカ戦時情報局/第二次世界大戦時)の機密文書群から見出したある文書をキーとして、先行研究をふまえつつ大胆に、日本の「象徴天皇制」すなわち日本帝国憲法第一条制定までの経緯について詳しく述べたものです。
彼が見出した文書とは、アメリカが日米開戦直後の1942(昭和17)年6月の時点で、すでに、この戦争において昭和天皇を「平和のシンボルとして利用する」計画を立案していたことを示すものだといいます。

先日読んだ 松本清張『対談 昭和史発掘』 で鶴見俊輔は「単純に言って、アメリカは日本について研究していなかったんです」と述べており、清張センセイもそれに同調していますが、近年の研究では、アメリカは対日宣戦後すぐに「戦後計画」に着手しており、日本研究者の数は少ないものの、かなりのスピードで占領政策が立案されていったことが知られています。
日本がまったく勝ち目のない戦争に、政治家や軍人のメンツを守るだけのために身を投じていったその頃、アメリカではもう戦後処理まで見据えた戦略を立案しつつあったというのですから、その知的レヴェルの差は一目瞭然です。
当時の日本政府の愚かな選択ために、日本では300万人前後の人命が失われたわけですから、悲しすぎて涙も出ません。

筆者は、我々が推し頂いている日本国憲法の第一条は、アメリカがimgine(想像)し設計した日本のNation(国家)のすがたであると述べています。それは、明治以降の中央集権的な日本国家形成の過程で、日本に住む人々のあいだにすり込まれ、あるいは押しつけられてきたアイデンティティと微妙に重なり、また微妙にズレているようです。終戦当時、多くの日本人はそのズレに憤るよりは、重なりのほうを有難がった、ということでしょうか。もちろん、そう選択することも、アメリカの情報戦の手綱を握る者たちには、お見通しだったと思いますが。

日本国憲法の内容の是非についてはひとまず措いて、こうした情報戦、心理戦を含めた外交が如何に大事かということ、そして我々が生きているこの時代、この社会のなりたちを正当に見つめ直し、これからのことをしっかり見据え、考え直さなければいかんと、改めて思った次第です。

いや、専門用語が多くて、その道の方でなければかなり苦労する本ですが、勉強になりますた~。
この本はちょいと重めだったので、次は軽いのをひとつ。



檀ふみ選『バナナは皮を食う 暮しの手帖 昭和の「食」ベストエッセイ集』 暮しの手帖社 2008年

雑誌『暮しの手帖』創刊号(1948年9月)~第1世紀38号(1957年)に収録されたエッセイの中から、食にまつわるものをピックアップし、1冊にまとめたものです。

冒頭の、檀ふみさんのまえがきが、またなんともいい。このまえがきを読んでから本編を読むと、彼女の述べるごとく、懐かしき「昭和」とは、貧しさやつつましさ、田舎への郷愁、そして戦争の記憶がないまぜになった、不自由な「むかし」なのだと、改めて思わされるのです(中にはゴーヂャスなグルメエッセイもありますが)。

表題の「バナナは皮を食う」は、植物学者牧野富太郎センセイの筆による一篇。センセイによれば、「バナナは全部皮で出来て居」るのだそうで、私たちが実と思っているのは「内果皮」なんですって。私はむかーし聞いたことがありましたが、すっかり忘れてました。
ほんとになーんでもない蘊蓄を披露した牧野センセイ。最後に「イチゴは茎を食う」「ミカンは毛を食う」という蘊蓄もちょろりと披露して、おわり。なんだかなぁ(; ̄ー ̄川 アセアセ

ともあれ、こんななんでもないエッセイあり、行軍中の炊事当番の苦労話あり(扇谷正造)、喀血してでも酒を呑むために(?)食う「オジヤ」の話あり(坂口安吾)、ひらがなを多様して「おむすび、おむすび」とリズミカルに筆を走らせるものあり(サトウハチロー)、楽しくもあり、悲しくもあり、情けなくもある珠玉のエッセイ集であります。
一篇が短いのでささっと読めますし、興味のあるところからつまみ食いもよし。でも、まえがきは、ぜひ最初に読んでみてくださいまし。

実は私、退院以来、この本に収録されたエッセイを、毎日1篇、音読することにしています。
相方やマルやん、そして病院の先生以外とほとんど話をする時間のない生活で、いささか自分の言語感覚が鈍ってきてやしないか?と最近訝っているので、口からいろいろなことばを発することで、少しは脳のトレーニングになるのではないかと。
ええ、食の話題なので、ぜーんぜん苦にはなりません~。( ̄m ̄* )ムフッ♪
朗読にも少し興味を持っている今日このごろ。これもリハビリの一環とゆうことで、少しずつ続けたいと思っています(*゜▽゜)ノ

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あああ、朝から書き始めたのに、もう午後3時目前だ。(#/__)/ドテ
やっぱし、筆は遅くなってますね。
ま、こんな調子で、ぼちぼちやってまいりたいと思っています☆
今後とも、どうぞよろしくです<(_ _)>









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Last updated  2009.03.11 18:26:12
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