安心生活研究室

安心生活研究室

2007年02月05日
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カテゴリ: 私生活
今日は、地域にとけ込む時に、オーガニックにこだわることで何か問題が起こったかどうか、再び私の経験に即してお話します。

都会と田舎では、地域との交流に関してその濃さに違いがあると思いますが、私の場合、自分からのアプローチに関しては、ほとんど違いはありませんでした。


東京に居た頃は、まだ完全なオーガニックライフは送れていませんでした。

大地の食材ならおいしいし安心、、、そうなのです、おいしいかどうか、安心かどうかだけで食べるものを選んでいました。

安心という基準は非常に曖昧で、「自分で作ったものでなければ安心できない」という人もいれば、「国産だから安心」「スーパーで買ったから安心」という人もいます。

「みんなが食べているから安心」という基準の人もいますよね。

安心という基準は根拠がなくては、本当は人には勧められない、、、そう思って、図書館から食べ物や農業に関する本を借りてくるようになりました。

しかし、結局、それらの知識は、オーガニックの輪を広める際には必要になりませんでした。

なぜなら、私の子ども達が言葉以上の必要な情報を、地域の方に与えてくれたからです。

児童館や公園で知り合った母親仲間とは、たいてい、その日のうちに、我が家の食へのこだわり、育児の方針はすべて話すことになりました。

子ども達がなぜ穏やかなのか、私がなぜ育児を楽しんでいるのか、、、質問に答えているうちに、自然と伝えたいことを伝えることができたので、友達の家でおやつを出されて困った、、、ということはほとんどありませんでした。

むしろ、「みんなで一緒に食べられるものを作りたいから、どこで食材を入手したら良いか教えてほしい」というリクエストをしてくれる人もいました。

児童館の帰り、児童館の無い日、休日以外ほぼ毎日、誰かが遊びに来てくれ、昼食かおやつ、または夕飯を一緒に食べてもらうことが多かったのですが、我が家の素食は子ども達には大人気。

もちろん、アレルギーのあるお子さんにも対応して用意したのですが、とにかくみんな良く食べる。

結局、母親友達だけで、1年間で20名以上の方が大地宅配に入会してくれました。

タバコを吸う母親も、育児でイライラして悩んでいる母親も、外国人の母親も、学歴も関係なく、収入も関係なく。

何か摩擦はなかったのか、、、ありませんでした。

否定的なことを言う人はいませんでしたし、大地に入会しなくても、児童館などでは職員の方を含めて皆さん理解してくださっていたので、ストレスは感じませんでした。

ご近所の方も、ご挨拶で立ち話をする時に、食へのこだわりは伝えていたので、おすそわけなどで困ることもありませんでした。

さて、非常にめぐまれた東京での生活に終止符を打ち、3人目を妊娠する直前に、人口が20分の1の村に越してきました。

ここは高原野菜が特産の、農業の村。

私達が住むのは別荘地ですが、児童館で会う方のご両親はほとんどが専業農家でした。

「家庭用に作ったのだけれど、あまったから持って行って」、、、そう言って野菜をトランクにいっぱい積んで持ってきてくださる方がいました。

「このあたりでは、農薬や化学肥料は使わなくても、こんなに立派な野菜ができるのですか?」と、とりあえず聞いてしまう私。

人の厚意を踏みにじるような行為ですが、「家庭用でも、よっぽどのこだわりがないと、無農薬や買ってきた肥料を使わずに育てている人はいないよ」とにこにこ笑いながら返事をしてくださいました。

「オーガニックライフを極めたくて自然の多い所へ越してきたのですが、素人で無農薬・無化学肥料で栽培しようとするのは無理でしょうか?」

「無農薬は見た目を気にしなければ、できるかもしれないけれど、化学肥料を入れないと、無理だね」

もっと沢山の会話をして、お別れをしましたが、同じような会話は、家の近くの産直や、農家の方達と、新しく出会うたびにしていました。

つまり、「地元の農家の方とは積極的に話をし、自分達の方針を伝え、相手から学べることは学びたい」と思っているのです。

話をしていると、農薬の散布回数、農薬より環境に悪い土壌消毒や除草剤などの話をいろいろ聞かせてくださいました。

農薬散布などの影響で亡くなった方や、事故などの話も。

それでも、農薬や消毒・除草剤・化学肥料を使わなければ経営がなりたたない、、、はっきり言って、何も育てられないほど、土壌が貧しくなっているとまでおっしゃる方もいました。

農薬が危険だという方もいれば、今の農薬ならどんなに使っても安全だという方もいて、話せば話すほど勉強になります。

家庭菜園では、化学肥料も農薬も使っていない方に、近所で出会うことができましたが、残念ながら売ってもらえうほどの沢山の栽培をしてはいらっしゃいませんでした。

そのうち、別荘定住者の中から、「無農薬・無化学肥料で家庭菜園を始めたのだけれど」と、じゃがいもや、菜っ葉などをいただくようになりました。

我が家から、手づくりのものをおすそ分けするそのお返しに、、、と始めてくださった方もいるようです。

子ども達と一緒に家の近くを通ると、春には山菜、夏には野菜、秋には干し柿など、私達が心から嬉しいと思えるものをくださっています。

最初の頃は、初対面の方がお菓子を子どもに与えようとなさったのでお断りしたら「砂糖を与えなかったり、無農薬のものしか与えなかったら、病気になるわよ」など言われたこともありましたが、子ども達が元気なおかげか、お菓子が出てくる前に、自分達のこだわりを伝えてしまうようになったからか、そのような批判をされることもなくなりました。


「農薬は1回しか使っていないけれど、化学肥料は使っているからだめか」など笑いながら言ってくださる農家の方もいらっしゃいました。

「ただでも持っていかないのか、、、頑固だね」と言われることもありました。

「ここの土地に生えているものは、勝手に生えているだけだし、農薬も肥料も使っていないから、持って行ったら?」と、赤紫蘇をたっぷりくださった産直のおばさん。。。

「あなたのような若いお母さんが増えて、元気な子ども達が増えたらと思って、採算は合わないけれど、隣のスーパーと同じ値段で売ってるんだよ」という有機農家のおじさん、、、

購入した以上のおまけ(虫食いのあるトマトなど)をくださったり。

そんなに親切な有機農家の方にも、「きゅう肥の管理は難しいですよね?」「○○も栽培できませんか?」「夏の大根というのは、高原でもやはり本当は不自然なのですか?」などなど、、、相変わらず失礼な質問をしてしまいます。

それでも、丁寧に答えてくれて、リクエストには応じてくれて、、、おまけに、楽しい話ができたからとさらにおまけを下さったり。。。

相手を信じて、自分の信じることを伝えているだけなのですが、少しずつ周りが変わり、より自分達にとって過ごしやすい環境になっていくのを感じています。


さて、話は児童館にもどりますが、児童館では、月に1回、料理教室があります。

私は月に1回のふれあい遊びの時間には子ども達を連れて行きますが、料理教室には連れて行ったことがありません。

それはなぜかと言うと、村の歯科衛生士の方と話した時に、「砂糖を与えないというのは子どもがかわいそうだ」と言われ、また、児童館の担当者との話し合いでも、料理教室に関しても、砂糖を用いない料理をしたり、食材を国産のものだけにしたりする予定はないとはっきりと言われたからです。

つまり、あまりに村の福祉政策??との間に温度差があるので、今の段階で、料理教室に参加することに意義が見出せなかったのです。

それよりも、児童館の集まりに行くたびに、友達を増やし、家に呼び、マクロビスイーツを食べてもらったり、ハロウィンなどのイベントを企画して、自宅でみんなでマクロビスイーツを作ったりして、裾野を広げることを大切にしています。

児童館の係の方はとても理解してくださっているので、出会いもどんどん広がっています。

地元の方は、実家や家庭で無農薬・無肥料で作った野菜を手土産に遊びに来てくれます。

土つきでも、形がいびつでも、小さくても、私が本当に喜ぶので、皆さん驚いています。

Iターン組の方は理解をしてくださるだけでなく、行動にも移して下さる方が多いような気がしますが、何しろ、ここは大地宅配だと非常に送料がかかるので、こだわり度によって、送料が半額ぐらいの宅配を紹介したりしています。

我が家に遊びに来ると、静かな環境(TVだけでなく、CDなども基本的にかけないので)、木のおもちゃ、穏やかにでも元気に遊ぶ子ども達、マクロビスイーツをたっぷり食べる子ども達を見て、自然育児に興味を持つ方も多いです。

(実家が農家だと、オーガニックにこだわるというのは不可能だという話もよく聞きます。2世帯で住んでいると、子どもに甘い市販のお菓子を与えられてしまう、、、そういう方とは、具体的な戦略??を一緒に考えたりしていますが、本当に難しい問題だと思います。)

そうそう、何人かの役場の方も、私達がオーガニックライフにこだわっていることをご存知なので、「難しいでしょうが、土地の相談には乗りますから自然農に挑戦してください」など、応援してくださっています。


葛藤はないかと言われると、、、あまりべたべたした人付き合いが苦手なので、私達にとっては、この程度はとても心地がよく、今のところ、問題はないようです。

結局、私は自分の居心地のことしか考えていないのかもしれませんが、相手も楽しんで、自分も楽しめる関係を築くために、これからも、自分達のポリシーは出会った日に伝えてしまうようにするつもりです。

厚意だと思ってした行為が、相手に拒絶されるから、きっと不愉快な思いをするのだと思います。

初めからわかっていれば、どう対応すれば良いか相手もわかるので、意外に衝突したり、嫌な思いをすることはないのですよね。

私達のやり方は非常に自己中心的ですが、むしろ「自分達のため」であるから、相手を否定するわけでもなく、相手も余裕を持って受け容れてくれるのかもしれません。

それでもやはり、子ども達が元気で穏やかで仲良いことが、何よりもの理解の架け橋になっているのだと思います。

また、こだわりを伝えることで、同じようなこだわりを持つ仲間も増え、楽しみも増えます。

ということで、これからも、我が家は、「相手を信じて自分の信念を伝える」方式で頑張ってみようと思います☆





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最終更新日  2007年02月05日 23時07分59秒
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