** 長島便り **

2004/05/11
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テーマ: 韓国!(17321)
カテゴリ: カテゴリ未分類
夫の母上はもう70歳をとうに過ぎていて
まだかろうじて20台の私を「嫁」というより
「孫」のように扱い、可愛がってくれる。

家にいれば、いる間中「コレ食ベル?」
「アレ食ベル?」「モット食ベェ」と
食べ物を出し続けてくれる。

出掛けようとすれば「洗濯物、ダシナサイ」
私は「そんな~、自分でしますから、テッソヨ~」
でも、私が出先から帰って来ると、当然のように
私の下着も靴下もベランダに干してあったりする。
「アイゴ~!」という私に、オモニムは得意満面である。

韓国語がちっとも上達しない私をみて
「kangハ、英語ヲ話ス ダカラ、ケンチャナ~
ワタシガ 日本語ヲ 勉強スレバ イイジャナイカ」
と逆にオモニムのほうが、町役場の日本語教室に
申し込みに行ってしまわれた。今年のお正月のことだった。

昼間、子守をしているオモニムは
あいにく時間が合わなくて、クラスの受講は
出来なかったけど、教科書とテープだけは買って
今年に入ってからずっと、自主学習しているらしい。

でも、教科書に書かれた漢字が読めないから、今回
渡韓した私に、振り仮名を振るように頼むオモニム。

教科書には、オモニムが自分でテープを聞きながら
振り仮名をふったあとがあった。

「料理」は「より」、「練習」は「ねんす」、
「応援」は「おえん」と芯の丸くなった鉛筆で
書かれていた。

オモニムが、教科書を床に置いて(家には机がありません)
機械オンチのオモニムが、「アイゴ、アイゴ」と言いながら
テープを何度も巻き戻し、鉛筆で一生懸命ひらがなを
書いている姿を想像したら、なんだか胸が
締め付けられて、申し訳ないな~という気持ちで
一杯になってしまいました。

オモニムの元気なうちに、私も韓国語をマスター
するからね~、と心に誓いました。

結婚前、私が全然韓国語を出来なかった頃は
皆が韓国語で話が盛り上がっていると、
私にはチンプンカンプンだった。

そんな時はいつも必ずオモニムが、心配そうに
私の顔を覗き込みながら、オモニムが子供の頃に
覚えたつたない日本語で「明日ハ~、ん~、
ナント言ウカ~? ん~、天気ガ、良イナラ、
アボジ(お父さん)ノ オ墓ニ、行クンダヨ。
アラッソ(分かった)?」と通訳してくれた。

ソウルで結婚式をした時も、日本からの招待客は
式の後、どこへ食事に行ったらいいのか分からず
オロオロしていたらしい。

それを見たオモニムは、「コッチダヨ~、コッチダヨ~」
と皆を呼びに行って、足が悪いのに、人の支え無しに
先頭を切って階段を降りて、皆を食堂に
連れて行ってくれたらしい。

そして、場が持たない「日本人」vs.「韓国人」
招待客の間に入って、「コレガ嫁のチング(友達)」
「コレハ嫁のお父チャンの妹」、「コレガ息子のチング」
とオモニム本人も分からない人間関係を一生懸命 
紹介して場を持たせてくれていたらしい。

韓国滞在中、私は婦人科の先生からもらったビタミン剤を
飲んでいた。私がそれを飲むたびに、オモニムが
何処からともなくやって来て、私の腰をナデナデしながら
「赤チャン デキロ~、赤チャン デキロ~」と
呪文を唱えて下さった。

ある日夫に「銀行で50万ウォンおろしてきて」と頼んだ
オモニム。後で聞いたら、私を東洋医学の先生の所へ
連れて行くつもりだったらしい。結局そんな時間は
無かったのだけれど、私の不妊を一番心配して悔やんで
いるのはオモニムなのかもしれないなぁ。

先週土曜日は「オボイナル」(父母の日)でした。
オモニムに電話して「オボイナル 祝賀へヨ~」
を言ったら、「コマウオ~」の後に「日本ノ オ父チャンと
オ母チャンニハ 電話ヲ シタカ?」と聞かれた。

いつも私や私の家族の事を最優先に考えてくれるのに、
私はオボイナルだっていうのに
オモニムに何にもしてあげなかったなぁ。
こんな嫁で本当にごめんね。

でも、いつもあなたに感謝してます。
オモニムいつもありがとう、長生きしてね。





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最終更新日  2004/05/11 09:44:27 PM


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