** 長島便り **

2005/02/19
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帰省の話は、まずはこれから書かなければなりません。
2/3の日記で書いた通り、
中学時代の恩師のお見舞いに行ってきました。

中学時代、一度も同じクラスになったことの無い
いわば面識が無いも同然の男の子から突然
「昨年5月、先生がくも膜下出血で倒れました」
という知らせを受けました。

先生には私が卒業の年に担任をしてもらい
お世話になったのですが、渡米以来ご無沙汰していました。

先生は三宅島出身で、事あるごとに島自慢だったのですが、
4年位前に島の噴火があって以来 私は頻繁に
先生を思い出していました。
そして「先生倒れる」の知らせを受けた2日前にも
丁度「三宅島島民第一弾帰島」のニュースを見て、
またしても丁度先生の事を思い出していたのです。

「私の日本帰国」と「三宅島帰島ニュース」と
「先生病気の知らせ」これらが丁度 同時期に
重なってくれました。

なんだかすごいタイミング。。。と思いながら
知らせをくれた同窓の彼に早速連絡を取り
「この帰省中に是非先生にお会いしたい」旨を伝えて
お見舞いのセットアップを頼んだのです。

お見舞い当日、夫を一人私の実家に残して
行くわけにもいかず、夫を連れて行きました。
同伴してくれる同窓の彼は体調不良で遅れますとのこと。
後で分かったのですが、彼も現在病気で休職中とのこと。
自分の身体もキツイのに、恩師のために動き回っている彼。
なかなか出来ることじゃないと思います、つくづく立派です。

先生とは15年ぶりの再会でした。
倒れてから記憶障害が著しい、と聞いていたので
変わり果てた姿の先生を想像し、覚悟して会いに行きました。

先生の奥様に明るく出迎えられて
「先生? ○○中学校でお世話になったkangです。
ご無沙汰しててごめんなさい。。。」とお宅へ上がったら

15年前と全く変わらぬ独特なスロー口調で
「お~、来てくれたのぉ~?嬉しいよぉ~」と
これまた変わらぬホンワカ笑顔で迎えてくれました。
はぁ~、癒されるぅ~。。。。もう脱力~。。。

思わずソファに横になっている先生に 倒れ込んで
抱きついてしまいそうな衝動をなんとかこらえました(笑)。

一時は死線をさまよい、意識が戻ったとしても
下半身不随と診断されたのに、今では外見からは
想像もつかないくらい快復されており、本当にホッとしました。

一緒に卒業アルバムを見ていると
当時を少しだけ思い出してくれたみたいで
私の名前をポンとフルネームで呼んでくれた時は
ホントにホントに嬉しかった。

それでもやはり脳への後遺症は先生の記憶を混乱させ
1分前の話を忘れてしまいまう先生。
まぁ、トンチンカンな会話はうちの夫で慣れているので
私はとにかく先生から放出されるマイナスイオンを
全身に浴びて癒され放題。。。。あ~、幸せ~!

働き盛りなのに、教師が天職なのに
教壇を降りなければならなくなった先生。
同じく学校にお勤めの奥様は、ご自分の仕事の事、
病院の事、3人の子供と家庭の事、これからの事、
記憶が取り戻せない先生と毎日のやりとり等々で
一時は鬱になって精神科にお世話になったほどだそうです。

なのにおうちの中は笑いでいっぱい。
奥様の努力の賜物以外なんでもありません。
見えない所で沢山涙されただろうに。

「この間はね、相田みつを美術館に行ったんだけど
先生ったら一人でどこかに行っちゃって、どうしても
見つからないもんだから警察に捜査願いを出したの。
そうしたら、なんと、東村山で見つかったのよ~。
どうやってそこまで行ったのか誰にも分からないのよね~。
わっはっは!」

そんな話を明るく笑顔で話してくれる奥様。

そして先生のお財布の中から
「先生には記憶障害があります。家で妻が心配してます」
と書かれた紙を見せてくれました。そこには
先生の氏名と住所、そして「記憶障害があります、
警察に連れて行って下さい。ここで待っていて、
と一人にしないで下さい」等、もし又行方不明に
なってしまった時の対処法が書かれていました。

家の中にも
家族写真には皆の名前がそれぞれに書かれてあり、
リハビリのために飼い始めたワンちゃんのケージには
「うんちをしたら・・・」「ごはんは・・・」と
イラスト付きで先生のお嬢さん手書きの
可愛い説明がラミネートされて貼ってあり、

壁には「外出時の持ち物リスト」が書かれた紙が貼られていたり、
日めくりカレンダーで日付が分かるようになっていたり、
玄関先には「先生は今、車の運転が出来ないので
鍵はおいていませんよ」と書かれた紙も。

きっと先生は倒れてから人の名前を忘れちゃったり、
ワンちゃんに餌以外のものをあげちゃったり、
日にちが分からなくなっちゃったり、
「お~い、車で出掛けるよ~」なんて
言い出したりしたんだろうな。

奥様は、先生のリハビリのために
ポラロイドカメラを買い、見舞いに来た人の写真を撮って
スケッチブックに貼って、コメントを書いてもらっていました。

そのスケッチブックは既に2冊目。
中を見せてもらうと、私の中学時代の校長先生から
お世話になった懐かしい顔ぶれの先生方がズラリ。
もちろん様々な年齢の教え子達、親戚の方々も。
やっぱり人徳なのねぇ。

さて、私は2/3の日記で、皆さんの書き込みに後押しされ
しっかり「卵焼き」を手土産に持って行きましたよ。
インパクトあったと思います(笑)。

「ね、先生覚えてる?私のお弁当から卵焼き
盗み食いしたの。好物だって言ってたよね?
今回は母じゃなくて私が作ったのだけど、食べてみて」
と差し出すと、

先生は「んん!旨いよぉ~、これ、旨いよぉ~」と
卵6個分の卵焼きをペロリと一人で平らげてくれました~。
(ちょっと高タンパク過ぎて心配だけど。。。)

盗み食い事件は思い出せなかったけど
↓あんなに「旨い旨い」と喜んで食べてくれて嬉しい~!!!



先生のおでこがデコボコなのは、度重なる脳の手術で
何度も頭蓋骨を開いたからなんです。でも先生本人は
「柱に頭ぶつけた~、うへへ」って言うんですって。

学年でも校内でも一番人気だった先生。
15年前の卒業式の日は、大勢の生徒達が先生に群がって
卒業アルバムにサインをもらっていました。
私なんぞは近づけない位。

だから、私のアルバムには先生のサインがありません。
(担任だったのに~!)
そこで、卒業から15年たったこの日に
私は持参した卒業アルバムに先生のサインをもらいました。





「翌々日、韓国へ行きます」と言ったのは
ちゃんと記憶に残ったみたいだね、スゴイね~!
「オリンピックで会おう」ってのは?
2012年オリンピックの開催地にニューヨークが立候補してるから?
そうか~、きっとそうだよね!
じゃ必ずオリンピックの年にニューヨークに来てよね~!

ちなみに最後の「セッホ!!」に見えるのは
「ヤッホー」のことだそうです(笑)。
おちゃめな先生、うぷぷ!

この日はすっかり長居してしまいました。
癒し系の先生はもちろんですが、明るい奥様の笑顔に
どれだけ励まされたことか。。。
日々些細なことで落ち込みモードになっている自分が
バカみたいになって恥ずかしくなりました。

先生のお嬢さんは当時7つだったのに
今では立派に保育士さんとして働いていました。
奥様にソックリで、うちの夫が帰宅後「可愛い」を連発。
二人のご子息も高校生と中学生、部屋から出てきて
一緒に話をしてくれる好青年。

今日は先生のお見舞いに行ったはずが、私が逆に
先生や先生のご家族に癒され励まされて帰る結果に。。。

そしてこの機会を作ってくれた同窓の彼には感謝しても
しきれない位。この日は、私が同伴を頼んだがために、
病院から駆けつけてくれた彼。
その日、内視鏡で撮った彼の腸内の写真を見せてくれました。
そんな病気の彼に帰りは送ってもらい、私って本当にダメな奴。。。

こんな私だけど、先生やご家族の力になりたいな。
あ~、いったいどうすれいいんだろ~。。。

先生、変わらぬ笑顔で迎えてくれて本当にありがとう。
頑張って快復してくれてありがとう。
先生が思い出せない事は、私達生徒がちゃんと覚えてますよ。
安心してゆっくりリハビリに励んでね。

そして奥様、どうぞ無理をなさらずに。
明るい笑顔を本当にどうもありがとうございました。







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最終更新日  2005/02/19 06:18:16 AM


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