美作的日々

今日は、ママ友達と５人で久々にお出かけ。
といっても、まだバーゲンもたいして始まっていないし、
目的のものだけ買って、あとはご飯食べておしゃべりした、
という感じでしたが･･･

で、そこの本屋でやっと見つけたので

レイ・ブラッドベリ
短編集　二人がここにいる不思議
伊藤典夫訳


社交ダンスが終わった夜に
は、少し前に見つけて読んだんですが、、、、
なぜ急に読み始めたか、と言いますと、
これは、 池松壮亮 出演ドラマで、他にもいろいろ細かい点で
完全にはまっちゃった Q10 の 第２話 、
再手術が決まって入院している久保（ 池松壮亮 ）と平太（ 佐藤健 ）が
どうやら恋しているらしい中尾（ 細田よしひこ ）のことを話している場面。

おれも、やっときゃ良かったかなー・・・という久保。
恋を？？？？と驚く平太。
相手は誰でもいいんだけど、デートっていうか・・・
あるんだよ、 レイ・ブラッドベリ の小説に。夜に散歩する話、手つないで。
それが、生涯たった一度の夜になる、っていう・・・

と話すんですね。
やっときゃよかったなぁ夜の散歩。　　　　
そしたら手術失敗してもまぁいっかって思えるし・・・・・
この世に引き止めるものなんてその程度なんだよ。


手術を前に、妙な覚悟やあきらめみたいな感情も読み取れたりする。
入院生活が長いとはいえ、かなりな読書家らしく、
よく病室でも本を手にしているキャラでした。
演出面でも、ボタンダウンシャツにVネックニットをさらっと着こなせる、
大人で落ち着いたキャラとして描かれているようでしたが、、、

そして、その後久保は手術へ。
戻ったらWデートな、と励ます平太に軽く手を振って、そのまま手術へ・・・
冷静に見える久保に、ふっと寂しそうな表情が浮かんで、
なんとも切ないシーンだったなあ。


で、そのブラッドベリ。
ここでのセリフで出てこなければ、一生わからなかったかもしれない・・・

というのも、大学時代の英語の教材でアメリカの近代？の小説家を
扱っての授業をうけていましたが、
スタインベック も
カポーティ も
レイモンド・カーヴァー も
サリンジャー も
オコナー も・・・・

なんというか、頭にすっと入ってくる作品が私にはあまりない・・・
多分、原書で原文で読むと全然違うんだろーなー
あ、英語の授業では当然原文で読んでいたけど・・・
英語喋れる友達に宿題手伝ってもらってたからな
不真面目な学生でした
村上春樹 訳の フィッツジェラルド も、結構たくさん読んでいるのに、
なかなか頭に入らないもんで・・・
ジャンルを問わず、アメリカの文学作品、特に近代のものは
私には染み込みにくい文章なのかなあ・・・・好みでしょうけど、
そしてそれは、このブラッドベリも例外ではなく・・・

久保が引用する作品は、 二人がここにいる不思議 という文庫本の中の
最初の一遍、 生涯に一度の夜 という作品の、
以下の文章の部分のようです。

春の夜の散歩というのに憧れていてね。
そら、朝まで温度が下がらない、暖かい夜があるだろう。
歩くんだ。女の子といっしょに。
一時間ほど歩くうちに、まわりの物音や景色から切り離されたような場所に着く。
丘を登って腰を下ろす。
星を見上げる。
彼女と手をつないでいたいな。
草の香りがして、まわりの畑からはすくすく伸びる小麦がにおって、
自分が土地のまん中にいる、アメリカという国の中心にいるのを感じるんだ。
まわり中に町があり、離れたところにはハイウェイも走っているけれど、
誰もぼくらのことは知らない。
ぼくらがその丘のてっぺんにいて、草むらに寝て、夜の景色を見ていることを。
彼女とは手をにぎっているだけでいい。
これ、わかるかなあ。
手を取り合っているだけで満足なんてことがあると思うかい？
動きはなくても心は伝わる、そういうことさ。
その夜いろんなことが起こっても、こういうことが一生記憶に残るんだ。
手をとりあうことが、それ以上の意味を持つ。
ぼくは信じるよ。
あらゆることが幾度も起こって、終わって、驚きがなくなったとき、
最初に何が起こったかが重要になる。

・・・・・

そんな小説の一部をさらっと引用する久保も、
いつもニコニコして、あまり物事に動じないようでいて、
深いところで色々感じているようです。


レイ･ブラッドベリの作品は、Wikiにも
優れて叙情的な作風が特徴で、日本にもファンが多い
と説明されています。
フランソワ・トリュフォー の映画 ｢華氏４５１」 の原作もブラッドベリ。
そうか～、知らないところで実は作品に触れているのかも・・・

というわけで、 社交ダンスが終わった夜 にのほうは
８割がた読んでみたんですが、もう少し集中して頭に文章が入ってくるように
なんどか読み返してみよう・・・


こういう機会がないと、
読んだことのない作家
知らないジャンルの音楽
見たことがない映画
知らなかった絵画
・・・・そういったものに新しく触れることが、この年だとなかなか難しいので、
ドラマもひとつのきっかけでいいんだよなーって思います。



火星年代記 (ハヤカワ文庫SF) (文庫) / レイ・ブラッドベリ



　とうに夜半を過ぎて (河出文庫) (文庫) / レイ・ブラッドベリ