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週末になんて絶対に見に行くことないんだけど
ポイントが溜まっていてタダ見できたんで
土曜の朝イチで見てきました。
紙の月
(2014年「紙の月」製作委員会)
監督:吉田大八
脚本:早船歌江子
原作:角田光代
あらすじ
バブル崩壊直後の1994年。
夫と2人で暮らす主婦・梅澤梨花(
宮沢りえ
)は、
銀行の契約社員として外回りの仕事に従事し、
その丁寧な仕事ぶりで周囲にも評価されていた。
一見すると何不自由ない生活を送っているように見えた梨花だが、
自分への関心が薄い夫(
田辺誠一
)との関係にむなしさを感じていた。
そんなある日、顧客の孫である、年下の大学生・光太(
池松壮亮
)と
出会った梨花は、光太と過ごすうちに顧客の預金に手をつけてしまう。
最初は1万円を借りただけのつもりだったが、
次第にその行為はエスカレートしていく。
最初は、NHKの連ドラ( 原田知世
主演)で
かなり面白く見まして、最近やっと原作を読み、
そして池松くん見たさで映画館へ・・・
東京国際映画祭で、主演の宮沢りえは
最優秀女優賞を獲得していますが、
梨花のあやうい優等生ぶりは、なかなかハマっていたかもしれない。
現金を扱う仕事、私はしたことありませんが
外回りで顧客のお金を持ち歩く場合、
ちょっと抜いてまた戻せばいいや、という感覚が芽生えても
不思議じゃないかも・・・もちろん、あってはならないことですが。
梨花も、きっかけはそうやって借りた顧客からの預かり金1万円。
うむむ。
原作小説もNHKドラマも、もう少し梨花と夫のすれ違いの様とか
顧客との信頼関係とか、光太のバックグラウンドなんかが
丁寧に描かれているんで
2時間の映画でどこまで描けるんだろうか、
という部分では少し物足りなさも感じましたが
そのかわり、オリジナルのキャラの隅( 小林聡美
)とか
若い社員特有のしたたかさと嫌らしさをかなりうまく出してて
梨花にそれなりに影響していた相川( 大島優子
)なんかが
原作の端折った設定や人物をいい感じに補填していた気がします。
無邪気なようで、
実は抜け目無いような
でも純粋な感じもあり、梨花の転落のきっかけとなった光太。
池松くんて黒目がちでじゃれてくる犬みたいなところがあって、
梨花とホテルのスイートルームで豪遊するところなんて
ホントかわいかった。
結構最初から出てきたし、そして早い段階で梨花と関係持っちゃうんだけど
最近よく見るわ、池松くんの男なシーン。
いやみがない、というか色気はあるけど
その役の設定にあう濡れ場?が出来るというか、、、
感心しちゃいました。
梨花は光太と会うようになってから
相川にきっちり指摘されるけども、随分若々しく、
服装も明るくなっていくんだよね。
光太は光太で、家が大変で大学の学費が払えない、
という大学生役でしたが、
梨花と豪遊するうちに、やはり感覚が麻痺していくんですね。
結局同じ学生の女の子と、週末に梨花と使っていた部屋で浮気して
ばれちゃって別れるんだけど、
梨花との豪遊に息苦しさを感じてしまったんですね。
いつまで続くんだろう、って。
いつまでも続くわけないって。
実は結構冷静だったのかもね。
商社勤めの夫は優しいものの、どこか嫌味で
鈍感で、しかも梨花の仕事はどーせパートでしょ?
ぐらいな感じで認めてないしちょっとバカにしてる感じ。
幸せなようで実は心に隙間がある梨花が
光太といることでおしゃれしたりスキンケアに気を使ったりして
女性として復活してく?様はわからないでもない。
ただ、原作とか知っていて見るからわかるんだけど
その複雑なむねのうちを察するには、ちょっと難しいか??
とも思ってしまった・・・
隅はかなりきっちり厳しい行員で
やがて梨花の横領に気づき追い詰めていくんですが、
どこか梨花のことをうらやましがっている節があり、
それが終版の場面で吐露されます。
この、梨花の横領がばれて問い詰められている会議室?の場面、
作品の中で私的には一番見ごたえがあり、
女優のバトル!って感じで息詰まるシーンだった。
ここは凄い、と思ったもんね。
そして、追い詰められた梨花がとった行動も驚き。
案外早い段階で横領がばれ、
でもその時は最初の200万がばれたんだけど
この場面はすでに億単位?の横領がばれて
もう、逃げられないでしょ??というところ。
どうするの、もう映画おわっちゃうよ?
と思っていたら、
なんと会議室の窓を椅子でぶち壊し、2階から飛び降りで逃走!
意外な展開だったー
そんな梨花を引き止められなくも無かった隅は、
やはり梨花がどこか羨ましかったんだろうな・・・・
どこまでいけるか行ってみな、ってキモチがあったんじゃないかな。
二人でランチを一緒にする場面が2回ほど出てきたけど、
そのときもお互いけん制していて、ぴりぴり凄くて、、、
見ごたえ十分です。
ラストでは、学生だった頃に寄付をしていた、
途上国のコドモらしき男性と
とある東南アジア系のどこかの街で出会い、
そしてまた雑踏に消えるところで終わるわけで
その時点では逃げ果せてるということになります。
犯罪を犯して逃げた梨花なのに、
あ、逃げたんだ、良かった・・・・
となぜか思ってしまうんだよな。
人は、心のどこかで彼女のように、
行きたいところにいく、
そんな生き方を望んでいるのかもしれません。
パンフ、最近のものにしては
読み応えもあって面白かった。
NHK原田知世版ドラマや、
原作小説は、もっと登場人物も多いし
梨花の心の変化がもっと細かく表現されていますが
大きな部分だけを切り取って描いた映画版は
これはこれでありかな、というかんじ。
いろいろ比べて楽しむのもありかもしれないですね。
話の内容から想像できないような、
全体的な疾走感は、想像以上でした。