LUNAのミュージックボックス

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ファン・スジンよりテジュンへの手紙



初めてお便りを差し上げます。私はファン・スジンと申します。16歳です。
父の仕事の関係で4年前より、日本(東京)に住んでおります。
この手紙をお送りするに際しては、ニューヨークのソ・ジニョンさんより
たくさんのアドバイスをいただいております。

テジュン社長、私のことを覚えておいででしょうか。
「10歳の女の子」「ウサギのぬいぐるみ」「改装工事現場」「テジュン社長のお父様の話」
この4つを並べてわからなければ、すぐにニューヨークに電話するように、
とはジニョンさんからの伝言です。

6年前、私は父の出張に付いて、ソウルホテルに宿泊しました。
おとなしく部屋で待っているようにとの言いつけを破り、一人ホテル内を歩き回った末、
改装工事現場で無事保護された、あのスジンです。
その節は、大変にご迷惑をおかけしました。改めてお詫びします。
申し訳ありませんでした。

その後、ジニョンさんとは折りあるごとに連絡を取り合い、
相談にものっていただいております。母のいない私には何でも話せる、
かけがえのない存在でした。でも2年前、父は日本女性と再婚しましたので、
今はまぎれもなく「ジニョンお姉さん」ですね。

さて、来年春、父は外資系企業の社長として迎えられることが決まり、
一家で韓国に戻ることになりました。帰国後、編入する学校の見学と手続きのため、
この夏休みの後半にソウルに帰ります。
ソウルホテルに滞在することを条件に、父は私に一人旅を許してくれました。
そして私のもうひとつの目的は、テジュン社長さんにお会いすることです。

父は私に、父の出身校であるアメリカのスタンフォード大学に進むことを望んでいます。
しかし私には、消すことのできない夢があります。それは憧れのホテリアーになること、
「ホテル経営」に携わることです。でも父にはまだ話せないでいます。
ジニョンさんからの情報では、最近、海外での留学と実務経験を終えられた、
大変優秀な女性が宿泊支配人として赴任されたと伺いました。
お忙しいとは存じますが、テジュン社長とその宿泊支配人の方に是非お会いし、
お話を聞かせていただけないでしょうか。
どうか、よろしくお願いします。

新しい母は、ハングル語が堪能で、心のやさしい人です。
私が6年前のソウルホテルでのことを話して聞かせたとき、
「あなたは、そんな生き方がしたいのね?」と私の心を感じ取ってくれました。
6年前のあの日、テジュン総支配人は
「お父さんを悲しませると、おじさんのように後悔するよ」といわれました。
父を悲しませないために、確かな進路の方向性を見出したいと思っています。
ご助言いただければ、大きな喜びです。

滞在日程、メールアドレス、携帯電話の番号など、別紙に記しました。
同封した写真は、この春に家族で写した写真と、6年前の私のスナップです。
まだ10歳の頃の面影は残っていると思いますが、いかがですか?

お会いできる日を心から楽しみにしております。
お忙しい中を、大変ご面倒をおかけしますが、どうかよろしくお願いいたします。

2007年8月XX日
                         ファン・スジン


P.S. もうひとつ、ソウルに行く目的があります。
   実の母に会うことです。父には内緒です。
   滞在中にソウルホテルで、食事をする予定です。
   母は今、あまり幸せではないようです。
   安心させ、元気づけてあげたいと思っています。



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