I歯科医院の高楊枝通信。

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ストリップスを使わない隣接面CR0.2



う窩内部が黒くなっている虫歯は進行は止まっているし、痛かったり滲みたりしないことが多い。
その理由は硫酸塩還元細菌の代謝産物の黒色物質FeS(硫化鉄)で覆われていて、FeSはプロトンの伝導を阻止するからだ。歯質(ハイドロキシアパタイト)はプロトンの伝導物質で歯質内外の電位差があれば虫歯になるし(電気的腐食)、滲みたり痛みを感じたりする。

昔からお歯黒(鉄漿:かね)を塗っている歯は虫歯になり難いとされていたが、それはお歯黒の主成分としてFeSが含まれているからだ。

今回もストリップス(隔壁)を使用しないで隣接面のCR充填をする症例だ。最初にCRするときに過不足なくフィニシングラインをフロアラブルレジンで覆うことが重要だ。これが上手くいけば後は積層法を使えば良いだけだ。
レジンはシリンジニードルの先端で塗り広げるのではなく、フィニシングラインから少し引いたところから押し出して行きラインに達したら押し出すのを止めると良い。はみ出したら一番細い探針でフィニシングラインの外側に沿わせて拭う。もちろん出血させないように。

細部がよく見えるように前回から画素数を4倍に細密にしている。

ではいつもの​ スーパーテクニック ​を時系列でどうぞ。







軟化象牙質は露髄するまでしつこく除去する必要はない。虫歯は細菌感染症ではなく電気化学的な腐食現象だからだ。ラバーダムも使う必要性もない。そもそも歯肉縁下の窩洞にはかからないだろう。浸出液等が出てくるスピードを上回るスピードで処置を終われば良いだけだ。
またフィニシンングラインから内側に幅1mmの新鮮歯質が確保できれば良い。強固な接着マージンを確保しマイクロリーケッジを防ぐためだ。これが不完全だと失敗する。セメント合着系の修復が上手くいかないのも同じ理由だ。


α-TCP+3MIXは程よい稠度に練り、ディスポシリンジチップに入れて塗布するが、広げるにはダイカル充填器を使い硬化が始まる前に行うと良い。
オーバーしたら一番小さいスプーンエキスカベーターで除去し、取りきれない部分は硬化後に​​ ダイアモンドラウンドバー ​で軽く除去する。
もちろん軟化象牙質を完全に覆う必要もない。α-TCPが近くにあるだけで再硬化する。​


ここが重要!












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