1ヶ月児を何故こんなに痩せさせたか。3


母乳育児について、私はあまりにも知らなすぎた。



ベビースケールで量らなければ、もしかして赤ちゃんを殺していたかも知れない。

今考えると、本当に恐い。

私のような性格は、危険だと思う。

本などで得た知識も、掲示板で見た経験も、人の事だから、

臨機応変に考えなければならないのに、

この人は、こう言ってるからこれでいいんだ、と、全て良い方に考えてしまう。



つまり、現実から目をそらして、後で後悔することが多いのだが、

今回、それが人間の命にかかわってしまった。

「こうなるはずだから」という私の考えは、違っていた。

「オシッコは、日に6回出てれば良いですよ。」

「ミルク(混合)から脱出する時、体重が最初は減りますが、すぐに増え始めます。」

「ベビースケールで、いちいち量らないで。」

「夜ぐっすり寝ていれば、大丈夫。」

「赤ちゃんは、一日中泣くものですよ。」

これらは、母乳育児が軌道に乗っている普通の人にとっては正しいことだと、今思う。



だが、全て私(子)には当てはまらなかった。

オムツは
日に6回以上交換していた(日が多かった)が、

少しばかり濡れているからと、無理に交換していたかも知れない。

本当は、「びっしょりと濡れたオムツ」が、正しい。



寝つきは悪くても、一度眠りに入ると、5時間や6時間、グッスリ眠っていた。

寝つきの悪さは、「ただの寝ぐずり」だと思っていた。

今思うと、お腹が空いてたまらないので泣き叫び、あんまりにも体力を使ったため、

疲労して、長時間の睡眠に突入したのだろう。

赤ちゃんは、一日中泣くものだから、と、この間違いを否定した。

確かに新生児から2ヶ月頃は、一日中泣いているイメージがある。

“3ヶ月は苗の時代”だから、みんな「赤ちゃんが笑う」頃まで我慢するのだ。

でも、本当は成長の過程で、笑ったり遊んだりする時が、あるはずな時期だった。



「長い時間吸わすと、それだけ飲む量が増える。」は、完全に私の思い違いだ。

長い時間ではなく、本当は頻回な授乳が必要なのだ。

小児科の先生は、左右5分ずつで良いと、断言している。

最初の10分で、およその量飲んでいて、後はほとんど遊んでいるという。

そして、足すミルクの量は、1回につき60ccを超えてはならない。

ミルクが母乳に比べて消化が悪いから、お腹が空かず、

母乳を与える回数が減ってしまうからだ。

60ccくらいが、お腹の空き具合が丁度良い。

なぜ、ミルク消化が悪いのかも、かなり後で本で知った。

しかも当時は、ただのコリックと思い込んでいたため、

それをなだめるために与えていた「おしゃぶり」は、

ますます授乳の回数を回数を減らしてしまっていた。

ネットなどで調べる前は、「混合」とは、足りない量を与えるものだ、と思っていたから、

一度に100とか120ccを与えていた。1ヶ月健診までのことである。







そもそも、「母乳育児」が、自然で当たり前なのに、何故かその当たり前を知らない。

私だけではない。

その証拠に、現在、それ専用の掲示板が溢れている。

その中身というのが、どれを見ても、皆同じ悩みを抱えている。

後で考えると納得がいく数々の悩みも、今そこに立たされているママたちは、

本当に困っている。

悩みの質問のほとんどが、新米ママの、

「母乳育児を諦めたほうが良いか。」

「ミルクを足したほうが良いか。」

「混合だが、最近母乳が出なくなった。」

「母や、夫に、母乳が足りてないからミルクを足せ。と言われる。」

「体重が増えないので、母親の自分が責められる。」などというものだが、

それに対して「大丈夫だから、続けて。」と返信する母乳育児経験ママは多い。

自分達も試行錯誤してきた道だから、母乳育児の素晴らしさを何とか伝えたくて、

一生懸命説得してくれる。

私も、説得して頂いた一人だが、気力と勇気が沸いてくる。

ただでさえ疲れているこの時期に、経験ママの説得は救世主である。



だが、つい最近見たもので、ため息の出るものがあった。

もう疲れてしまったから、ミルクにしたい、というママの書き込みに対して、

ミルク育児ママ達からの熱い応援メッセージの中に、それはあった。

「最近では、母乳の方が汚染されて危ない。

 ミルクも随分研究されて、成分は母乳に負けないほどだ。

 それどころか、かえってミルクの方が、栄養が豊富だから良いですよ。」

という、ミルク信仰の方が居たのだ。

確かに、常に同じ成分を与えるのだから、栄養は偏らないし、

アレルギーによる母親の食事内容除去や、乳腺炎の心配による食物の心配は無い。

夜中に授乳しようがしまいが、乳が出なくなる心配もないし、人前で裸に(少し大袈裟だが。)なる必要もない。

赤ちゃんが痩せていて、母乳だけなんですかと聞かれることは、稀だろう。



私は、この書き込みの方を責める訳ではない。

ある雑誌に、このように誤解を受けるような文章を見ていたからだ。

その方は、恐らくこの雑誌を見たのだろう。

雑誌は、活字の世界だから、時に誤解を受ける。だから、よほど慎重に書いて欲しい。



母親が辛ければ、いつでも母乳育児を諦めて、ミルクに切り替えれば良いと思う。

その辛い時期を知っている私は、心からそう思う。

いくら頑張って母乳育児にしてみてもアレルギーが出る子は、出るし、ストレスをためながら、

夫婦喧嘩や、嫁姑問題に発展するよりはマシかもしれない。

でも、この書き込みを、母乳育児を、と、頑張り始めているママたちの何人が見ただろう。



「溢れるほど出ているのに、飲んでくれません。授乳間隔が短いです。」というのもあった。

なんと勿体無い。

飲んでいるはずだ。小さい赤ちゃんは、いっぺんに飲めない。

だから、30分とか1時間しか、お腹がもたないのだ。短くて当然だ。

授乳間隔は、決して3時間ではない。

溢れるママも、ミルク育児にしたのだろうか…。



助産士さんに、愚痴を言ったことがある。

母乳のしくみは、いくら自分の体だからといっても、普通知らない。

母親(両親)学級や、講座が開設されていても、出向いて行けない人は多い。

母乳育児は、自然に出来ると普通思っているから、出産前から特別勉強しない。

出産すれば、母乳は自然に出るものだと、ほとんどの人が思っているからだ。

でも、いざやってみると出ない。痛い。吸わない。泣かれる。

そこで、初めて壁にぶち当たり、オロオロするのだ。

専門書を前もって読んでいない人や、講座に出席していない人は多いが、

出産前にもマッサージをした方が良いことなどは、皆出産後に知ることになる。



夜、まとめて寝るようになると書かれてある育児書が殆どだ。

私も、赤ちゃんが寝てくれるようになったら、一山超えたと、今までは思っていた。

だが、母乳・授乳の仕組み、サイクルを知れば、それが違うと解る。

体内時計が正常になってきた証拠なのだ。

それに合わせて、母乳も作られることになる。

だから、母親は、リズムが赤ちゃんと合ってくれば、3時間毎にちゃんと起きられるのだ。

そうなると、ある意味、母乳育児が軌道に乗ったということだ。

もし母乳の私が無理に朝まで寝さすと、たちまち断乳してしまう、という事になる。

以外に知られていないのだろう、「夜、続けて寝ません。」という悩みも多い。

つまり、育児書通りいきません。というものだ。

いかに、育児書しか頼るものがないということが、解る。

雑誌の育児書と、母乳の専門書には、全く正反対のことが書かれてあることは、ままある。



母乳育児が推奨されるのなら、何故出産までにその仕組みや体のことが、 

自然に理解出来ていないのだろう。

聞く人、聞く人、違うことを言われると、どれが正しいか解らなくなる。

誰かに助けて貰いたくても、誰に聞けば良いか判らないから、手軽な育児雑誌が売れ、

孤立し、掲示板が満杯になる。

もちろん、育児雑誌を批判する気はない。

自分も買っているし、頼りにしている部分もある。

よその赤ちゃんが沢山載っているので、見ているだけでもかわいい。





人それぞれ、育児の方法は違い、それはみな正解であると思う。

私は、マッサージの存在を知ることが出来て、幸せだった。







1月25日の、40ccミルク×2回をもって、混合は終了した。

生後3ヶ月と8日のことだ。

今度こそ念願の完母だ。

余裕を持っての完母である。

私が混合を脱出出来たのは、サイトのお陰である。

そのサイトに、振り回されたことを差し引いても、余りある。

もしパソコンを持っていなかったらと思うと、ぞっとする。



息子はその後、生後5ヶ月の健診で、「アトピー性皮膚炎」と診断された。

母乳から出る成分による食物アレルギーだ。

多分、あのまま混合を続けていたら、自分を責めていただろう。

上で記したような、「出るものは出る」という考えはなかったと思う。







これからは前向きに戦っていこう。


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