メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Jul 15, 2005
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JSA日本ソムリエ協会のソムリエ試験用のテキストを開くと、最初の方のページに「ワイン概論」という節がある。

 ワインの大まかな歴史や栽培方などから始まって、こちらも良く出題されるのだが、
「ワインの主たる病気とその対策」という項目がある。

 本番のソムリエ試験では、それぞれの病名とそれぞれに対する薬剤の組み合わせを選択するという形で出題されることが多い。
灰色カビ病に対してはロブラール水和剤、ウドンコ病に対しては硫黄を含んだ農薬散布、といった具合である。

いくつかの例があげられているがこの中に「ボルドー液」というのがある。その名に付けられているように、ボルドーが発祥の地らしい。

 「ボルドー液」はべト病というブドウの病気に対して用いられるのだが、このべト病とは、

「1878年ヨーロッパで発見される。湿度の高い地域で繁殖し、初めは透明で油っぽい斑点が葉の表面に現われ、葉の裏側に羽毛が現れる。すぐに処置しないと台無しになる。」

と教本にある

 この「ボルドー液」初めて私がその名前を聞いたのは、もう30年近く以前、小学校2年か3年生の頃のことだった。その当時からワインに親しんでいたのかと言われれば、そんなはずは無い。当時、学研がシリーズもので出版していた本で題名は私の記憶では定かでは無いが「学習マンガ・ナントカのひみつ」の一冊に「ボルドー液」についての記載があったのだ。

 その本によると「ボルドー液」はそもそもブドウ泥棒対策であったらしい。秋の収穫の時期になると、ワインですでに名を馳せていたボルドーにはたびたびブドウ泥棒が表れる。業を煮やしたボルドーの住民たちは対策を練ろうとする。そこで考案されたのが、硫酸銅に生石灰を混ぜたものを水で伸ばし、ブドウのひと房ひと房をその水溶液に着けて回るというものであった。泥棒対策であったものが、実はべト病に効果があった。というニュアンスでのマンガの一節は締めくくられていたように思う。しかし、最初にどうして硫酸銅と生石灰であったのかは説明が無かったような気がする。

 このボルドー液というのは日本の規定では農薬ではない。と、いうのもボルドー液はブドウのほかリンゴなどにも使用されるが、栽培者が自前で混合液を作成することが多く、「ボルドー液」の名称では登録されていないと言うことに他ならない。
 しかし、原料となる硫酸銅は劇物扱いであるため、昨今では年々使用量は減少させる傾向にあるらしい。フランス国内でも銅の体内への蓄積が問題となっているようで、ボルドー液の使用を控える規制も設けられそうだ。

 当然、小学生向けの学習まんがにそこまでの説明が載ってあるはずも無かったが、この「ボルドー液」の文字を見るたびに、そのマンガで泥棒がブドウを盗むのを諦めるひとコマを思いだす。

「うへぇ、なんだこりゃ。きもちわるいぞ。ペッ、ペッ」
(ブドウ泥棒の吹き出しより)






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Last updated  Jul 15, 2005 05:08:31 PM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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