メートル・ド・テル徒然草

PR

Profile

エルネスト1969

エルネスト1969

Calendar

Jun 15, 2017
XML
私の勤め先もそうなのですが、とかく「フランス料理」にはちょっと堅苦しいイメージが付き纏います。

ただ、堅苦しいというのは「重々しい」とか、「難しい」というイメージで捉えられがちですが、一方ではそれも人の興味を惹き、愉しみに繋がる部分も多く備えています。

ちょっと以前の日本での認識では西洋料理というカテゴリーにおいて「フレンチ=高級」「イタリアン=大衆」という認識の分け方が在ったかと思います。

近年では、情報のクロスオーバーによって随分と各国の料理にボーダーは無くなって来ています。
私どもも京都にお店があるものですから、京野菜を用い、日本のブランド黒毛和牛を調理し、何より日本人の感性で料理を拵えています。

おそらく、器や店内の設え、従業員のユニフォームなどが各国料理を見分ける基準ですよね、お隣の日本料理店さんの料理を持ってきてお皿を盛り替えたら分かんなくなってしまうでしょう。

ところがですね、フレンチが最強であることの所以は、何も私が贔屓に思うばかりでなく、披露宴を含むパーティと呼ばれるものは多かれ少なかれ「フォーマル」な要素を持ち合わせていますので、ちょいとした「プロトコール」がどうしても必要とされる部分があるからなのです。

プロトコール、聴きなれない言葉かもしれませんが、情報工学の分野、平たく言えばパソコンなどを扱っている時、ネットを繋ぐときなどに目にされたことがあるかも知れません。

辞書で調べてみますと、「規定」「議定書」「儀典」などが上げられていますが、もともとは「人間同士のやりとりに関する約束事」という言葉のようです。

国同士の外交において、特に儀礼が必要とされる場で用いられています。
例えば、最近韓国の大統領が交代されましたが、大統領が日本を訪れる機会があったとします。日本側は手厚くお迎えしようと首相や、それこそ天皇陛下による公式晩餐会が開催されることもありえますね。

この公式晩餐会、仕様は「フランス料理」の形式が用いられています。なぜでしょうか。
日本料理でもてなしても良さそうです。いえいえ、先方の韓国料理で日本で一番評判のおいお店の料理長を招いて、といった事も考えられます。

ところが、日本料理が日本の誇りであったとしても、外交においてもし両国間が微妙な雰囲気だったりすると嫌味ですし、また韓国の料理だとしてもおそらく自国で料理し提供されているものが最高であると感じることになるでしょうしね。

そんなことからも、フォーマルな場ではフランスの文化である様式を「プロトコールに則って」行われることになります。
余談ですが、フランス料理は諸々の点でプロトコールとなるに相応しい点が見受けられます。
そのひとつがフランス料理の中では最も「上等」とされている食肉が「仔羊」であることでしょうか。
羊は世界的な宗教における禁忌に触れることがないので、これも国際間の社交の場においては有用に働いているようです。

かような経緯もあってか、京都の老舗の日本料理店の多くも近年フランス料理店とのコラボレーションや
宴席にフランス料理の様式を導入されるケースも増えてきているのを見かけるようになりました。

プロトコールは時代背景によって少々変わります。日本なんだから日本料理においては日本のナショナリズムが、と思う向きもあるでしょうが、過去日本の歴史の中でも結構柔軟に取り入れらて来てます。

京都という場所ではあまりにも身近に成りすぎてますが、お坊さんの唱える「お経」。
日本への仏教伝来は6世紀半ばと学校で習いました。当時から1400年ほどの時間が経っていますが、21世紀の現代でもお経の文言は中国語、また、そもそもインド発祥のバーリ語やサンスクリット語を漢字に音を当てはめたものです。

割と近代における発展した装いで大変我々にも身近なものがイギリスを発祥とする「セビル・ロウ」即ち「背広」という服装ですね。おそらくビジネスという社交の場においては世界中の人々が礼儀という面もあり身につけて臨んでいます。

お経も背広も当時、文化が進んだ場所における風俗を基に人々が「お互いの人間関係を円滑」に進めて行けるよう失礼の無い様に不文律で用いられてきた歴史です。

そんなところから、結婚披露宴といったフォーマルの意味を伴った宴席の場では、家族、ご親族はもとより列席者の皆様における礼儀として、また食事の場が愉しい時間を共有することにおいてプロトコールが用いられ、プロトコールの原本となった「フランス料理」の饗応の様式が採用されています。

国際経済においてはアメリカの「ドル」という単位がそうであるようにフランス料理は料理という文化においては、いわゆる「基軸通貨」。

そういった意味で、フランス料理は最も世界で「強い」のです。

【広告】








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Sep 29, 2020 06:51:27 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

Comments

背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

Favorite Blog

ジェームズオオクボ… New! 四方よし通信さん

湘南フレンチ奮闘記 rannboさん
健康になるレストラン ローズシェフさん
アッシュ君の部屋 musigny0209さん
Cool Style piyopiyoyoさん

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: