Marlaのオイシイ生活

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マーラとだんなの結婚までの道のり(5)



終わらせたいと思うので、みなさん、暇つぶしに読んで下さいね。

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彼のアパートに着くと、その頃UW(University of Washington)に通っていた

友達のTちゃんから留守電が入っていた。

「Marlaちゃん、うちにMarlaちゃんのお母さんから電話があったよ。

このメッセージを聞いたらお母さんに電話してあげて」

勇気を振り絞って電話をすると、母は

「お前、本当に今アメリカに居るのか?まだ日本に居るんだろう?!」

と言った。私が本当に家を出てアメリカに戻ってくるとは思わなかったらしい。

「じゃ、いいんだな。もうお前は二度とうちに入ることはないんだな。

お母さんと姉ちゃんに一生会えなくてもいいんだな?!」

そんなの、いい訳がない。ただこっちで彼といっしょになると繰り返すしかなかった。

「なんで姉ちゃんに相談してくれなかったの?」

姉も泣いていた。今まで何でも姉に話していた私が、姉に何も言わずに黙って

日本を去った事に姉はとても傷ついていた。申し訳なかった。

でも私たちの結婚に反対だった姉には何もいえなかったのだ。

「往復チケットを買ってきたから、来年の2月にはお母さんに彼を会わせるのに

彼といっしょに日本に行く予定なんだ」

と言ったが、

「そんなの来てもらっても会うつもりはない」

の一点張り。母が涙をこらえているのが声で分かった。

「これからはお母さんの娘は姉ちゃんだけ。姉ちゃんも一人っ子になった」

と言って、母は電話を切った。

ああ、本当に私は一人ぼっちになってしまったんだなぁ。

自分が選んだ道とはいえ、犠牲にしたものは計り知れなかった。


それから、いろんな友達と集まった。一人で居ると沈んじゃうから

友達と会っていた方が気が楽だった。友達が言うには、その頃の私のお肌は

すごく荒れていて、頬もこけていたんだそう。

食いしん坊で、いつもパンパンの私の顔がげっそりしていたなんて・・・。

自分じゃ分からなかったけど。友達は、Marla大丈夫かな~って思っていたらしい。


クリスマスイブがやってきた。お金がない私は彼にプレゼントを買ってあげられない。

でも彼は何か買ってくれていたらしく、私に封筒を渡してきた。

中には紙が入っていた。

「もしプレゼントが欲しかったらキッチンキャビネットを見ろ」

キッチンキャビネットを開けると、そこにはまた封筒が入っていた。

中の手紙を読むと、今度は

「ここにはプレゼントはないよ~。でも机の引き出しを見てみたら」

と書いてあり、その後も私は部屋の中をたらいまわしにされた。

少々面倒くさくなった私。

「どこにプレゼントがあるのよ~!!いつ辿り着くの~っ?!」

とご立腹。そしてやっと、

「プレゼントが欲しかったら彼に聞いてごらん」

というメッセージが。「で、なんなの?」と冷たく言うと、彼はカウチに座ってた

私の前に片膝立ててひざまずいた。

"Will you marry me?"

彼の手には指輪が入った小さい箱が・・・。

全く予期してなかった事に私はびっくりして、指輪が入った箱を両手で包んだ。

「最初にイエスかノーか言わなきゃだめだよ」

イエスに決まってるでしょー!と私は彼を抱きしめた。

私がうれし泣きしてるのを見て、彼も嬉し涙を流した。

翌日、クリスマスに彼の両親の家に初めて行って、彼が

「僕達、エンゲージしたんだ」

と言うと、

「そうかい。おめでとう!」

と祝福の言葉が。え、そんな簡単にOKしてもらえちゃうの?!

事後報告なのに、自分の息子のエンゲージに関することなのに、それでいいの?!

私はかなりびっくりした。アメリカの家族ってこんなあっさりしたものなのかしら??

彼の家族はみんな良い人達で、私は救われた。


母からはその後も2度ほど電話がかかっていた。

怒っていても、やっぱり自分の娘。捨てたと思っても、愛情深い母は

そんなにスッパリと娘を捨て切れなかったのだ。

私はきっと、母のその愛情に賭けていたんだと思う。

そして年末、また母から電話がかかった。母の声がいつもとちょっと違っていた。

「お前、往復チケットを買ったって言ってたけど、本当に彼氏と

戻ってくる予定なのか?」

うん、と答えると、ちょっと間があって、

「もうお母さんがいくら言ってもお前は言う事を聞かないし、仕方ないから

お前達の結婚を許すことにしたよ」

私は耳を疑った。本当に、本当に母が許してくれたのだ!!!

「・・・ありがとう。お母さん・・・」

私は涙で声も出なかった。こんなに自分勝手な娘を許してくれた母。

彼に母からお許しが出た事を話すと、彼も大喜びだった。


さあ、それからが大変。結婚前にアメリカを出国するから、結婚のために

入国します、というフィアンセビザの手続きに取り掛かり、

彼の日本行きのためにお金の都合をつけたり(彼は貯金ゼロだったので)・・・。

なんだかんだしてるうちに、あっという間に彼と私が日本に行く日がやって来た。

前回、半年ほど前に

「もう彼と会うことはないかもしれない」

と思いながら向かった空港への道が、今回は

「彼と結婚するため」「母と彼の初顔合わせ」

の嬉しい道のりになっていた。

彼にとって初めての日本。緊張と不安につつまれながら、私たちは日本に着いた。

母に連絡をして、私たちは東京に何泊かした。彼の働くホテルが東京にもあって

タダで泊まれるので、何日か東京をぶらぶらするのもいいと思ったのだ。

私の地元に行く日。私は大失敗してしまった。彼をラッシュアワーの電車に

乗せてしまったのだ。彼は人の多さにびっくりしていた。

すでに満員の電車にさらに人が乗ってくる。次の駅に着くと、降りる人は

殆ど居ないのに、乗ろうと待っている人がホームにうようよ・・・。

彼は満員電車の乗り方を知らなくて、人の波に逆らってしまうので、

ただでさえ汗かきなのに、顔を見ると汗ビッショリになって、ものすごい形相に

なりながら、自分の荷物から手が離れてしまった、と焦っていた。

羽田空港に行くための乗り換えの駅まで彼はもつだろうか・・・と

心配だったけど、ある駅で乗客が殆ど全員降りてしまい、彼と私はやっと

ゆっくり座席に座ることができた。

彼はげっそりしていて、超不機嫌になっていた。

でも飛行機の時間まであとちょっとしかなかったから、私は彼の不機嫌に

取り合ってはいられなかった。子供のようにぐずる彼をぐいぐい引きずって

私たちはやっと羽田空港に着いた。

国内線に乗ると、彼も少しずつ機嫌を直し始め、

「僕汗びっしょりになっちゃったから、君のお母さんに会う前に

シャツを替えないと汗臭くてお母さんに嫌われちゃう」

なんて言っていた。

2時間半のフライトの何と短かった事か!

もう会えないかもと思っていた母に会えるのだ。それも彼と一緒に!!

母に何て言おう・・・ドキドキしつつ、私たちはバゲージに向かった。


うるうるストーリー6(最終回)



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