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2004年08月17日
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テーマ: 法律(494)
カテゴリ: 刑法

昨日 、犯罪が成立するには、
構成要件に該当し、違法性が失われず、責任を備えている

事が必要と申し上げました。

今日は、 構成要件 を見ていきましょう。
「形式的に判断すればいいから楽じゃないの?」と思うかも知れませんが、これが結構面倒くさいのです。

まず、犯罪をするには行為が必要です。
そこで、構成要件の一つに、 1実行行為 が必要です。

つぎに、結果が発生しなければ処罰する必要がありません。
(例外的な場合に未遂としてのみ処罰されます)
なので、、 2結果 が必要です。

実行行為と結果さえ揃えば構成要件に該当すると言えるでしょうか。
例えば、「蒲原が清水君を殺そうとして日本刀で切りかかったが、
その場では殺せず、清水君は病院に運ばれた。
しかし、病院が火災にあって火災で清水君は死亡した」

この場合、蒲原に殺人の既遂罪を成立させてもいのでしょうか。
そんなことは無いですね。火災さえなければ蒲原は殺人未遂で済んだのに、自分が手を下したわけではない火災によって清水君が死亡したばかりに殺人既遂罪になってしまうのは不公平です。
なので、あくまで自分が手を下した行為によって結果が発生した場合に限り構成要件に該当すると言うべきです。

そして、「行為によって結果が発生した」といえることを「行為と結果に因果関係がある」と表現します。
よって構成要件に該当するには、 3因果関係 が必要です。


では、1から3が揃えば構成要件に該当すると言って良いでしょうか。
実は一番肝心なものが欠けています。
それは「故意」です。「故意」とは、 罪を犯す意思 のことをいいます。

第三十八条
罪を犯す意思 がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。


このように条文も認めています。
というのも、例えば清水君が三島さんの家に遊びに行こうと思って
草薙充氏の家に行ってしまったとします。
その場合、草薙氏にとっては清水君は不法侵入者ですから、
清水君は処罰されてしまうとも思えます。

しかし、清水君は不法侵入するつもりではなかったのですから、
そんなことで処罰されてはたまったものではありません。
そこで、処罰には故意が必要なのです。

ここまで読むと「『業務上過失致死罪』とか聞くけど、
あれは何?過失と故意は違うでしょ」と
思う方がおられると思います。
そこで、もう一度38条をご覧ください。


第三十八条
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、、 法律に特別の規定 がある場合は、この限りでない。


そう、、 法律に定めていれば 故意が無くても処罰できるのです。
代表的なのが過失罪です。過失罪には故意がありませんが、
ちゃんと条文で定めているので処罰できるのです。
業務上過失致死罪も刑法211条1項で定められています。


第二百十一条  
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、
五年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。


以上の通り、構成要件に該当するといえるためには
1、実行行為
2、結果
3、因果関係
4、故意または過失

が必要です。

明日からは以上の4つについて詳しく見ていきます。





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最終更新日  2004年08月17日 15時09分52秒
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