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4.進化する成長戦略(1)成果目標(KPI)のレビューによるPDCAサイクルの実施 今回の成長戦略では、大きな政策群ごとに、達成すべき「成果目標」(KPI)を示している。国際比較を含め、客観的、定期的、及び総合的に政策の成果を評価できるように、国際機関が示す指標も含めて「成果目標」を設定している。 また「成果目標」を実現するために必要な個別施策を方向性、手段実施時期等を明確にする形で示している。これらの個別施策の中には、今後、詳細設計を実施したり、法律改正、予算要求、税制改正等を行い実行するものも多く含まれているため、個別施策の「進捗管理」を行うこれまでどおりのボトムアップ型のPDCAを実施する必要がある。 しかしながら、達成すべきは、あくまで「成果目標」である。戦略で示されている個別施策を実行しても、そのインパクトが不十分であったり、新たな状況変化が生じたりすることなどにより、「成果目標」を達成できない場合も考えられる。 このため、今回の成長戦略では、ボトムアップ型のPDCAに加えて、これまでとは次元の異なる「成果目標レビュー」を行う。具体的には、1.掲げられた「成果目標」は達成できたのか、2.できなかった場合には何が足りないのか、3.既存の施策の問題点は何か、4.効果のない施策の廃止も含め改善すべき点は何か、といったことを「成果目標達成の可否」という観点からトップダウンで検証を行う。 そいて、検証結果を踏まえ、成果が出るように、施策を柔軟に見直す。経済状況等の変化により、「成果目標」そのものを見直す必要がある場合には、柔軟に見直しを行い、「常に進化し続ける成長戦略」を目指す。(2)本格的成長実現に向けた今後の対応 今回の成長戦略においては日本の中長期的な経済成長を実現するためのシナリオ及び鍵となる制度改革が盛り込まれているが、戦略策定時までにすべての課題において詳細な制度設計が固まったわけではなく、また、成長を実現するために我が国の抱える全ての課題に完全に応えきれてはいない。例えば、我が国のエネルギー需給構造をどうするか、それに伴って地球環境問題にかかる定量的な目標をどうするかなどは本年(2013年)秋以降の課題となっている。 また、雇用関連制度については「行き過ぎた雇用維持」から「失業なき労働移動」といった大きな政策転換がなされたが、「世界トップレベルの雇用環境」にするための課題は残されている。諸外国の働き方や労働関連法規、慣習、実務などから虚心坦懐に学ぶべきものを取り入れ、国民が求める「柔軟で多様な働き方ができる社会」及び「何度でもチャレンジが可能な社会」を作り上げるために解決すべき課題に真正面から取り組む必要がある。また、多様な価値かにゃ経験、ノウハウ、技術を持った海外の優秀な人材を惹きつけ、その受け入れを拡大するための総合的な環境整備についても今後も取り組む必要がある。 医療や介護、保育や年金などの社会保障関連分野は、少子高齢化の進展等により財政負担が増大している一方、制度の設計次第で巨大な新市場として成長の原動力になりうる分野である。今回の戦略では健康長寿産業を戦略的分野の一つに位置付け、健康長寿延伸産業や医薬品・医療機器産業などの発展に向けた政策、保育の場に置け民間活力の活用などを盛り込んだが、医療・介護分野をどう成長市場に変え、質の高いサービスを提供するか、制度の持続可能性をいかに確保するかなど、中長期的な成長を実現するための課題が残されている。 農業については、担い手への農地集積・集約や、企業参入の拡大などに係る施策が盛り込まれているが、農業・農村全体の所得の倍増を達成するためには農業生産性を飛躍的に拡大する必要がある。このためには、企業参入の加速化等による企業経営のノウハウの徹底した活用、農商工連携等による6次産業化、輸出拡大を通じた付加価値の向上、若者も参入しやすいよう「土日」、「給料」のある農業の実現などを追求し、大胆な構造改革に踏み込んでいく必要がある。 持続的な経済成長を支え、「財政再建」を実現するためにも、残された課題については経済財政諮問会議、規制改革会議など関係組織とも連携しつつ、早速、議論を開始することとする。
2014年08月31日
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3.成長戦略をどう実現していくか(1)異次元のスピードによる政策実行 今回の成長戦略と、これまでの成長戦略との最大の違いは、まず、何を目指すのかを明示し、それを実現するための施策を、メニューの羅列にとどめずに、その施策を実行に移すのに必要なステップ(法改正、予算・税制措置、制度改正、審議会付議など)をいつまでに終わらせるのかを工程表という形で可能な限り明らかにしたことにある。 これから行動を起こそうとしている民間にとって、いつ何ができるようになるのかの情報が決定的に重要となる。 特に、20年の停滞から日本経済を再起動するためには、即効性の高い政策やメッセージ性の高い政策はスピード感を持って実施する必要がある。 早期に実現すべきものについては、本年(2013年)8月末までに詳細を明らかにし、準備が整い次第、実行に移すなど、異次元にスピードで政策を実行する。(2)「国家戦略特区」を突破口とする改革加速 日本経済を中長期的な成長軌道に載せていくためには、成長戦略を着実に実施し、浸透させていく地道な努力が不可欠である。一方で、日本が本気で変革する姿勢を内外にアピールし、本当に物事を動かしていくためには、スピード感を持って規制・制度改革やインフラの整備を実現してみせる必要がある。 このためには今回の成長戦略に盛り込まれた施策を迅速かつ確実に実施していくことが基本であるが、新たな手法として、内閣総理大臣主導で、国の成長戦略を実現するため、大胆な規制改革等を実行するための突破口として、「国家戦略特区」を創設することとする。 この「国家戦略特区」では、国・自治体・民間の各主体が対峙するのではなく三者一体となって取り組む案件であって、これまでの特区では実現が期待できなかった、世界からの投資を引き付ける程度にインパクトのあるものに限って対象とし、スピード感を持て実現していく。 内閣総理大臣を長とする「国家戦略特区諮問会議」や大臣・首長・民間事業者からなる特区ごとの統合推進本部の設置など、特区をトップダウンで進めるための制度を速やかに確立する。
2014年08月31日
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(4)成長の果実の国民の暮らしへの反映 成長戦略で目標とした成長率が実現できたとしても、その成果の果実が供給サイドにとどまることなく、最終的には、社会全体の活力が回復し、国民一人ひとりが豊かさを実感でき、将来への希望が持てるようにならなければならない。 特に、20年の長きにわたる経済低迷で、企業もそこで働く人々も守りの姿勢やデフレの思考方法が身についてしまっている今日の状況を前向きな方向に転換していくためには、賃金交渉や労働条件交渉といった個別労使間で解決すべき問題とは別に、成長の果実の分配の在り方、企業の生産性の向上や労働移動の弾力化、少子高齢化、および価値観の多様化が進む中での多様かつ柔軟な働き方、人材育成・人材活用の在り方などについて、長期的視点をもって大所高所から議論していくことが重要である。 従来の政労会見や経営者団体との意見交換という形とは別に、政・老・使の三者が膝を交えて、虚心坦懐※かつ建設的に意見を述べ合い、包括的な課題解決に向けた共通認識を得るための場を設定し、速やかに議論を開始する。 成長戦略は財政再建と矛盾するものであってはならない。民間資金を活用した社会資本整備、世界最高水準の電子政府の実現、医療の徹底したICTや大学改革など成長戦略に盛り込まれた施策を着実に実施することは財政健全化にも貢献するものであり、また、それは経済成長の実現を通じて、企業所得や国民所得を向上させ、歳入の増大という形で財政再建にも寄与するものである。※心に何のわだかまりもなく、気持ちがさっぱりしていること。心にわだかまりが無く、平静に事に臨むこと、また、そうしたさま。(goo辞書より引用)
2014年08月30日
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(3)新たなフロンティアを作り出す 中長期的に経済成長を続けていくためには、これまでにない製品やサービス、システムを作り上げることで全く新しい市場を創造するか、成長・拡大を続ける国際マーケットで増えたパイを取りに行くかの二つのフロンティアを開拓していくしか方法がない。 長期の停滞に土地いる前の日本の成長は、まさにこの二つのフロンティアで勝ち続けたからこそ実現できたのである。「メイド・イン・ジャパン」は、これを象徴する言葉であり、新しい技術を取り入れた日本製品を次々と生み出し、世界の隅々までこれを売り込んでいったのである。 研究開発競争、世界市場獲得競争が従前とは比べ物にならないほど激化している今日、胃のえーション戦略と国際展開戦略を抜本的に強化して、今度は「メイド・バイ・ジャパン」で、もう一度光を取り戻す。(オールジャパンの対応で「技術立国・知財立国日本」を再興する) 日本は現在でも高い技術力を有しており、国や大学の研究機関も民間も世界の先端を行く研究を行い、将来有望な技術シーズを数多く保有している。 それにもかかわらず、最終製品段階の国際競争で他国の後塵を拝することが多いのは、国、大学、民間の研究開発が、出口を見据えずバラバラに行われ、それぞれの持ち味を十分に生かし切れていないことが原因である。 「総合科学技術会議」の司令塔機能を抜本的に強化し、日本が負けてはならない戦略分野を特定し、そこに国、大学、及び民間の人材や、知財、及び資金を集中的に投入するドリームチームを編成することで、世界とのフロンティア開拓競争に打ち勝って新たな成長分野を創り出していく。 また、世界の先を行く基礎研究の成果を一気に実用化レベルに引き上げるための革新的な研究を徹底的に支援し、iPSプロジェクトのような成功例を次々と生み出して行く。 国の総力を結集して「技術で勝ち続ける国」を創る。さらに、日本人の知恵、創造力を発揮して、世界最高の「知的財産立国」を目指す。 (世界に飛び出し、そして世界を惹きつける) 新興国を中心に世界のマーケットは急速な勢いで拡大を続けており、このマーケットの獲得競争に打ち勝っていけるかどうかは、資源の乏しい日本にとって死活問題である。 経済連携協定や投資協定、租税条約の締結など、国内外の市場に跨る制度面での障害を取り除いていくことは、新興国等の成長を最大限取り込み、日本市場に投資を呼び込んで行くための大前提とでも言うべきことである。 成長を続ける国際マーケットを如何に取り込んでいくかは、今や、国と国との競争になっているのが現実である。 電力、水、IT、鉄道などのインフラ分野における我が国の製品や要素技術は世界トップ水準にある力を持ちながら国内にとどまっている中堅、中小企業も少なくない。 また、日本文化に裏打ちされたコンテンツや日本食、医療システムなどは圧倒的な競争力を有している。それにもかかわらず、世界市場への参入が遅れ、日本への投資、観光客が伸び悩んでいる。 国際展開に関するに限り、商売の話は民だけに任せれば良いという従来の発想を大胆に転換し、インフラ輸出やクールジャパンの推進などのトップセールスを含め官民一体で戦略的に市場を獲得し、同時に日本に投資と観光客を取り込む体制を整備する。 また、高度外国人材の日本での活躍を促進するため、ポイント制度を見直す。これにより、海外から得た富を含め国民が受け取る総所得である実質国民総所得(GNI)の拡大を実現する。
2014年08月29日
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(2)全員参加・世界で勝てる人材を育てる 人材こそが日本が世界に誇る最大の資源である。日本の経済社会を覆う閉塞感や経済の停滞の最大の要因の一つは、少子高齢化の中で、人材の持つポテンシャルが十分に発揮されていないことにある。 戦後の高度経済成長の時代につくられた雇用システムや教育システムが、「成功体験の罠」にとらわれ、今日まで維持温存されてしまった結果、女性や高齢者の能力が十分活用されないままとなっており、また、子供や若者たちの教育も世界の潮流や時代の変化に取り残されてしまっている。 これは裏返して言えば、今のシステムを大胆に変えさえすれば、経済成長に必要な人材資源を大きく取り入れ、少子高齢化に歯止めをかけ、我が国の潜在成長率を高めることができるということである。(女性が働きやすい環境を整え、社会に活力を取り戻す) 特に、これまで生かし切れていなかったわが国最大の潜在力である「女性の力」を最大限発揮できるようにすることは、少子高齢化で労働力人口の減少が懸念される中で、新たな成長分野を支えていく人材を確保していくためにも不可欠である。 女性の労働参加の拡大や、経営への参加の促進は、これまで以上に多様な価値観を取り込む新たなサービス・製品の創出を促進し、社会全体に活力をもたらすほかに、家庭の単位でみても、ダブルインカムが実現されることで、家計所得と購買力が増大し、景気の好循環が動きだし、豊かさが実感できるようになる。 このため、保育の受け皿の整備などにより夫婦が働きながら安心して子供を育てる環境を整備すると同時に、育児休業後の職場復帰の支援、女性の積極登用などを通じて、女性の労働参加率を抜本的に引き上げることを目指す。(若者も高齢者も、もっと自分の能力を活かして活き活きと働ける社会にする) 若者が、学校を出て、就職し、一生同じ会社で働くというシステムは、今や過去のものとなっている。 新陳代謝を加速させ、新たな成長分野での雇用機会の拡大を図る中で、成熟分野から成長分野への失業なき労働移動を進めるため、雇用政策の基本を行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へと大胆に転換する。 自分の能力に見合わない一時的な職を転々とするのではなく、希望を持て、意欲的に自分の能力を磨きつつ、能力に見合った報酬が得られる職に就き、家庭を気づき、次の世代をしっかり育てていけるようにする。このため、ハローワークの情報や業務を思い切って民間人材ビジネスに開放し、民間が有するノウハウを活用する形で、スキルアップ研修、ふさわしい職とのマッチングなどを支援する。(日本の若者を世界で活躍できる人材に育て上げる) 今や日本の若者は世界の若者との競争にさらされている。将来の日本を担う若者が、国際マーケットの競争に勝ち抜き、学術研究や文化・国際貢献の面でも世界の舞台で活躍できるようにするためには、まず何よりも教育する側、すなわち学校を世界標準に変えていくことを急がなければならない。 日本の大学を世界のトップクラスの水準に引き上げる。このため国立大学について、運営の自由度を大胆に拡大する。世界と肩を並べるための努力をした大学を重点的に支援する方向に国の関与の在り方を転換し、大学の潜在力を最大限に引き出す。また、「鉄は熱いうちに打て」のことわざどおり、初等中等教育段階からの英語教育を強化し、高等教育等における留学機会を抜本的に拡充し、世界と戦える人材を育てる。
2014年08月28日
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2.成長への道筋(1)民間の力を最大限に引き出す 産業競争力強化の鍵を握るのはあくまでも民間である。「第一の矢」「第二の矢」で創ったデフレ脱却への期待を一時的なものに終わらせないためには、企業に眠る膨大な資金を将来の価値を生み出す投資へと向かわせる必要がある。 このため、政府としては、安定的なマクロ経済環境の整備や経済連携の立ち遅れの解消、低コストでのエネルギー供給の実現、投資を阻害する諸規制・制度の見直しなど、我が国企業の競争条件の改善に向けて、これまで以上に強化に取り組むべきは言うまでもない。 生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、思い切った投資減税で法人負担を軽減すること等によって積極姿勢に転じた企業を大胆に支援していく。 しかしながら、実際に物事を動かすのは民間であり、企業経営者には、決断し、行動し、世界と戦う覚悟を持ってもらわなければならない。(新陳代謝とベンチャーの加速) 古くなった設備・資産を大胆に処分し、型遅れの設備を最新鋭のものに置き換える。もう一度世界のトップに躍り出るための研究開発を加速し、成長分野に資金・人材・設備を積極的に投入する。思い切った事業再編を断行し、企業として、産業として新陳代謝を促進する。 こうした形で企業経営者が動き出せば、日本の企業が再び元気を取り戻し、設備投資の増加や生産性の向上を実現することを通じて、魅力的な新製品・サービスを次々と生み出し、国際的な競争に勝ち抜き、世界の市場を獲得していくことが期待できる。 企業経営者に大胆な新陳代謝や新たな企業を促し、それを後押しするため、設備投資促進策や新事業の創出を従来の発想を超えたスピードと規模間で大胆かつ強力に推進する。加えて、株主等が企業経営者の前向きな取り組みを積極的に後押しするようコーポレートガバナンスを見直し、日本企業を国際競争に勝てる体質に変革する。(規制・制度改革と官業の開放を断行する) 民間の投資を引き出す際に何よりも重要となるのが、投資先で民間の創意と工夫が十分に発揮できる仕組みが用意されるのか、これまで規制で縛られていた分野がこれからどう変わるのかという点である。 医療・介護・保育などの社会保障分野や、農業、エネルギー産業、公共事業などの分野は、民間の創意工夫が生かされにくい分野と言われてきた。このことは、これらの分野はやり方次第では、成長分野へと変換可能であり、また、良質で低コストのサービスや製品を国民に効率的に提供できる大きな余地が残された分野であることを意味する。 これまで民間の力の活用が不十分であった分野や、そもそも民間が入り込めなかった分野で規制・制度改革と官業の開放を断行し、「規制省国」を実現する。単に、規制分野や官業への民間参入を促すだけにとどまらず、これらの分野に民間の資金、人材、技術、ノウハウを呼び込み、意欲ある人材や新技術が積極的に投入されるようにして、新たな日本経済の成長エンジン、雇用機会を提供する産業に仕立て上げることを目指す。 例えば、国民の関心の高い健康分野については、日本版NIH※の創設や先進医療の対象拡大によって革新的な医療技術を世界に先駆けて実用化していくとともに、一般用医薬品のインターネット販売の解禁や、医療・介護・予防のICT※2を徹底し、世界で最も便利で効率的で安心できるシステムを作り上げる。農業については、農地中間管理機構を整備・活用して、農地集約を加速化したうえで、リース方式により企業を含めた多様な担い手の農業参入を促進する。 また、もっぱら官が担ってきた社会資本整備に、コンセッション方式等によるPPP/PFI※3を活用することで大胆に民間の資金や知恵を導入し、より安全で便利な、より強心な社会インフラを効率的に整備していく。また、世界最高水準の事業環境を整備し、ビッグデータや公共データなどITを活用したイノベーションを起こす。 このように民間の活力を最大限引き出すことを目指して、新陳代謝とベンチャーの加速、規制・制度改革と官業の開放を断行することで、グローバル競争に勝ち続ける製造業の復活、付加価値の高いサービス産業の創出を図る。※National Institutes of Health 健康医療分野の研究を統括し、複数省庁からなる研究予算請求を一元管理する司令塔機能で、基礎研究そのものよりも、病気の予防・治療などの臨床応用に成果を活かす「トランスレーショナル・リサーチ」を重視※2Information and Communication Technology 情報技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉※3PPP:Pubric Private Partnership 公民が連携して公共サービスの提供を行うスキーム、PFIはPPPの代表的な手法の一つPFI:Private Finance Initiative 公共施行等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方
2014年08月27日
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今回から、くすりから離れて、政府が昨年6月14日に公示した「日本再興戦略 JAPAN is BACK]」について紹介します。日本再興戦略第1 総論1.成長戦略の基本的考え方 20年以上も続いた経済の低迷は、余りにも長すぎ、わが国際経済社会に深刻な影響をもたらした。 働き手が減少していくという少子高齢化社会の到来と相まって、デフレが長期化した結果、企業は、設備投資や賃金を抑制し、研究開発投資すら手控えるところまで追い込まれ、消費者も、将来への不安や所得減少から消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレを加速するという悪循環から抜け出せずにいた。 経済が長期停滞に陥ったこの期間を指して「失われた20年」と言われているが、経済的なロスよりも、企業経営者が、そして国民個人もかつての自信を失い、将来への希望を持てなくなっていることの方がはるかに深刻である。 自信が無ければ新たな成長分野でリスクを負うことなどはできず、人材は能力を発揮する場が限られ、技術やアイディアが放置され、個人の金融資産や企業の内部保留が行き場もなく有効活用されないといった、ヒト・モノ・カネの構造的な「澱み」が生じるのは当然である。 安倍政権が発足して半年に満たないが、デフレマインドを一掃するための大胆な金融政策という第一の矢、そして湿った経済を発火させるための機動的な財政政策という第二の矢を放つと同時に、TPPへの交渉参加、電力システム改革、待機児童解消策など、必要性は言われながらも棚上げとなっていた課題についても決断し、実行に着手するまでに至っている。 その結果、消費と企業業績の回復傾向という形を通じて、国民の間に、そして国際社会の間でも、日本経済の先行きに対する「期待」のともしびが灯るまでになった。 こうした状況で第三の矢として成長戦略が果たすべき役割は、明確である。それは企業経営者の、そして国民一人ひとりの自信を回復し、「期待」を「行動」へと変えていくことである。 今、日本は、いずれ世界の国々が直面することとなる少子高齢化、資源・エネルギー問題などに真っ先に取り組まざるを得ない「課題先進国」の立場に置かれている。これは世界に先駆けて課題を解決することができれば、新たな成長分野で一躍世界のトップに躍り出るチャンスを前にしているということでもある。 今一度、攻めの経済政策を実行し、困難な課題に挑戦する気持ちを奮い立たせ(チャレンジ)、国の内外を問わず(オープン)、新たな成長分野を切り開いていく(イノベーション)ことで、澱んでいたヒト・モノ・カネを一気に動かしていく(アクション)。 止まっていた経済が再び動き出す中で、新陳代謝を促し、成長分野への投資や人材の移動を加速することができれば、企業の収益も改善し、それが従業員の給与アップ、雇用の増大という形で国民に還元されることとなる。そうすれば、消費が増え、新たな投資を誘発するという好循環が実現し、地域や中小企業・小規模事業者にも波及していくこととなる。 今回の成長戦略を新たなスタートとして、民間のすべての経済主体が挑戦する気概を持って積極的かつ能動的に成長に向けた取り組みを本格化することで、初めてこうした好循環が起動することとなり、日本経済を停滞から再生へと、そしてさらなる高みへと飛躍させ、成長軌道へと定着させることが可能となる。 今回の成長戦略を始めとする三本の矢を実施することなどを通じて、中長期的に、2%以上の労働生産性の向上を実現する活力ある経済を実現し、今後10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の成長を実現することを目指す。2010年代後半には、より高い成長の実現を目指す。 その下で、1人当たりの名目国民総所得(GNI)は中長期的には年3%を上回る伸びとなり、10年後には150万円以上増加することが期待される。 経済成長を確実に実現していくために、こうした目指すべきマクロ経済の姿を掲げるとともに、今回の戦略では、政策群ごとに達成すべき成果目標(KPI:Key Performance Indicator)を定めている。 その目標の実現のために、現在講じ得る規制改革・予算・税制などの施策をパッケージとして打ち出しているが、これで終わりということではなく、成果目標の達成に向けて、立て続けに施策を追加、深堀りしていくという、「常に進化していく成長戦略」を展開していくこととする。
2014年08月26日
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・医薬品の分類と販売方法について 平成26年6月11日までは ○医療用医薬品(処方薬) 対面販売(省令) ○第1類医薬品 対面販売 ○第2類医薬品 対面販売 ○第3類医薬品 ネット販売可能 平成26年6月12日からは ○医療用医薬品(処方薬) 対面販売(法律) ○要指導医薬品 対面販売(新設)、スイッチ直後品、原則3年後には第1~3類医薬品へ移行 ○第1類医薬品 ネット販売可能 ○第2類医薬品 ネット販売可能 ○第3類医薬品 ネット販売可能・一般用医薬品のネット販売のルール概要1.ネット販売のトップページへ明記するもの (1)専門家の氏名等 (2)対応専門家の勤務シフト表の表示 (3)営業時間外を含めた連絡先 (4)ネットのほかに、対面や電話での相談体制を整備2.その他のルール (1)ネット販売を行う店舗の一覧を厚生労働省のホームページに記載 (2)薬剤師等の専門家による薬局等の実地の管理 (3)営業時間内の薬剤師等の専門家の常駐 (4)専門家の名札等の着用 (5)情報提供・販売した専門家の氏名等を伝達 (6)専門家の氏名・販売時刻等の記録の作成・保存(第1類は義務、第2,3類医薬品は努力義務) (7)テレビ電話の設置等、薬事監視を確実に行える仕組みの整備(ただし店舗閉店時にネット販売を行う場合) (8)情報の自動送信・一斉送信は不可・購入者と専門家との一往復半ルール往路 使用者が返答・確認すべき項目や質問等を送信→復路 専門家から注意すべき事項の伝達、再度質問が無いかの確認←往路 提供された情報を理解した旨、再質問・他の相談は無い旨を送信→一往復半のやり取り後に商品の販売(発送)が行われる。そのほか、販売者への細かなルール(許可・届出、構造設備、業務体制等)の追加・変更が行われた。一般用医薬品をネットで購入する際は、面倒なことが増えましたが、これらの手順を踏むことはとても重要であり、今後増えていくであろうスイッチOTCの販売への大きな一歩ととらえ、使用者、販売者がこのルールを守り、適切な医薬品使用に努めていかなければならない。
2014年08月24日
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一般用医薬品のインターネット販売について これまであいまいなルールの下で行われていた、一般用医薬品のインターネット販売。2013年1月11日のケンコーコム等のインターネット販売勝訴を機に、明確なルールが策定された。その概要について列挙していく。薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律(概要) 厚生労働省平成26年2月資料より1.医薬品の販売規制の見直し(1)一般用医薬品:適切なルールの下、すべてネット販売が可能 ○第1類医薬品は、これまでどおり薬剤師が販売し、その際は、 ・年齢、他の医薬品の使用状況等について、薬剤師が確認 ・適正に使用されると認められる場合を除き、薬剤師が情報提供 ○その他の販売方法に関する遵守事項は、法律に根拠規定を置いて省令等で規定(2)スイッチ直後品目・劇薬(=要指導医薬品):対面販売 ○スイッチ直後品目※・劇薬については、他の一般用医薬品とは性質が異なるため、要指導医薬品(今回新設)に指定し、薬剤師が対面で情報提供・指導 ※医療用から一般用に移行して間もなく、一般用としてのリスクが確定していない薬 ○スイッチ直後品目については、原則3年で一般用医薬品へ移行させ、ネット販売可能(3)医療用医薬品(処方薬):引き続き対面販売 ○医療用医薬品については、人体に対する作用が著しく、重篤な副作用が生じる恐れがあるため、これまでどおり※薬剤師が対面で情報提供・指導 ※これまでは、薬事法ではなく、省令で対面販売を規定していた2.指定薬物の所持・使用等の禁止 ○指定薬物※について、学術研究等を除き、その所持、使用等を禁止し、違反した場合には罰則 ※精神毒性(幻覚、中枢神経系の興奮・抑制)を有する蓋然性(確からしさ)が高く、人に使用された場合に保健衛生上の危害の恐れがある物質3.施行期日:公布日(平成25年12月13日)から6か月以内の政令で定める日、平成26年6月12日施行であった
2014年08月24日
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【検査結果に影響を与える要因】(c)検査薬の取扱い、検出反応が行われる環境 尿中hCGの検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けることがある。検査薬が高温になる場所に放置されたり、冷蔵庫内に保管されていたりすると、設計通りの検出感度を発揮できなくなる恐れがある。 また、検査操作を行う場所の室温が極端に高いまたは低い場合にも、正確な検査結果が得られないことがある。(d)検体の取扱い、検体中の混在物質 採取した尿を放置すると、雑菌の繁殖等によって尿中の成分の分解が勧め、検査結果に影響を与える恐れがあるので、なるべく採尿後速やかに検査がなされることが望ましい。高濃度の尿たんぱくや尿糖の場合、非特異的な反応が生じて擬陽性を示すことがある。(e)ホルモン分泌の変動 絨毛細胞が腫瘍化している場合には、妊娠していなくてもhCGが分泌され、検査結果が陽性となることがある。また、本来はhCGを産生しない組織の細胞でも、腫瘍化するとhCGを産生するようになることがある(胃がん、膵がん、卵巣がん等)。 経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。閉経期に入っている人も、検査結果が陽性となることがある。(f)異常妊娠 子宮外妊娠や胞状奇胎※(ほうじょうきたい)などを生じている場合には、妊娠しているにもかかわらず検査結果が陰性となることがある。【検査結果の判断、受診勧奨】 妊娠検査薬は、妊娠の早期判定の補助として尿中のHCGの有無を調べるものであり、その結果を持て直ちに妊娠しているか否かを断定することはできない。妊娠の確定診断医は、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医が問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極める必要がある。 妊娠が成立していたとしても、正常な妊娠か否かについては、妊娠検査薬による検査結果では判別できないので、妊娠週数が進むままに漫然と過ごすのではなく、早期に医師の診断を受けることが望ましい。また、検査結果が陰性であって月経の遅れが著しい場合には、擬陰性であった(実際は妊娠している)可能性のほか、続発性無月経※2等の病気である恐れもあり、医療機関を受診して専門医へ相談がなされることが望ましい。※異常な受精卵が増殖したもの、または胎盤由来の組織が過剰に繁殖したもの※2初潮後ある程度月経を経験した女性の月経が3か月以上無くなる疾患。無理なダイエットや拒食症、過度のスポーツ等が原因でしばしば起こりうる。
2014年08月23日
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【検査結果に影響を与える要因】(c)検査薬の取扱い、検出反応が行われる環境 尿中hCGの検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けることがある。検査薬が高温になる場所に放置されたり、冷蔵庫内に保管されていたりすると、設計通りの検出感度を発揮できなくなる恐れがある。 また、検査操作を行う場所の室温が極端に高いまたは低い場合にも、正確な検査結果が得られないことがある。(d)検体の取扱い、検体中の混在物質 採取した尿を放置すると、雑菌の繁殖等によって尿中の成分の分解が勧め、検査結果に影響を与える恐れがあるので、なるべく採尿後速やかに検査がなされることが望ましい。高濃度の尿たんぱくや尿糖の場合、非特異的な反応が生じて擬陽性を示すことがある。(e)ホルモン分泌の変動 絨毛細胞が腫瘍化している場合には、妊娠していなくてもhCGが分泌され、検査結果が陽性となることがある。また、本来はhCGを産生しない組織の細胞でも、腫瘍化するとhCGを産生するようになることがある(胃がん、膵がん、卵巣がん等)。 経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。閉経期に入っている人も、検査結果が陽性となることがある。(f)異常妊娠 子宮外妊娠や胞状奇胎※(ほうじょうきたい)などを生じている場合には、妊娠しているにもかかわらず検査結果が陰性となることがある。【検査結果の判断、受診勧奨】 妊娠検査薬は、妊娠の早期判定の補助として尿中のHCGの有無を調べるものであり、その結果を持て直ちに妊娠しているか否かを断定することはできない。妊娠の確定診断医は、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医が問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極める必要がある。 妊娠が成立していたとしても、正常な妊娠か否かについては、妊娠検査薬による検査結果では判別できないので、妊娠週数が進むままに漫然と過ごすのではなく、早期に医師の診断を受けることが望ましい。また、検査結果が陰性であって月経の遅れが著しい場合には、擬陰性であった(実際は妊娠している)可能性のほか、続発性無月経※2等の病気である恐れもあり、医療機関を受診して専門医へ相談がなされることが望ましい。※異常な受精卵が増殖したもの、または胎盤由来の組織が過剰に繁殖したもの※2初潮後ある程度月経を経験した女性の月経が3か月以上無くなる疾患。無理なダイエットや拒食症、過度のスポーツ等が原因でしばしば起こりうる。
2014年08月23日
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2.妊娠検査薬1)妊娠の早期発見の意義 妊娠の初期(妊娠12週※まで)は、胎児の脳や内臓などの諸器官が形作られる重要な時期であり、母体が摂取した物質等の影響を受けやすい時期でもある。そのため、妊娠しているかどうかを早い段階で知り、食事の内容※2や医薬品の使用に適切な配慮がなされるとともに、飲酒や喫煙、風疹や水痘(水ぼうそう)などの感染症※3、放射線照射等を避けることが、母子の健康にとって重要となる。2)検査結果に影響を与える要因、検査結果の判断、受診勧奨【検査結果に影響を与える要因】 妊娠が成立すると、胎児(受精卵)を取り巻く絨毛細胞からヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌され始め、やがて尿中にhCGが検出されるようになる。妊娠検査薬は、尿中のhCGの有無を調べるものであり、通常、実際に妊娠が成立してから4週目前後の尿中hCG濃度を検出感度としている。 その検査結果に影響を与える主な要因として以下のものがある。(a)検査の時期 一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎておおむね1週目以降の検査が推奨されている。月経周期が不規則な人や、月経の日数計算を間違えた場合など、それよりも早い時期に検査がなされ、陰性の結果が出たとしても、それが妊娠していないこと(単なる月経の遅れ)を意味するのか、実際には妊娠していて尿中hCGが検出感度に達していないことによる擬陰性であるのか判別できない。(b)採尿のタイミング 検体としては、尿中hCGが検出されやすい早期尿(起床直後の尿)が向いているが、尿が濃すぎると、かえって正確な結果が得られないこともある。※妊娠が成立した日を厳密に特定することは困難なことがあり、通常、妊娠数週は最後の月経が始まった日から起算される。※2例えば、妊娠期間中は、食事中に含まれる魚介類(クジラ等を含む)の種類と量に留意される必要がある。また、鉄分等の栄養素が不足し、貧血になりやすくなる。※3妊娠期間中に風疹や水痘などの感染症にかかると、胎児に先天異常を生じることがある。
2014年08月22日
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8月20日、東京、神奈川にあるまいばすけっとでケール100%青汁が、ようやく店頭に並びました! 化学肥料、糖類などの添加物は使わず、純粋なケールだけを使用した贅沢な青汁です。 青汁というか、『ケール汁』です。 このロット品はメロンの様に甘い春ケールだけを使用した、ケールの中でも一番美味しい時期のものなので、味は抜群です。 お水でも美味しいですが、牛乳や豆乳でも美味しくいただけます。 32包1,479円、1包あたり46円とお得です。同じスペックの他社製品は1回あたり100円をするものもあります。 ぜひ一度、ご賞味ください。
2014年08月21日
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(c)採尿の仕方 出始めの尿では、尿道や外陰部等に付着した細菌や分泌物が混入することがあるため、中間尿を採取して検査がなされることが望ましい。(d)検査薬の取扱い 採取した尿を放置すると、雑菌の繁殖等によって尿中の成分の分解が進み、検査結果に影響を与える恐れがあるので、なるべく採尿後速やかに検査がなされることが望ましい。(e)検査薬の取扱い 尿糖または尿たんぱくを検出する部分を直接手で触れると、正確な検査結果が得られなくなることがある。また、長い間尿に浸していると検出成分が溶け出してしまい、正確な検査結果が得られなくなることがある。(f)食事等の影響 通常、尿は弱酸性であるが、食事そのほかの影響で中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。また、医薬品の中にも、検査結果に影響を与える成分を含むものがある。医師(または歯科医師)から処方された薬剤(医療用医薬品)を使用している場合には、治療を行っている医師または調剤を行った薬剤師に相談するよう説明がなされることが望ましい。【検査結果の判断、受診勧奨】 尿糖・尿たんぱく検査薬は、尿中の糖やたんぱく質の有無を調べるものであり、その結果をもって直ちに疾患の有無や種類を判断することはできない。 尿糖または尿たんぱくが要請の場合には、疾患の確定診断や適切な治療につなげるため、早期に医師の診断を受ける必要がある。また、検査結果では尿糖または尿たんぱくが陰性でも、何らかの症状がある場合は、再検査をするかまたは医療機関を受診して医師に相談することが望ましい。
2014年08月21日
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1.尿糖・尿たんぱく検査薬1)尿中の等・たんぱく値に異常を生じる要因 泌尿器系の機能が正常に働いていて、また、血糖値が正常であれば、糖分やたんぱく質は腎臓の尿細管においてほとんどが再吸収される(尿中には糖分やたんぱく質はほとんど含まれない)。 尿糖値に異常を生じる要因は、一般に高血糖と結び付けられて捉えられることが多いが、腎性糖尿、妊娠糖尿等のように高血糖を伴わない場合もある。尿中のタンパク値に異常を生じる要因については、腎臓機能障害によるものとして腎炎やネフローゼ、尿路に異常が生じたことによるものとして尿路感染症、尿路結石、膀胱炎等がある。2)検査結果に影響を与える要因、検査結果の判断、受診勧奨【検査結果に影響を与える要因】 尿糖・尿たんぱくの検査結果に影響を与える主な要因として以下のものがある。(a)採尿に用いた容器の汚れ 糖分やたんぱく質が付着しているよう気に尿を採取すると正確な検査結果が得られないので、清浄な容器が使用される必要がある。(b)採尿のタイミング 尿糖の場合、原則として食後(1~2時間)の尿を検体とする。尿たんぱくの場合、原則として早朝尿※(起床直後の尿)を検体とし、激しい運動の直後は避ける必要がある。 尿糖・尿たんぱく同時検査の場合、早朝尿(起床直後)の尿を検体とするが、尿糖が検出された場合には、食後(1~2時間)の尿について改めて検査して判断する必要がある。※早朝尿は、常に一定の条件で検査がなされるのにも適している。
2014年08月20日
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16.一般検査薬 もっぱら疾病の診断に使用されることが目的とされる医薬品のうち、人体に直接使用されることのないものを体外診断用医薬品という。体外診断用医薬品の多くは医療用医薬品となっているが、尿糖・尿たんぱく検査及び妊娠検査薬については、一般用医薬品(一般用検査薬)となっているが、医薬品の販売業(店舗販売業、配置販売業)において取り扱うことが認められた製品がある。 一般用検査薬は、一般の生活者が(自覚症状が現れた後でなく)日常において自らの体調をチェックすることを目的とするものであり、その検査結果から必要に応じて医療機関を受診し、疾患等の早期発見につなげることができるようにするものである。【検出感度、擬陰性・疑陽性】 検査薬は、対象とする生体物質を特異的に検出するように設計されている。しかし、検体中の対象物質の濃度が極めてぃくい場合には検出反応が起こらずに陰性の結果が出る。検出反応が起こるための最低限の濃度が検出感度以下であったり、検出反応を妨害する他の物質の影響等によって、検査結果が陰性となった場合を擬陰性という。 逆に、検体中に存在していないにもかかわらず、検査対象外の物質と非特異的な反応が起こって検査結果が陽性となった場合を疑陽性という。 生体から採取された検体には予期しない妨害物質や化学構造が良く似た物質が混在することがあり、いかなる検査薬においても擬陰性・疑陽性を完全に排除することは困難である。
2014年08月19日
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【殺虫剤を使用留守際の一般的な留意事項】 殺虫剤を噴霧・散布する際は、なるべく防護ゴーグル、マスク、手袋、肌の露出の低い衣服を着用し、定められた用法・用量を厳守して使用する。医薬品が皮膚に付着した場合には、ただちに石鹸水で洗い流し、目や口に入らないようにする。また、食品、食器、玩具等に医薬品がかからないよう、あらかじめ他の場所へ移動させるか収納しておく(食器棚の扉を開けて殺虫する場合は、食品と食器はビニール袋に入れて密閉する)必要がある。 殺虫剤を使用した後に身体に異常が現れた場合、または誤って医薬品を飲み込んだ場合には、その製品が何系の殺虫成分を含むものであるかを医師に伝えて診療を受けることが望ましい。【忌避剤を使用する際の一般的な留意事項】 基本的に、忌避剤は漫然な使用を避け、蚊、ブユ(ブヨ)等が多い戸外での使用等、必要な場合にのみ使用することが重要である。また、噴霧剤等を使用した場合も塗むらがあると忌避効果が落ちるが、手で塗拡げるなどして、必要以上に使用しないこと。 粘膜刺激性があるため、創傷面、目の周囲、粘膜等に薬剤が触れないようにする必要がある。また、皮膚にひどい湿疹やただれを起こしている人では、使用を避けることが望ましい。なお、薬剤により合成繊維やプラスチック製品の腐食を生じることがある。 噴霧剤となっている忌避剤を顔面に使用する場合は、目や口の粘膜に触れることのないよう、いったん手のひらに噴霧してから塗布する(その場合、塗布した手で目をこすらないようにする)等、直接顔面に噴霧しないようにする必要がある。 また、玄関のような狭い場所で使用することも、目や口の粘膜に触れやすくなるため、避けることが望ましい。万一、目に入った時はただちに大量の水でよく洗い流し、症状が重い場合には、使用した医薬品の含有成分(例えば、ディートとアルコール)を眼科医に伝えて診療を受けることとされている。 ディートについては、外国において動物実験(ラット皮膚塗布試験)で神経毒性が示唆されているため、ディートを含有する忌避剤(医薬品及び医薬部外品)は、生後6か月未満の乳児への使用を避けることとされている。また、生後6か月から12歳未満までの小児については顔面への使用を避け、1日の使用限度(6か月以上2歳未満:1日1回、2歳以上12歳未満:1日1回~3回)を守って使用する必要がある。
2014年08月18日
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・主な剤型、用法(a)噴霧剤 医薬品を空間中に噴霧するもので、原液を水で希釈して噴霧に用いる製品もある。(1)衛生害虫に直接噴射して殺滅させるもの、(2)害虫が潜んでいる場所や通り道に吹き付けるもの(残留噴射)、(3)部屋を閉め切って部屋の広さに応じた一定時間噴射し、室内にいる虫を殺滅させるもの(空間噴射)等がある。(b)燻蒸剤 空間噴射のうち、容器中の医薬品を煙状または霧状にして一度に全量放出させるものである。霧状にして放出するものは、煙状にするものに比べて噴射された粒子が微小であるため短時間で部屋の隅々までいきわたるというメリットがある。 燻蒸処理が完了するまでの間、部屋を閉め切って退出する必要がある※。処理後は換気を十分に行い、ダニやゴキブリの死骸を取り除くために掃除機をかけることも重要である。(c)毒餌剤(誘因殺虫剤) 殺虫成分と共に、対象とする衛生害虫(主にゴキブリ)を誘引する成分を配合し、マット状、ペレット状、ペースト状等にしたものである。害虫が潜んでいる場所や通り道において、害虫が摂食した時に殺虫効果を発揮するものである。乳幼児等が誤って口に入れたりしないよう、十分留意される必要がある。(d)蒸散剤 殺虫成分を基材に混ぜて整形し、過熱したときまたは常温で徐々に揮散するようにしたものである。医薬部外品となっている製品を除き、通常、一般の家庭で使用されることは少ない。(e)粉剤・粒剤 粉剤は、殺虫成分を紛体に吸着させたもので、主にダニやシラミ、ノミの防除において散布される。粒剤は、殺虫成分を基材に混ぜて粒状にしたもので、ボウフラの防除において、ボウフラが生息する水系に投入して使用されるもの等がある。(f)乳剤・水和剤 原液を水で希釈して使用するもので、包装単位が大きい製品が多く、通常、個人で用いるよりも地域ぐるみの害虫駆除で使用される。(g)油剤 湿気を避ける必要がある場所でも使用できるが、噴射器具を必要とし、包装単位が大きい製品が多いため、一般の生活者が家庭において使用することはほとんどない。※犬、猫等のペットや観葉植物は部屋の外に出し、小鳥や魚については、燻蒸処理後2~3日間部屋に戻さないことが望ましい。カブトムシなどの昆虫類は、1週間は部屋に持ち込むべきでない。
2014年08月17日
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2)代表的な配合成分・用法、誤用・事故等への対処 殺虫剤使用に当たっては、殺虫作用に対する抵抗性が生じるのを避けるため、同じ殺虫成分を長期間連用せず、いくつかの殺虫成分を順番に使用していくことが望ましい。(a)有機リン系殺虫成分 代表的な有機リン系殺虫成分として、ジクロルボス、ダイアジノン、フェニトロチオン、フェンチオン、トリクロルホン、クロルピリホスメチル、プロペタンホス等がある。 殺虫作用は、アセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)と不可逆的に結合してその働きを阻害することによるもので、哺乳類や鳥類では速やかに分解されて排泄されるため毒性は比較的低い。ただし、高濃度または多量に曝露した場合(特に、誤って飲み込んでしまった場合)には、神経の異常な興奮が起こり、縮瞳、呼吸困難、筋肉麻痺等の症状が現れる恐れがある。これらの症状がみられたときは、ただちに医師の診断を受ける必要がある。(b)ピレスロイド系殺虫成分 除虫菊の成分から開発された成分で、比較的速やかに自然分解して残効性が低いため、家庭用殺虫剤に広く用いられている。主なピレスロイド系殺虫成分として、ペルメトリン、フェノトリン、フタルスリン等がある。このうちフェノトリンは、殺虫成分で唯一人体に直接適用されるものである(シラミの駆除を目的とする製品の場合)。 殺虫作用は、神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害することによるものである。高濃度または多量に曝露して身体に異常が現れた場合には、医師の診療を受けることが望ましい。(c)カーバメイト系殺虫成分、オキサジアオール系殺虫成分 プロポクスルに代表されるカーバメイト系殺虫成分、メトキサジアゾンに代表されるオキサジアゾール系殺虫成分は、いずれも有機リン系殺虫成分と同様にコリンエステラーゼの阻害によって殺虫作用を示すが、有機リン系殺虫成分と異なり、コリンエステラーゼとの結合は可逆的である。ピレスロイド系殺虫成分に抵抗性を示す害虫の駆除に用いられる。 一般に有機リン系殺虫成分に比べて独資は低いが、高濃度または多量に曝露して呼吸困難等の症状が出た場合には、医師の診療を受けることが望ましい。(d)有機塩素系殺虫成分 有機塩素系殺虫成分(DDT等)は、わが国ではかつて広く使用され、感染症の撲滅に大きな効果を上げたが、残留性や体内蓄積性の問題から、現在ではオルトジクロロベンゼンがウジ、ボウフラの防除の目的で使用されているのみとなっている。 殺虫作用は、ピレスロイド系殺虫成分と同様、神経細胞に対する作用に基づくものである。(e)昆虫成長阻害成分 殺虫作用でなく、昆虫の脱皮や変態を阻害する作用を有する成分で、有機リン系殺虫成分やピレスロイド系殺虫成分に対して抵抗性を示す場合にも効果がある。 メトプレンやピリプロキシフェンは、幼虫が十分成長するまでさなぎになるのを抑えているホルモン(幼若ホルモン)に類似した作用を有し、幼虫がさなぎになるのを妨げる。さなぎにならずに成虫になる不完全変態の昆虫やダニには無効である。 ジフルベンズロンは、脱皮時の新しい外殻の形成を阻害して、幼虫の正常な脱皮をできなくする。(f)その他の成分1.殺虫補助成分 それ自体の殺虫作用は弱いまたはほとんどないが、殺虫成分とともに配合されることにより殺虫効果を高める成分として、ピペニルブトキサイド(PBO)やチオシアノ酢酸イソボルニル(IBTA)などがある。2.忌避成分 ディートが最も効果的で、効果の持続性も高いとされ、医薬品(または医薬部外品)の忌避剤の有効成分として用いられる。その忌避作用は、虫が一般にこの物質のにおいを嫌謳えと考えられているが、詳細は分かっていない。
2014年08月16日
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(f)ノミ ノミによる保健衛生上の害としては、主に吸血された時のかゆみであるが、元来、ペスト等の病原細菌を媒介する衛生害虫である※。近年、ヒトノミの生息数は激減しているが、ノミはシラミと異なり宿主を厳密に選択しないため、ペット等に寄生しているノミによる被害がしばしば発生している。 そのためノミの防除には、イヌやネコなどに寄生しているノミに対して、ノミ取りシャンプーや忌避剤などが用いられる。また、シラミが終生を宿主に寄生して生息するのに対して、ノミはペットの寝床やよくいる場所、部屋の隅の埃の中などで幼虫が育つ※2ため、電気掃除機による吸引や殺虫剤の散布などによる駆除を行うことも重要である。(g)イエダニ、ツツガムシ イエダニは、ネズミを宿主として移動し生息場所を広げていく。吸血による刺咬のため激しいかゆみを生じる。また、発疹熱などのリケッチア、ペストなどを媒介する。イエダニの防除には、まず宿主動物であるネズミを駆除することが重要であるが、ネズミを駆除することで宿主を失ったイエダニが吸血源を求めて散乱するため、合わせてイエダニの防除も行われえる。イエダニが散乱してしまった場合には、殺虫剤による燻蒸処理等が行われる。 ツツガムシは、ツツガムシ病リケッチアを媒介するダニの一種である。ヒトの生活環境でなく野外に生息し※3、目視での確認が困難であるため、ツツガムシが生息する可能性がある場所に立ち入る際は、もっぱら忌避剤による対応が図られる。その場合、忌避剤の使用だけに頼らず、なるべく肌の露出を避け、野外活動後は入浴や衣服の洗濯を行う等の防御方法を心がけることが重要である。(h)屋内塵性ダニ(ツメダニ類、ヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ等) ツメダニ類は、通常は他のダニや昆虫の体液を吸って生きているが、大量発生した時にはヒトが刺されることがある。刺されるとその部位が赤くはれてかゆみを生じる。 ヒョウヒダニ類やケナガコナダニについては、ヒトを指すことはないが、ダニの糞や死骸がアレルゲンとなって気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎などを引き起こすことがある。 屋内塵性ダニが生息する環境は、どんな住居にも存在し、完全に駆除することは困難である。また、一定程度まで生息数を抑えれば保健衛生上の害は生じないので、増殖させないということを基本に防除が行われることが重要である。 殺虫剤の使用についてはダニが大量発生した場合のみとし、まずは畳、カーペット等を直射日光下に干すなど、生活環境の掃除を十分行うことが基本とされている。併せて、室内の喚起を改善し湿度を下げることも、ダニの大量発生の防止につながる。 殺虫剤を散布する場合には、湿度がダニの増殖の要因になるため、水で希釈するものの使用は避け、エアゾール、粉剤が用いられることが望ましい。医薬品の散布が困難な場合には、燻蒸処理等が行われる。※日本にはほとんど存在しないが、ケオプスネズミノミ、ヨーロッパネズミノミが生息している地域では現在でも、保健衛生上大きな問題となっている。※2ノミの幼虫は吸血せず、成虫の糞や宿主動物の体表から脱落した有機物などを食べて育つ。※3吸血はせず、幼虫期の一時期だけ動物に寄生して皮膚の老廃物などを接触する。
2014年08月15日
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(c)ゴキブリ ゴキブリ(チャバネゴキブリ、クロゴキブリ等)は、食品サルモネラ菌、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、ボツリヌス菌、O-157大腸菌等を媒介する。また、アメーバ赤痢等の中間宿主になっている。 ゴキブリは、暗所、かぜの無い場所、水分のある場所、暖かい場所を好むので、該当する場所を中心に防除を行うことが効果的とされている。 燻蒸処理を行う場合、ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、殺虫効果を示さない。そのため3週間くらい後に、もう一度燻蒸処理を行い、孵化した幼虫を駆除する必要がある。(d)シラミ シラミの種類ごとに寄生対象となる動物が決まっているため、ヒト以外の動物に寄生するシラミがヒトに寄生して直接的な被害を及ぼすことはないヒトに寄生するシラミ(コロモジラミ、アタマジラミ、ケジラミ等)による保健衛生上の害としては、吸血箇所の激しいかゆみ※と日本紅斑熱や発疹チフス等の病原細菌であるリケッチア(リケッチアは人獣共通して感染する)の媒介である。 シラミの防除は、医薬品による方法以外に物理的方法もある。物理的方法といては、散髪や洗髪、入浴による除去、衣服の熱湯処理などがある。医薬品による方法では、殺虫成分としてフェノトリンが配合されたシャンプーやてんか粉が用いられる※2。また、シラミの成虫が脱落して次の宿主に伝染しやす場所には殺虫剤を散布して、寄生の拡散防止を図ることも重要である。(e)トコジラミ トコジラミは、シラミの一種でなくカメムシ目に属する昆虫で、ナンキンムシとも呼ばれる。トコジラミに刺されると激しい痒痛(ようつう)を生じ、アレルギー反応による全身の発熱、睡眠不足、神経性の消化不良を起こすことがある。また、ときにペスト、再帰熱、発疹チフスを媒介することもある。 トコジラミは床や壁の隙間、壁紙の裏、畳の敷き合わせ目、ベッド等に潜伏する。その防除にはハエ、蚊、ゴキブリと同様な殺虫剤が使用されるが、体調が比較的大きい(成虫で約8mm)ので、電気掃除機で隅々まで丁寧に吸引することによる駆除も可能である。 ※吸血された部位を掻くことで化膿することもある。※2なおフェノトリンには、シラミの刺咬によるかゆみや腫れ等の症状を和らげる作用はない。
2014年08月14日
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2.殺虫剤・忌避剤 殺虫剤・忌避剤のうち、ハエ、ダニ、蚊等の衛生害虫の防除を目的とする殺虫剤・忌避剤は医薬品または医薬部外品として、薬事法による規制の対象とされている。殺虫剤・忌避剤のうち、人体に対する作用が緩和な製品については医薬部外品として製造販売されているが、原液を幼児希釈して用いるもの、長期間庭縦持続的に殺虫成分を放出させるまたは一度に大量の殺虫成分を放出させるもの、劇薬に該当するもの等、取扱い上、人体に対する作用が緩和とは言えない製品については医薬品として扱われる。 忌避剤は人体に直接使用されるが、蚊、ツツガムシ、トコジラミ(ナンキンムシ)、ノミ等が人体に取りついて吸血したり、病原細菌等を媒介するのを防止するものであり、虫刺されによるかゆみや腫れなどの症状を和らげる効果はない。1)衛生害虫の種類と防除 疾病を媒介したり、物を汚染するなどして、保健衛生上の害を及ぼす昆虫等を衛生害虫という※。(a)ハエ ハエ(イエバエ、センチニクバエ等)は、赤痢菌、チフス菌、コレラ菌、O-157大腸菌等の病原菌や皮膚疾患、赤痢アメーバ、寄生虫卵、ポリオウイルスの伝搬など様々な病原菌を媒介する。また、ヒトの体内や皮膚などに幼虫(ウジ)が潜り込み、組織や体液や消化器官内の消化物を食べて直接的な健康被害を与えるハエ蛆症(はえうじしょう)と呼ばれる症状もある。 ハエの防除の基本は、ウジの防除である。ウジの防除法としては、通常、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤が用いられる。薬液がウジの生息場所に十分いきわたるよう散布されることが重要であるが、厨芥(ちゅうかい、生ごみのこと)がビニール袋に入っているなどして薬液が浸透しない場合や、薬液を掛けた後に乾燥させるのが困難な場合には、主に成虫の防除を行うことになる。 成虫の防除では、医薬品の殺虫剤(希釈して噴霧する)も用いられるが、一般家庭においては調製を要さずそのまま使用できる医薬部外品の殺虫剤(エアゾールなど)や、ハエ取り紙などの物理的な方法が用いられることが多い。(b)蚊 蚊(アカイエカ、シナハマダラカ等)は、吸血によって皮膚に発疹やかゆみを引き起こす※2ほか、日本脳炎、マラリア、黄熱、テング熱等の重篤な病気を媒介する。 水のある場所に産卵し、幼虫(ボウフラ)となって繁殖する。人が蚊に刺される場所とかが繁殖する場所が異なるため、種類による生息、発生場所に合わせた防除が必要となる。 ボウフラが成虫にならなければ保健衛生上の有害性はないため、羽化するまでに防除を行えばよい。ボウフラの防除では水系に殺虫剤を投入することになるため、生態系に与える影響を考慮して適切な使用を行う必要がある。 成虫の防除であh、医薬品の殺虫剤(希釈して噴霧する)も用いられるが、一般家庭においては、調製を要さずそのまま使用できる医薬部外品の殺虫剤(蚊取り線香、エアゾール剤等)が用いられることが多い。なお、野外など殺虫剤の効果が十分期待できない場所では、忌避剤を用いて蚊による吸血の防止を図ることとなる。
2014年08月13日
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【誤用・事故等による中毒への対処】 基本的には応急処置の後は、速やかに医療機関に受診することが望ましい。 (a)誤って飲み込んだ場合 一般的な家庭における応急処置として、通常は多量の牛乳など※を飲ませるが、手元に何も無い時はまず水を飲ませる。 いずれにしても中毒物質の消化管からの吸収を遅らせ、粘膜を保護するために誤飲してから数分以内に行う。なお、原末や濃厚液を誤って飲み込んだ場合なは、自己判断で安易に吐き出させることは避ける。 (b)誤って目に入った場合 顔を横に向けて上から水を流すか、水道水の場合には弱い流れの水で洗うなどにより、流水で十分に(15分以上)洗眼する。 水流が強いと目に障害を起こすことがある。目が痛くて開けられない時には、水を満たした容器に顔をつけて、水の中で目を開けても良い。 酸やアルカリが目に入った場合は、早期に十分な水洗がされることが重要であり、特にアルカリ性物質の場合には念入りに水洗する。 なお、酸をアルカリで中和したり、アルカリを酸で中和するといった処置は、熱を発生して刺激をかえって強め、状態が悪化するおそれがあるため適切ではない。 (c)誤って皮膚に付着した場合 流水をかけながら着衣を取り、石鹸を用いて流水で皮膚を十分に(15分間以上)水洗する。 酸やアルカリは早期の十分な水洗がなされることが重要であり、特にアルカリ性の場合には念入りに水洗する。目に入った場合と同様、中和剤は用いない。 (d)誤って吸入した場合 意識がない場合は新鮮な空気の所へ運び出し、人工呼吸などをする。 ※牛乳以外にも、卵白を水に溶いた卵白水や、小麦粉を水で溶いたものを用いてもよい。なお、これらを作るのに手間がかかる場合は早めに水を飲ませることを優先すべきである。
2014年08月12日
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2)代表的な殺菌消毒成分、取扱い上の注意等(a)手指・皮膚の消毒のほか、器具等の殺菌・消毒にも用いられる成分 手指または皮膚の殺菌・消毒を目的とする消毒薬のうち、配合成分やその濃度等があらかじめ定められた範囲内である製品については、医薬部外品として流通することが認められている。器具等の殺菌・消毒を併せて目的とする製品については、医薬品としてのみ製造販売されている。1)クレゾールせっけん液 結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はない。 日本薬局方に収載されているクレゾールせっけん液は、原液を水で希釈して用いられるが、刺激性が強いため、原液が直接皮膚に付着しないようにする必要がある。付着した場合にはただちに石鹸水と水で洗い流し、炎症等を生じた時には医師の診療を受けることが望ましい。 同様な殺菌消毒作用を有する成分として、塩酸ポリアルキルポリアミノエチルグリシン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が用いられることもある。2)エタノール、イソプロパノール アルコール分が微生物のたんぱく質を変性させ、結核菌を含む一般細菌、真菌類、ウイルスに対する殺菌消毒作用を示す。ただし、イソプロパノールでは、ウイルスに対する不活性効果はエタノールよりも低い。 脱脂による肌荒れを起こしやすく、皮膚へ繰り返して使用する場合には適さない。粘膜刺激性があり、粘膜面や目の回り、傷がある部分への使用は避けることとされている。揮発性で引火しやすく、また広範囲に長時間使用する場合には、上記の吸引にも留意する必要がある。3)グルコン酸クロルヘキシジン 一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない。(b)専ら器具、設備等の殺菌・消毒に用いられる成分1)塩素系殺菌消毒成分 次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示すが、皮膚刺激性が強いため、人体の消毒には用いられない。 金属腐食性があり、プラスチックやゴム製品を劣化させる。また、漂白作用がり、毛、絹、ナイロン、アセテート、ポリウレタン、色・柄物等には使用を避ける必要がある。酸性の洗剤・洗浄類と反応して有毒な塩素ガスが発生するため、混ざらないように注意する必要がある。 なお、吐しゃ物や血液等が床等にこぼれた時の殺菌消毒にも適しているが、有機物の影響を受けやすいので、殺菌消毒の対象物を洗浄した後に使用したほうが効果的である。2)有機塩素系殺菌消毒成分 ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。
2014年08月11日
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15.公衆衛生用薬1.消毒薬1)感染症の防止と消毒薬 感染症は、病原性のある細菌やウイルスなどが体に取りつくことによって起こり、日常生活で問題となるのは、飛沫感染するものが多い。 特に食中毒は、手指や食品、調理器具等に付着した細菌やウイルスが、傾向的に体内に入って増殖することで生じる。一般に、夏は細菌による食中毒が、冬はウイルスによる食中毒が発生することが多いと言われている。 通常の健康状態にある人では、生体に元来備わっている防御機能が働くため、一般的には、石鹸で十分に手洗いを行い、器具等については煮沸消毒等を行うといった対応により食中毒を防止することができる。しかし、煮沸消毒が困難な器具等もあり、また、食中毒の流行時期や、明らかに感染者が身近に存在するような場合には、集団感染を防止するため念入りに、化学薬剤(消毒薬)を用いた処置を行うことが有効とされる。 殺菌・消毒は、滅菌(物質中のすべての微生物を殺滅または除去すること)と異なり、生存する微生物の数を減らすために行われる処置である。消毒薬が微生物を死滅させる仕組み及び効果は、殺菌消毒成分の種類、濃度、温度、耳管、消毒対処の汚染度、微生物の種類や状態などによって異なる。 消毒薬によっては、殺菌消毒効果が十分得られない微生物が存在し(全く殺菌消毒できない微生物もある)、さらに、生息条件が整えば消毒薬の溶液中で生存、増殖する微生物もいる。 殺菌・消毒の対象となる微生物を考慮し、適切な医薬品の選択、定められた用法に従って適正な使用がさなれることが重要である。
2014年08月10日
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代表的な生薬成分と相互作用、受診勧奨(a)ブシ キンポウゲ科のハナトリカブトの塊根であり、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を持つ。血液循環が高まることによる利尿作用を示すほか、鎮痛作用を示すが、アスピリン等と異なり、プロスタグランジンを抑えないことから、胃腸障害等の副作用は示さない。 なお、ブシはそのままでは毒性が高いことから、その毒性を減らし有用な作用を保持する処理を施した加工ブシとして使用される。(b)カッコン マメ科のクズの根を用いた生薬で、解熱、陳継東の作用を期待して用いられる。(c)サイコ セリ科のミシマサイコまたはその変種の根を用いた生薬で、抗炎症、鎮痛等の作用を期待して用いられる。(d)ボウフウ セリ科のボウフウの根および根茎を用いた生薬で、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙等の作用を期待して用いられる。(e)ショウマ キンポウゲ科のサラシナショウマまたはその同属植物の根茎を用いた生薬で、発汗、解熱、解毒、消炎等の作用を期待して用いられる。(f)ブクリョウ サルノコシカケ科のマツホドの菌核を用いた生薬で、利尿、健胃、鎮痛等の作用を期待して用いられる。(g)レンギョウ モクセイ科のレンギョウまたはシナレンギョウの果実を用いた生薬で、鎮痛、抗菌等の作用を期待して用いられる。(h)サンザシ バラ科のサンザシまたはオオサンザシの偽果を用いた生薬で、健胃、消化促進等の作用を期待して用いられる。同属植物であるセイヨウサンザシの葉は、血行促進、強心等の作用を期待して用いられる。2)相互作用、受診勧奨 【相互作用】 生薬製剤に配合されている生薬成分には、複数の製品で共通するものも存在し、同じ生薬成分または同種の作用を示す生薬成分を含有する医薬品、医薬部外品等が併用された場合、作用が強く現れたり、副作用を生じやすくなる恐れがある。 また、生薬成分は、医薬品的な効能効果が標榜または暗示されていなければ、食品(ハーブ)として流通することが可能なものもあり、そうした食品を和せて摂取された場合、医薬品の効き目や副作用を増強させることがある。生薬成分を使用する場合は、食品として当該生薬成分を摂取する可能性もあるという認識が必要である。【受診勧奨】 生薬製剤も、漢方処方製剤と同様、症状の原因となる体質の改善を主眼としているものが多く、比較的長期間(1か月くらい)継続して服用されることがある。「生薬製剤はすべからく作用が緩やかで、副作用が少ない」などという誤った認識がしばしばみられることがある。しかし、センソのように少量で強い作用を示す生薬もあり、適切な医薬品が選択できるよう、積極的に医薬品の専門家へ相談することが望ましい。 一定期間または一定回数使用しても症状の改善がみられない場合には、一般用医薬品によって対処することが適当でない疾患による症状である可能性もある。医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、必要に応じて医療機関を受診するよう促すほか、試用期間中の症状の経過や副作用の発現に注意を払う必要性につき、積極的な情報提供を行うことを促している。
2014年08月09日
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2.その他の生薬製剤 生薬製剤は、生薬成分を組み合わせて配合された医薬品で、成分・分量から一見、漢方薬的に見えるが、漢方処方製剤のように、使用する人の体質や症状その他の状態に適した配合を選択するという考え方に基づくものでなく、個々の有効成分(生薬成分)の薬理作用を主に考えて、それらが相加的に配合された、西洋医学的な基調の上に立つもの※であり、伝統的な呼称(「○○丸」等)が付されているものもあるが、定まった処方というものはない。1)代表的な配合成分、主な副作用 生薬は、動植物の薬用とする部分、細胞内容物、分泌物、抽出物または鉱物などであり、薬用動植物・薬用鉱物等の名称が生薬名と混同されて用いられることがあるが、これらは生薬の素材(基原)となる動植物・鉱物等を指すものであり、明確に区別される必要がある。 生薬から抽出されたエキス等として配合、製剤化された製品が多いが、全形生薬(その薬用とする部分などを乾燥し、または簡単な加工をしたもの)、切断生薬(全形生薬を小片もしくは生塊に切断もしくは破砕したもの、または粗切、中切もしくは細切したもの)または粉末生薬(全形または切断生薬を粗末、中末、細末または微末としたもの)のまま製品として販売されるものもある。 それらについては、カビ、昆虫または他の動物による汚損物または混在物及びその他の異物を避け、清潔かつ衛生的に取り扱うこととされている。また、基本的に、湿気及び虫害などを避けて保存する必要がある。 生薬は、サイシン※2やモクツウの様に薬用部位とその他の部位、または類似した基原植物(諸外国では日本と生薬の名称が違うことがある)を取り違えると、期待する効果が得られないばかりでなく、人体に有害な作用を引き起こすことがある。日本薬局方に準拠して製造された生薬であれば問題ないが、個人輸入等によって入手された生薬または生薬製剤では、健康被害が発生した事例が知られている。※西洋生薬を組み合わせた配合されたものもある。※2サイシンは、ウマノスズクサ科のウスバサイシンまたはケイリンサイシンの根および根茎を用いた生薬であるが、地上部には腎障害を引き起こすことが知られているアリストロキア酸が含まれている。
2014年08月08日
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3)相互作用、受診勧奨【相互作用】 漢方処方を構成する生薬には、複数の処方で共通しているものもあり、同じ生薬を含む漢方処方製剤が併用された場合、作用が強く現れたり、副作用を生じやすくなる恐れがある。また、漢方処方はそれ自体が一つの有効成分として独立したものであり、自己判断によってみだりに生薬成分が追加摂取された場合、生薬の構成が乱れて処方が成立しなくなるおそれもある。他の漢方処方製剤、生薬製剤または医薬部外品の併用には注意が必要である。 小柴胡湯とインターフェロン製剤の相互作用の様に、医療用医薬品との相互作用も知られている。医師の治療を受けている人では、使用の可否について治療を行っている医師または処方された薬剤の調剤を行った薬剤師に相談するよう説明がなされることも重要である。 また、生薬成分は、医薬品的な効能効果が標榜または暗示されていなければ、食品(ハーブ)として流通することが可能なものもあり、場合によっては、食品として該当生薬成分を摂取していると思われる人に対して積極的な情報提供がくすりの専門家からおこなわれるよう、漢方処方製剤の適正使用が促されることが重要である。【受信勧奨】 一定期間または一定回数使用しても症状の改善が認められない場合には、証が適していない処方であることのほか、一般用医薬品によって対処することが適当でない疾患による症状である可能性もある。こうした場合、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、その漢方処方製剤の使用を漫然と継続せずに、必要に応じて医療機関を受診するよう促すことが重要である。
2014年08月07日
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2)代表的な漢方処方製剤、適用となる症状・体質、主な副作用(a)黄連解毒湯おうれんげどくとう 比較的体力があり、のぼせ気味で顔色が赤く、イライラする傾向のある人における、鼻出血、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸の症状に適すと差荒れるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)では不向きとされる。 まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎が起こることが知られている。 鼻出血、二日酔いに用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、5~6回使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談することが望ましい。(b)防已黄耆湯ぼういおうぎとう 色白で疲れやすく、汗をかきやすい傾向のある人における、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水太り)、関節痛、むくみの症状に適すとされる。構成生薬としてカンゾウを含む。 まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎が起こることが知られている。(c)防風通聖散ぼうふうつうしょうさん 腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人における、高血圧の随伴症状(動悸、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘の症状に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の虚弱な人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。 また、小児に対する適用は無い。また、本剤を使用するときには、他の瀉下薬との併用は避けることとされている。構成生薬としてカンゾウ、マオウ、ダイオウを含む。 まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎が起こることが知られている。 便秘に用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、1週間くらい使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談することが望ましい。(d)大柴胡湯だいさいことう がっしりとした体格で比較的体力があり、便秘がちな人における、胃炎、常習便秘、高血圧に伴う肩こり、頭痛、便秘、肩こり、肥胖症(ひはんしょう)の症状に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。構成生薬としてダイオウを含む。 まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎が起こることが知られている。 常習便秘、高血圧に伴う便秘に用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、1週間くらい使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談することが望ましい。(e)清上防風湯せいじょうぼうふうとう にきびに適すとされるが、胃腸の弱い人では食欲不振、胃部不快感の副作用が現れやすい等、不向きとされる。構成生薬としてカンゾウを含む。 まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎が起こることが知られている。また、本剤の服用により、まれに症状が進行することもある。
2014年08月06日
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14.漢方処方製剤・生薬製剤1.漢方処方製剤1)漢方の特徴・基本的な考え方 古来に中国から伝わり、日本において発展してきた医学が漢方医学であり、後ほど西洋から日本に入ってきた蘭方(西洋医学)と区別するためにこの名前が付けられた。 漢方薬は、漢方の考え方に沿うように、生薬が一定の規則によって組み合わせて構成されたものであり、処方全体としての適用性等、その性質から見て処方自体が一つの有効成分として独立したものという見方をすべきものである※。漢方薬は、使用する人の体質や症状その他の状態に適した処方を既成の処方の中から選択して用いられる※2. 漢方の考え方として重要なものは、患者の証(体質及び症状)及び陰陽五行説である。 患者の証(体質及び症状)に基づく考え方とは、体質を虚証と実証とに分類し、それに応じて処方を選択する考え方である。虚証とは、体内の臓器を働かせるエネルギーの貯蔵量が少ない体質(虚弱体質(体力の衰えている人、体の弱い人))をいい、実証とは、そうしたエネルギーの貯蔵量が多い体質(比較的体力がある状態)を指す。 症状については、陰病と陽病とに分類される。陰病とは、実際に使用するエネルギーが少ないため臓器の機能が低下している状態であり、陽病とは、実際に使用するエネルギーが多いため臓器の機能が亢進している状態をいう。 患者の証に合った漢方処方が選択されれば効果が期待できるが、合わないものが選択された場合には、効果が得られないばかりでなく、副作用を招きやすくなる。そのため、漢方薬を使用しようとする人の体質と症状を十分に踏まえ、処方が選択されることが望ましい。 陰陽五行説は、人体の臓器を五臓六腑に分け、それぞれの臓器が相互に作用しあって生体のバランスを取っている、という考え方に基づいて処方を選択する考え方である。そのため、漢方薬を使用しようとする人の症状や臓器の状態を十分に踏まえ、処方が選択されることが望ましい。 漢方医学にはこうした2つの考え方があるが、現在では、これらを組み合わせた考え方が広く用いられている。 一般用医薬品として漢方薬を購入する際には、漢方処方製剤を使用しようとする人の証(体質及び症状)を理解し、その証に合った漢方処方を選択することができるよう、医薬品の販売等に従事する専門家(薬剤師・登録販売者)へ相談し、漢方処方製剤の適正な使用をすることが重要である。 「漢方薬はすべからく作用が穏やかで、副作用が少ない」などという誤った認識がなされていることがあり、副作用を看過する要因となりやすい※3しかし、漢方処方製剤においても、間質性肺炎や肝機能障害のような重篤な副作用が起きることがあり、また、症に適さない漢方処方製剤が使用されたために、症状の悪化や副作用を引き起こす場合もある。 なお、漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3か月未満の乳児には使用しないこととされている。 漢方処方製剤は、症状の原因となる体質の改善を主眼としているものもが多く、比較的長期間(1か月くらい)継続して服用されることがある。また、漢方処方製剤によっては、服用によりまれに症状が進行することがあるものもある。その漢方処方が適しているかを見極めるためにも、一定期間使用した後も、専門家に相談する等、症状の経過や副作用の発現に留意されることが重要である。※漢方薬の効果は、個々の構成生薬の薬効とは直接関連性が無いものである。※2一方、中医学は、日本において発展してきた漢方医学とは基は同じであるが、中国において発展してきたものであり、漢方医学とは考え方等が異なっている。中医学で使用する薬を中薬と呼び、個々の使用する人に応じて、生薬を組み合わせたものが用いられる。※3東洋医学では、治療効果が現れる過程で一時的に病状が悪化する等の体の不調(瞑眩めいげん)を生じ、その後病気が完全に治るとの考え方がなされることもあり、重篤な副作用の初期症状を看過する要因となりやすい。
2014年08月04日
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・漢方処方製剤 滋養強壮に用いられる主な漢方処方製剤として、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がある。いずれも構成生薬としてカンゾウを含んでいる。 漢方処方製剤は、症状の原因となる体質の改善を主眼としているため、比較的長期間(1か月くらい)服用されることがある。(a)十全大補湯じゅうぜんだいほとう 病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血に適すとされるが、胃腸の弱い人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。まれに重篤な副作用として、肝機能障害が生じることが知られている。(b)補中益気湯ほちゅうえっきとう 元気がなく胃腸の働きが衰えて、疲れやすい人における、虚弱体質、疲労倦怠、病後の衰弱、寝汗の症状に適すとされる。まれに重篤な副作用として、間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている。4)相互作用、受診勧奨【相互作用】 滋養強壮保健薬は、多く摂取したからと言って適用となっている症状の改善が早まるものでなく、また、滋養強壮の効果が高まるものでもない。漢方処方を構成する生薬には、複数の処方で共通しているものもあり、同じ生薬を含む漢方処方製剤が併用された売、作用が強く現れたり、副作用が生じやすくなる恐れがある。また、漢方処方はそれ自体が一つの有効成分として独立したものであり、自己判断によってみだりに生薬成分が追加摂取された売、生薬の構成が乱れて処方が成立しなくなる恐れもある。他の漢方処方製剤、生薬製剤または医薬部外品の併用には注意が必要である。【受疹勧奨】 滋養強壮保健薬は、ある程度継続して使用されることによって効果が得られる性質の医薬品であるが、1か月くらい服用しても症状の改善がみられない場合には、栄養素の不足以外の要因が考えられるため、漫然と使用を継続することなく、症状によっては医療機関を受診する等、適切な対処が図られることが重要である。 肩・首筋のこり、関節痛、筋肉痛、神経痛、手足のしびれについては、ナトリウムやカリウム等の電解質バランスの乱れによっても生じる。また、痛み等を感じる部位が、問題のある部位と必ずしも一致しない場合があり※、症状が慢性化しているような場合には、医師の診療を受けることが望ましい。 眼の乾燥感、眼精疲労、目の充血については、涙腺の異常、あるいはシェーングレン症候群※2のような涙腺に障害を及ぼす全身疾患によるものである場合があり、医療機関を受診して専門家の診療を受けることが望ましい。 口内炎、口角炎、口唇炎、舌炎については、疱疹ウイルスの感染が再燃・鎮静を繰り返している場合があり、重症化した場合には、医師の診療を受ける必要がある。 肌荒れ、にきび、湿疹、皮膚炎、かぶれについては、それぞれの原因に対する防御策が図られることが重要であり、「皮膚に用いる薬」(くすりのはなし153)を参照ください。 しみ、そばかす、日焼け・かぶれによる色素沈着については、皮膚にある色素の点(特に、黒または濃い色のもの)が次第に大きくなったり、形や色が変化してきたような場合には、悪性黒色腫※3のような重大な病気の可能性も考えられるので、早期に医療機関を受診して専門医の診療を受けることが望ましい。※体のいくつかの場所からの信号が同じ神経経路を通って脊髄から脳へと伝わるため、痛み等が離れた部位に感じられることがある。例えば、腎臓、膀胱、子宮、前立腺等の痛みが、腰痛として感じられることがある。※2唾液腺や涙腺等の体液の分泌腺に白血球が浸潤して腺組織に障害を引き起こす病気※3皮膚がんの一種で、メラニン産生細胞(メラノサイト)由来の悪性腫瘍である。
2014年08月03日
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3)代表的な配合成分、主な副作用・生薬成分 ニンジン、ジオウ、トウキ、センキュウが既定値以上配合されている生薬主薬保健薬については、虚弱体質、肉体疲労、病中病後(または、病後の体力低下)のほか、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え性における滋養強壮の効果が認められる。 また、数種類の生薬をアルコールで抽出した薬用酒も、滋養強壮を目的として用いられる。血行を促進させる作用があることから、手術や出産の直後等で出血しやすい人では使用を避ける必要がある。また、アルコールを含有するため、服用後は乗物または機械類の運転操作等を避ける必要がある。(a)ニンジン ウコギ科のオタネニンジンの細根を除いた根を用いた生薬で、天日で乾燥させたものをハクジン、湯通ししてから乾燥させたものをコウジンということもある。別名を高麗人参、朝鮮ニンジンとも呼ばれる。神経系の興奮や副腎皮質の機能亢進等の作用により、外界からのストレス刺激に対する抵抗力や新陳代謝を高めるとされる。 同様の作用を期待して、チクセツニンジン(ウコギ科のトチバニンジンの根茎)も用いられる。チクセツニンジンは外用薬の有効成分としても陥られる。(b)ジオウ、トウキ、センキュウ センキュウ(セリ科のセンキュウの根茎)、トウキ(セリ科のトウキまたは近縁植物の根)、ジオウ(ゴマノハグサ科のアカヤジオウの根)は、血行を改善し、血色不良や冷えの症状を緩和するほか、強壮、鎮静、鎮痛等の作用を期待して用いられる。(c)ゴオウ、ロクジョウ ゴオウは、ウシ科のウシの胆のう中に生じた胆石を用いた生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧低下、興奮を鎮める等の作用があるとされる。 ロクジョウは、シカ科のシベリアシカ、マンシュウアカジカ等の雄の幼角を用いた生薬で、強心作用のほか、強壮、血行促進等の作用があるとされる。(d)インヨウカク、ハンピ インヨウカク(メギ科のイカリソウのつぼみを含む葉及び茎)、ハンピ(クサリヘビ科のマムシの川及び内臓を取り除いたものまたは黒焼きにしたもの)は、強壮、血行促進、強精(性機能の更新)等の作用を期待して用いられる。(e)ヨクイニン イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を用いた生薬で、肌荒れやいぼに用いられる。ビタミンB2主薬製剤やビタミンB6主薬製剤、瀉下薬等の補助成分として配合されている場合もある。(f)その他 主に強壮作用を期待して、以下のような生薬成分が配合されている場合もある。・タイソウ :クロウメモドキ科のナツメの果実・ゴミシ :マツブサ科のチョウセンゴミシの成熟果実・サンシュユ :ミズキ科のサンシュユの偽果の果肉・サンヤク :ヤマノイモ科のヤマノイモまたはナガイモの周皮を除いた根茎(担根体)・オウギ :マメ科のキバナオウギまたはナイモウオウギの根・カシュウ :タデ科のツルドクダミの塊根
2014年08月03日
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枝豆の1さやについて、2粒または3粒入っているものがほとんどですが、3粒入っているもののほうが、粒に美味しさが詰まっているように感じます。 粒も柔らかいし。 今日は冷凍でしたが、北海道産の枝豆を堪能。 多くが3粒入りで、美味しくいただきました。
2014年08月03日
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(b)カルシウム成分 カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素であり、筋肉の収縮、血液凝固、神経機能にも関与する。 カルシウム主薬製剤は、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム等が主薬として配合された製剤で、虚弱体質、腺病質※における骨歯の発育促進、妊娠・授乳期の脆弱予防に用いられる。 カルシウムの過剰症としては、高カルシウム血症が知られている。カルシウムを含む成分は、胃腸薬等、カルシウムの補給を目的としない医薬品においても配合だれており、併用によりカルシウムの過剰摂取を生じることのないよう留意される必要がある。(c)アミノ酸成分 1)システイン 髪や爪、肌などに存在するアミノ酸の一種で、皮膚におけるメラニンの生成を抑えるとともに、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す働き、また、肝臓においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドと直接反応して代謝を促す働きがあるとされる。 システインまたは塩酸システインが主薬として配合された製剤は、しみ・そばかす・日焼けなどの色素沈着症、全身倦怠、二日酔い、にきび、湿疹、蕁麻疹、かぶれ等の症状の緩和に用いられる。2)アミノエチルスルホン酸(タウリン) 筋肉や脳、心臓、目、神経等、体のあらゆる部分に存在し、細胞の機能が正常に働くために重要な物質である。肝臓機能を改善する働きがあるとされ、滋養強壮保健薬等に配合されている場合がある。3)アスパラギン酸ナトリウム アスパラギン酸が主体におけるエネルギーの産生効率を高めるとされ、骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す等の働きを期待して用いられる。4)その他の成分 ヘスペリジンはビタミン様物質のひとつで、ビタミンCの吸収を助ける等の作用があるとされ、滋養強壮保健薬のほか、かぜ薬等にも配合されている場合がある。 コンドロイチン硫酸は軟骨組織の主成分で、軟骨成分を形成及び修復する働きがあるとされる。コンドロイチン硫酸ナトリウムとして関節痛、筋肉痛等の改善等を促す作用を期待して、ビタミンB1等と組み合わせて配合されている場合がある。 グルクロノラクトンは、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあり、全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合されている場合がある。 ガンマーオリザノールは、米油及び米胚芽油から見出された抗酸化賞を示す星雲で、ビタミンE等と組み合わせて配合されている場合がある。※貧血等になりやすい虚弱・無力体質
2014年08月02日
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4)ビタミンB1 ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー酸性に不可欠な栄養素で、神経の正常な働きを維持する作用がある。また、腸管運動を促進する働きもある。 ビタミンB1主薬製剤は、塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、塩酸フルスルチアミン、ビスイブチアミン等が主薬として配合された製剤で、神経痛、筋肉痛・関節痛(腰痛、肩こり、五十肩など)、手足のしびれ、便秘、眼精疲労、脚気の症状の緩和、また、肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病尾の体力低下時におけるビタミンB1の補給に用いられる。5)ビタミンB2 ビタミンB2、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。 ビタミンB2主薬製剤は、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸リボフラビンナトリウム等が主薬として配合された製剤で、口角炎、口唇炎、口内炎、舌炎、湿疹、皮膚炎、かぶれ、ただれ、にきび、肌荒れ、赤鼻、目の充血、目のかゆみの症状の緩和、また、肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時におけるビタミンB2の補給に用いられる。ビタミンB2の摂取により、尿が黄色くなることがある。6)ビタミンB6 ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要な栄養素である。 ビタミンB6主薬製剤は、塩酸ピリドキシンまたはリン酸ピリドキサールが主薬として配合された製剤で、口角炎、口唇炎、口内炎、舌炎、湿疹、皮膚炎、かぶれ、ただれ、にきび、肌荒れ、手足のしびれの症状の緩和、また、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時における尾田院B6の補給に用いられる。7)ビタミンB12 ビタミンB12は、赤血球の形成を助け、また、神経機能を正常に保つために重要な栄養素である。 シアノコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン等として、ビタミン主薬製剤、貧血用薬等に配合されている。8)ビタミンC ビタミンCは、体内の資質を酸化から守る作用(抗酸化作用)を示し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。メラニンの産生を抑える働きもあるとされる。 ビタミンC主薬製剤は、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸カルシウムが主薬として配合された製剤で、しみ、そばかす、日焼け・かぶれによる色素沈着の症状の緩和、歯ぐきからの出血・鼻出血の予防、また、肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、老年期におけるビタミンCの補給に用いられる。9)そのほか 皮膚や粘膜などの機能を維持することを助ける栄養素として、ナイアシン(ニコチン酸アミド、ニコチン酸)、ビタミンB5(パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、パンテノール等)、ビオチンが配合されている場合がある。
2014年08月01日
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