平成7年1月17日に起きた阪神淡路大震災では、被災地のIDDM患者はインスリンの入手等に大変な苦労を強いられました。この震災が契機となり、こうした緊急時の対応を含めた患者・家族の全国的連携を図るため同年9月に「全国IDDM連絡協議会」が発足しました。
しかしながら、この病気に対する理解は十分とは言えず、患者は学校、就職、結婚等で依然として厳しい状況があります。
一生涯根気よく治療を続けていかなければならないので、患者を取り巻く周囲の者が、よく理解し、精神的なサポートをする
必要があります。
このような状況に的確に対応し国内の様々な課題を解決するため、平成12年8月21日に「全国IDDM連絡協議会」を発展的に解消し、全国の1型糖尿病患者の自立推進母体としての社会的使命に応えられるよう「特定非営利活動法人全国IDDMネットワーク」を設立いたしました。
また、平成15年3月には、世界を視野に入れた事業展開を目指して、法人名称を「特定非営利活動法人全国IDDMネットワ
ーク」から、「特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク」へと改称いたしました。
この度、創立10年を記念し、1型糖尿病根治に向けた研究開発を促進する目的で「1型糖尿病研究基金」を設立いたします。
当基金により1型糖尿病についてその根治療法につながる先進的な研究に取り組んでいる研究者の方々や団体に研究費の助成を行うことにしております。
本来であれば幅広く公募し研究費の助成を行うべきところですが、膵島移植を受けたものの月額数十万円もの患者負担が今
にも始まり、この負担があるばかりに本来の膵島移植の研究が進まない、膵島移植が行えないという悪循環を少しでも改善で
きればと願い、当面、膵島移植を行う研究機関に特化して助成するべく、この募金活動に取り組むことといたしました。
世界的な最先端医療に日本の京都大学が取り組まれ、日本の1型糖尿病患者がこの先進的治療を受ける機会が少しでも増えることを望みます。
どうか患者のおかれているこの厳しい現状をご理解いただくとともに、最先端医療の推進にご支援いただきますようよろし
くお願い申し上げます。
2005年8月
特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク
理事長 井 上 龍 夫