ANAの超割でまだ空きがあるチケットが青森やったので、2001年6月に2泊3日で新緑を見に行こかということになりました。国内旅行は超割(JALはバーゲンフェア)かバースデー割引の時に行きます。そうじゃないと高くてなかなか飛行機に乗れません。だいたい対象期間になる期間がわかってきたので、最近では、年間で予定を立てています。
バーゲンフェアの時は、レンタカーもちょっと安く借りられるので一緒に申し込みます。
青森空港からまずは酢ケ湯温泉ひば千人風呂へ。温泉が好きで、いいお湯は体で感じたいと片っ端から入っています。総ヒバ造り80坪くらいの建物に「熱の湯」と「四分六分の湯」という大きな2つの浴槽と、打たせ湯の「滝湯」とかぶり湯「冷の湯」があります。ここは混浴ですが、脱衣所、入り口、洗い場は男女別になってるし、湯船にも境界線がありました。境界線っていっても、こっから男、女っていう札が湯船の端に立ってるだけですけど。
大きいお風呂で気持ちがいいです。名前の通りお湯は酸っぱかった。
酢ケ湯温泉
まんじゅうふかし(ふかし湯)も体験して、お昼は「八甲田ホテル」へ。ブナの森に囲まれた木造のリゾートホテルでログハウスのような重厚な作り、日本最大級の洋風完全木造建設やそうです。メインレストラン「メドー」も太い木材を使い天井が高いので、気持ちいい。
オードブルの合鴨とひめますのスモーク、かぼちゃのスープ、伊勢海老とラタトゥイユのグラタン、仔牛と牛肉のソテー、パッションのムースなどを優雅な雰囲気のなか、おいしくいただきました。
八甲田ホテル
睡蓮沼に寄ってから、山の中の一軒宿、猿倉温泉へ。露天風呂もあり、クリーミーな白いお湯が気持ちよかった。お宿もこぎれいでした。
猿倉温泉
次は、谷地(やち)温泉。開湯400年の歴史をもち、日本三秘湯に数えられるそうです。
女湯もあったけど、湯船の底からお湯が湧いているという混浴のお風呂も体験。10人も入ればいっぱいの小さな湯船で、おじいさん、あばあさんの間で小さくなって入ってました。いいお湯やけど、のんびりはしにくいかもねえ。
谷地温泉
青森での1日目は蔦温泉旅館。ここは、お湯の質、宿の造り、サービス、立地環境がうまくあいまって、温泉旅館の極みのような宿でした。
まわりを十和田湖樹海と呼ばれるブナの原生林に囲まれ、裏手には蔦七沼が点在しています。
案内されたのは、別館の66号室。ひなびた雰囲気を味わいたくて、トイレ・洗面所が部屋についている西館ではなく、別館にしてもらいました。大正7年築の本館から60段の階段をあがって別館へ。玄関の真上に位置していて、眺めがよかった。
暗くなる前に、沼めぐりをしました。蔦七沼の赤沼以外の6つをまわることができる「沼巡りの小径」は1時間ほどのお散歩コースです。新緑の中の散策、気持ちよかったな。
宿に戻って男女別の「泉響の湯」へ。温泉の話は、あとでじっくりと。
夕食は部屋に仲居さんが持ってきてくれはります。
つきだし、いわなの塩焼き、てんぷら、ほやの塩辛、わさびの花のおひたし、舞茸のおひたし、岩たけと菊の花の酢の物、おさしみはますたろうとぼたんえび、ほたて。
きのこのおひたし、煮物はニシンとふき、生麩、たけのこ。鴨鍋、舞茸の土瓶蒸し、赤カブと菜っ葉のおつけもの、それにスイカがつきました。凝ったものではありませんが、地のものを使った心尽くしのお料理、とってもおいしかったです。
ついつい進んだお酒とごちそうに満足してほどなく、夢の中へ。
翌朝はまた「泉響の湯」へ。ここの温泉のすごいところは、湯船の底のぶな板の隙間からお湯が湯玉になって自然湧出していることです。生まれたての温泉に包まれて、時々ふつふつと湧き上がる湯玉に、体が浮いたような感じになるのがおもしろい。
朝ごはんはレストランで、塩鮭、筋子、温泉卵、ふき、とろろなど。
食後にもう一度、朝の「沼巡りの小径」を散策し、もうひとつのお風呂「久安の湯」へ。こちらは朝が女性専用になります。こんこんと湧き出る極上のお湯に身をゆだねて、ヒバ造りの浴場を見上げていると、日本に生まれてよかったなとつくづく感じます。
ちょっと遠いし、露天風呂はないし、お料理も素朴なもんやし、トイレや洗面が付いてない部屋もあるけど、私にとっては最高のお宿です。
蔦温泉旅館
チェックアウトして、奥入瀬渓谷へ。
恥ずかしいことに、私は「おくいりせ」かと思っていたのですが、「おいらせ」って読むんですね。「おいらせ」って耳で聞いたことはあっても、この字とつながっていませんでした。
ただの観光地かと思っていたら、深い林におおわれた素晴らしい自然と渓流の世界でした。
車窓から眺めたり、二人で散策したり十分に新緑を味わいました。今ごろは紅葉がきれいでしょうね。十和田湖をぐるっとみて、お昼は三越がやっている「ホテルアズヴェール」のレストランへ。十和田牛のカレーも海の幸のスパゲッティもデザートもおいしかった!
(ネットでみたら、このホテル去年の11月に閉館になって、今は「十和田湖レークビューホテル」って名前になっているそうです)
滝ノ沢展望台、虹の湖公園をまわって、2泊目の宿「青荷温泉」へ。湧水館で水出しアイス珈琲を飲んでから、今日のお宿、蔦温泉へ。
青森での2泊目はランプの宿としても有名な「青荷温泉」。
「ぜんまい」という名前のついた6畳の部屋210号室へ、みごとに何もない部屋です。お宿の方が全室に200個を超えるランプを付けるのに忙しくしてはるなか、お湯巡り。
まずは、橋を渡った先にある混浴の「龍神の湯」へ。木枠のガラス窓から滝が見える、雰囲気のあるお風呂でした。隣の露天風呂も混浴。この年、2001年にできたばかりの総ヒバ造りの体育館のような「健六の湯」、ここは男女別なのでご安心を。女湯にだけ露天風呂がついてました。渋いお風呂もいいけど、木の香り漂うこの新しいお風呂も明るく広々として気持ちよかった。最後に男女別の内湯へ。このお風呂が一番よかったな。ひなびた雰囲気でのんびりできました。
夕食は大広間でランプの灯りのもと、鴨のお鍋、山菜のてんぷら、おさしみは、鯉とドナルドソンっていうニジマス。いわなの塩焼き、煮物はホタテ、大根、ふき、にんじん、つくね。ふきの炒めたの、わらびの辛し和え、あかしやの花、みず(山菜)、おつけもの、おうどん。おから大福っていうのも出たってメモにあるけど、どんなもんやったんやろ?忘れました。
部屋に戻って、本を読もうにもランプの灯りだけではちょっとむずかしい。昔の人はこういう生活してはったんやと感慨にふけりつつ、自分たちで布団を敷いておやすみなさい。
翌朝は、内湯と龍神の湯をもう一度堪能して朝ごはん。ホタテの貝焼き、ぜんまいの炒めたの、
いわな?あまご?の甘露煮、生卵、お味噌汁、海苔など。
一泊1万円もしないし、ランプの宿という演出と温泉を楽しむにはちょうどいい宿かも。
青荷温泉
チェックアウトして、津軽こけし館へ。津軽系を中心としたこけしや1億円の純金、純銀こけしなどを見て(昔の「ふるさと創生事業」で作りはったそうです)、隣の津軽伝承工芸館へ。津軽の文化に触れたり、体験したりできるおもしろいとこやった。ここで、自然釉で焼いてはる今井理桂さんの烏城焼、一輪挿しを買いました。
この後、岩木山の麓にある「森のイスキア」に佐藤初女さんをお訪ねしました。失礼なことに、事前の連絡もせずに伺ったのですが、ご本人とお話することができ、3時間半ほどのんびり過ごさせていただきました。温泉のお風呂もすすめていただいたのですが、それはちょっと遠慮して、「朝一番のおいしいにおい」という本とおいしいおにぎりをわけてくださったうえに、本に「食はいのち 生活の基本です」と丁寧な字で書いてくれはりました。
飛行機の時間が迫ってきたので、おいとましましたが、本当に素晴らしい青森の旅でした。
白神山地、不老ふ死温泉や恐山にも行ってみたいなあ。
佐藤初女さんは、1921年に青森市で生まれ、1992年に「自然の中に憩いと安らぎの場を」と岩木山麓に「森のイスキア」を設立。悩みや苦しみなどを抱えて訪れる人々をまるごと受け止め、手作りの料理でもてなし、話を聞き、生きる勇気を与えてはる方です。1995年にドキュメンタリー映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第二番」に出演。
食といのちと生活の大切さを伝える伝道師のような方かなあ。
このblogを書いてて、佐藤初女さんのことじっくり思い出したのも、なんか縁のようなもんを感じます。お元気でご活躍のようで何よりです。私も食生活しっかりせんと。
佐藤初女さんの東京での講演会情報
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