助産婦メモルの日常~Happy Birthな毎日~

398gの命



398gの命

メモルが今まで見た一番小さい赤ちゃんは398g。
その赤ちゃんは助産学生時代、実習にいった病院のNICUにいた。
生まれた時、398g・・・、メモルが見た時はもっと小さかったかもしれない。

妊娠22週、破水によるやむを得ない出産だったらしい。

未熟児であればある程、保育器は高温高湿になる。なるべく母体内にいるのと同じ状況にするためである。
その赤ちゃんは温度37度の保育器内にいた。
くもってよく見えない保育器の中で、小さな赤ちゃんは確かに生きていた。

頭だけが大きく、腕や足は大人の親指くらい。皮膚もまだ膜のよう。
でも胸とお腹を動かし、確かに呼吸していた。

その赤ちゃんにとっては、音も光もすべてストレスになる。
看護も必要最小限のものとなる。

赤ちゃんにとって感染が一番こわい。 大人が全然大丈夫な菌でも、その赤ちゃんにとっては命取りとなる。
メモルは、ただ遠くから赤ちゃんを見つめることしかできなかった。

両親には、生きていける確率が10%、その10%の中で何の障害もなく生きていける確率は5%と説明された。
医師は「どうしますか?」と両親に聞いた。
治療をはじめれば、もうやめることはできない。
一度装着した人工呼吸器や挿管チューブをはずすことは、安楽死への援助となり、日本の法律では認められていない。

両親は「お願いします。」と言った。
そして、赤ちゃんへの全力の治療がはじまった。

その赤ちゃんが今どうなっているのか、分からない。
ただ今も両親の愛に包まれていることは確かだと思う。

母体保護法では妊娠22週未満(妊娠21週6日まで)の妊娠人工中絶が認められている。
妊娠22週ともなると、身長が25~30cm、体重は300~500gほどに成長している。

あの赤ちゃんを殺す、ということになる。

様々な理由での中絶がある。
未婚など経済的理由、暴行等での拒絶することができなかった妊娠・・・。

中絶を全面的に反対!!とは言えない。

でもやっぱり考えてほしい。
たとえ妊娠4週であっても、お腹の中には確かに新しい命のあることを。

そして少なくとも、中絶した後も、その命を思ってあげてほしい。




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