みどりの日記                  ~gardener's hum~

  みどりの日記 ~gardener's hum~

第1回 3月31日



『園芸福祉とわたし』


おはようございます。

みな様はじめまして、園芸福祉士の「ごんだいらあやこ」と申します。

現在、私は庭づくりのアドバイスなどガーデンコーディネートの仕事を中心に、
“園芸福祉士”として植物にかかわる執筆活動、教室活動など、県内各地でさまざまな
活動を行っています。

 さて、みなさまの中には“園芸福祉”という言葉を初めてお聞きになったという方も
いらっしゃることでしょう。園芸福祉とは一体どのような活動のことを言うのか、少し
お話しいたしましょう。

私たちはこれまでお金をいっぱい持つことで、幸せを得ようと考えてきました。
いわば「経済福祉」です。
しかし、ここにきて本当にそれだけで人々は幸せになれるのかと立ち止まって考えると、
また違ったものが見えてきたのです。
『土と交わり自然や歴史文化を感じながら、仲間たちと共に楽しい時間を共有する』
そんな豊かな環境で暮らせることで人は幸せを感じるのではないだろうか。
それが「環境福祉」という考え方なのです。

と、難しいことを言いましたが、一言でいえば“園芸福祉”とは障害のある人も
健常者も年寄りも幼い子供たちも、地域に暮らすみんなで「花や野菜を育てて幸せに
なろう」という活動のことなのです。

人は美しい花をみれば思わず顔を近づけて香りを嗅ごうとしますし、たくさんの収穫物
を前にすれば自然と顔もほころぶものです。

園芸福祉とは人間本来の喜びを植物たちとの生活のなかで体感しようという運動のこと
なのです。

さて、以前私は体調を崩し勤めていた会社を辞め、すっかり落ち込んでしまった時期が
ありました。
そんなとき「気晴らしに」と、しばらく放っておいた自宅の庭を少しずつ手入れし始め
ました。
黙々と土を起こし、木を植え、花壇を作り…、そうして土に戯れる生活を始めてみました。

するとどうでしょう。土や植物に触れているとそれまで複雑に絡んでいた心の糸が解ける
ようにだんだんと気持ちが楽になっていきました。
そして、それをきっかけにどんどん植物との生活を深めていったのでした。
私は、このような経験から「人の心と植物の関係には何かあるのではないか…」と
ぼんやり感じていました。

そんなある日、偶然開いた情報誌の紙面に『園芸福祉士養成講座参加者募集』という
記事を見つけました。
そこには、東京の協会事務局の電話番号が書いてありました。
私は思わず受話器を握り締め、その番号を押していました。

 それからというもの、まるで植物たちに導かれるように様々な出会いがありました。
「あなたの生活にみどりはありますか?」というみな様への問いかけの言葉と
「園芸福祉」との出会いがきっかけとなって、不思議なことに私の「人生の歯車」は、
少しずつ回転し始めたのでした。


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