まずは正しい知識・後編


さて、後編では以下の項目に触れます。

(6)夜8時以降は何も食べてはいけない
(7)水は水太りの原因になるので飲みすぎてはいけない
(8)アルコールを飲む場合、そのぶん主食を減らせば良い
(9)便秘は百害あって一利ナシなので便秘薬を上手に活用する
(10)痩せたいなら食事量を抑えれば良い

まず(6)。これもよく言い習わされている事ですよね。
でも、重要なのは8時という時間でなく、就寝時間に対しての食事のタイミングなので、
一概に8時以降がいけないとは言い切れません。
お仕事の都合で夜遅くしか食事を取れない場合もあると思いますので、
ああこんな時間に食べてちゃイケナイ~イケナイ~と自分を責めすぎる必要はないと思います。

ただし、寝る直前に取ったカロリーというのは運動で使われることがなく、
特に過剰なカロリーはそのまま脂肪に化けると考えるのは、間違っていません。
なので、どうしても生活時間の関係で夕食(夜食)の終了から就寝まで2時間以上空けられない場合、
メニューを工夫して「低カロリーで胃にも優しい」物を選ぶほうが良いです。
たとえば野菜中心のあっさりシチューとパン、
もし米飯でないと落ち着かないなら、具を多くした雑炊などがオススメ。

これはダイエット面だけでなく、健康全般に関わることでもあります。
本来なら睡眠中にゆっくり休んでいるはずの胃腸や肝臓が、
寝る前に取った食べ物を消化吸収分解するために、休みなく活動しなくてはならないと、
寝ても寝足りない、熟睡感が得られないという結果にも繋がります。
特に落し穴なのが甘いもの。
糖分が肝臓に負担をかけるので、寝る前にお菓子が食べたくなるなら、
ダイエットのため健康のため、ほんの少量で終わらせるようにしましょう。

(7)の水太りですが、果たして水太りとは何でしょう。
水にはカロリーがないはずです。それで太る、というのは…?
これは、右足リンパ節の一部切除手術を受けて以来ずっとムクミに悩む私の、
経験談であり仮説でもあるのですが、
「健康な身体が良質な水を飲む限り、水太りは起こらない」のではないでしょうか。

さすがにムクミと戦って10年以上経つので、
最近はサプリヤら整体やら値段高めのこだわり天然水やらの効果か、
昔のようなひどい状態はほとんど起きなくなりました。
それで、じゃあ以前の一時期あんなにむくんでいたのは何故だろうと振り返った時、
もしかして不健康な身体が良くない水しか飲んでいなかったからではないか、と。
確かに体重も当時は今より多かったし、サイズも大きかったです。

ふつう人間の身体は、不要な水分を排出してしまいます。
なので必要以上に体内にとどまるという事はありません。
汗として出てゆく分、また毛穴から蒸発してゆく分もあります。
それでもムクミという形で体内にとどまることがあるのは、
体内で異常事態(アンバランスなこと)が起きているからです。

たとえば腎臓にトラブルが生じて水分の代謝がうまくゆかない場合。
あるいは私のようにリウマチ(慢性の関節炎)があり、症状がアクティブになっていると、
その関節の熱を下げようとして水がたまる=むくむこともあるようです。
また、そこまでシリアスな話でなくても、身近な落し穴もあります。
塩分や糖分を取りすぎると、それを薄めて通常バランスに戻そうとして、
水が体内にとどまってしまうのです。

なので結論。
健康な身体になって、良いお水をたくさん飲みましょう。
水は生き物が生きるのに欠かせないものです。

(8)のアルコールとダイエットについて。
カロリーについて記述した本を見れば、ビール中瓶1本でご飯何杯分、と書いてあります。
だから、カロリー計算の上では「ビールを飲む分ご飯を減らせばイイ」ことになります。
でも、実はスゴイ罠があるのです。
以前、とあるダイエット本(著者は大学の先生)を読んで驚いたのですが、
アルコールのカロリー自体というのは、それで身体が熱くなったり、
アルコールを分解したりする過程で肝臓に消費されたりして、あらかた消えてしまうのだとか?

それより警戒しなくてはならないのは、
アルコールが回った状態で炭水化物を摂取すると、超特急で脂肪に変わるのだそうです。
専門っぽく表現すると「アルコール摂取=炭水化物を脂肪に変える酵素が出ている状態」なんだとか。
つまり平たく言えば、あんなにおいしい飲み会の後のラーメンも、
居酒屋のシメで食べる焼きおにぎりや梅茶漬けも、
シラフの時とは比べ物にならない勢いで脂肪に変わる、ということです。

気をつけているつもりでも飲み会が続くと体重&サイズが増えている、という方は、
上記の1点にあてはまっていないかどうか是非チェックしてみましょう。

(9)の便秘について。
百害あって一利なし、なのは本当のことですが、便秘薬は治療薬ではありません。
ふだん何の問題もない人がたまたま不調なので薬で、という程度なら大丈夫ですが、
コンスタントに薬で出しているような「普通に不調」な方は根本的な体質改善が必要かも知れません。

まず、便秘薬で強制的に腸をカラにしますと腸内細菌バランスが崩れます。
定量では効かず、便秘薬をオーバードーズしているような場合ですと、
細菌バランスどころか腸の内壁そのものが荒れて、蠕動運動をしなくなります。
お薬を飲まないと出ない、という状態を改善する努力もないまま、
お薬に頼り続けるのは本当に良くないことなのです。
以下に、参考のため便秘改善の効果を期待できるものを列挙しておきます。
ただしいずれも短期間に大量に摂るのでなく、適量を数ヶ月にわたって摂ることで、
ベースからの改善に結びつくものだと考えて下さいね。


●コントレックス
……フランスのミネラル水。マグネシウム分が多いので腸内の水分が増やせる。
  ただし超硬水なので味が風変わり。大丈夫かどうかバラ売りで試すべき。
●ヴィッテル
……同じくミネラル水。コントレックスに比べると全然ふつうの味だが、エビアン
  などに比べてマグネシウム分が多いので代替案として。
●ヨーグルト
……できれば「乳酸菌が生きて腸まで届く」系が良い。巷で話題のカスピ海は、
  周囲に何人か実際にオナカ改善経験者あり。
●食物繊維
……サプリもあるし食材からでも。ゴボウや蒟蒻といった根菜類や、果物ではキー  ウィがお勧め。サプリで摂る場合は、水分を伴わないと意味ナシ。
●オリゴ糖
……腸内の善玉菌の大好物なので、これを定期的に摂ることで腸内細菌バランスが
  改善されてゆく。
●植物性の発酵食品
……身近では納豆やキムチ、ぬか漬けなど。ヨーグルトに代表される動物性のもの
  より、植物性の方が胃酸に強く、有効成分が腸まで届く。

(10)のいわゆる「食べなきゃ痩せる」について。
これはつまり、ある意味では考え方の問題かも知れません。
ダイエットのゴールを「体重やサイズの減少」とするなら、短期での過激な絶食もアリでしょう。
それに比較的近いのがハリウッドミラクルダイエットジュース類ですね。

極端に摂取カロリーを落とせば、一瞬痩せるのは可能だと思います。
でも、3日間オレンジ味の飲み物と水しか飲んでいなければ、
その期間が終わってさあ体重も減ったし通常の食事に戻そう、という時に、
やっぱり色々食べたい物がありますよね。
絶食みたいな方法で痩せちゃえと考える人が、どこまでリバウンドしない食生活の工夫をできるのか…
ていうか、それができるならダイエットジュース飲む必要ないし。
というのが私の正直な思いです。
重要なのは「食べなきゃ痩せる」で痩せた後、如何にしてキープするか、ではないかと。

例えば今まで1日で3000kcal摂取していた人が2000に抑えれば、太るのが止まります。
運動を加えつつ1500まで落とせば、ほぼ必ず痩せられるでしょう。
(栄養バランスが取れているという前提で)
では1000に落としたらどうなるかと言うと、倒れて入院か、リバウンドで太ります。
日本人が最低限必要なカロリーは1200とされています。
一番厳しい糖尿病の治療食でも、1200以下にはしません。

ダイエット目的でそれ以下の生活をすると、身体が慢性的な飢餓状態となります。
そうなった場合、人間の生存本能の働きで、食べろと指令が下ります。
食べないと死ぬかも知れないと本能的に感じたわけですから、その指令は強いです。
絶食または極端な節食の後にリバウンドが来るのは、おもにこういった仕組からです。
決して意志が弱いからではないですよ。

あるいは摂取カロリー低下によって、基礎代謝が低下することもあります。
生存本能が安心するほど十分なカロリーがコンスタントに入ってこないと、
「あんまり使わないで蓄えよう」と判断され、基礎代謝を減らすことで消費カロリーを少なくする、
つまり、低燃費な=カロリーを消費しにくい=痩せにくい身体になってしまいます。

以上の理由から、私は「食べなきゃ痩せる」には賛成しません。
一応自分に関してはオヤツ食べなきゃ痩せる、のは分かっていますが、
それでも重要なのは、繰り返しますが痩せた後どうやってそれをキープするか、の方だと思います。


(2004.3.29更新)


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