みやびつづり

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2011.06.22

「若くないけど　若草物語」　第１章　いざ、お屋敷に潜入の巻

(10)

テーマ：連載小説を書いてみようｖ(10175)

カテゴリ：若草物語

　あらら？昨日の「うわさ」では、“美人”が付いていなかったけど、今日は付いているじゃない？

　それって、どーゆーこと？

　実はね、昨日、四姉妹からクレームが付きまして、

　『美人が抜けてるわよ』なんて、言われてしまいましたの。

　あ、これも自己申告ですから、あんまし気になさらないでくださいね。

　ではでは、ミヤコご案内で、こっそりと裏門から潜入でございますよぉ～

　「ギコギコ、ギィー・・・」（←　裏門とは言え、かなりの構えの門を開ける音）

　と、お屋敷の中に入るやいなや・・・

　鳴り響くこの音は何？

　『ちゃんちゃらり～　ちゃちゃちゃん～　たらりぃ～』

　あ、スミマセン。

　次女のジョーからの携帯が・・・あ、呼び捨て、なのって？気になさらないでね。

　お屋敷が広すぎるもんですから、ご用の場合は携帯が鳴るんですよ。

　ちょっと失礼いたしますわ。

　「はい。ミヤコです。」

　「ん、もぉ～！なんなんなん？　ん？

　　ベスへの宅配便が、ジョーのとこに着いてしまったっぁ～、ゆうとるんですね？

　　そりゃあ、お屋敷が広くて玄関が４つもあるんじゃけぇ、仕方ないよねぇ。

　　ジョーから、ベスへ持って行ってもらえんですかね？」

　あああああ！

　世間の皆さまっ！

　ここで、大幅に“引いて”しまわれましたね？

　引いてしまった問題点はきっと、みっつ。

　まずは、平成の日本でありながら、“ジョー”だの、“ベス”だの、名前が日本名でないこと。

　そして、玄関が４つもあること。

　さらにさらに、都内某高級住宅街でありながら、どう聞いても、標準語ではないこの会話。

　『なんなんなん？』を、正しいイントネーションで想像できた、そこのアナタ！

　そうでございますの。

　このお屋敷の中での公用語は、某瀬戸内海地方の方言なんでございますのよ。

　そりゃどうしてかってなお話しは、追々いたしますが、まずはその前に、

　四姉妹のお名前でございます。

　マジ率直に言いますとですね、この四姉妹のお嬢さま方には、

　普通の日本のお名前があるんでございますのよ。

　それなのに、子供の頃にお読みになった「若草物語」に、めちゃ影響されちゃって、

　なりきっちゃってるわけなんですわ。

　しかも、キャラも「若草物語」と、かぶってるんですわよ。

　ってことは、他の二人はっ！

　そうそう、モチロン、「メグ」に「エイミー」ですわ。

　ってなわけで、ネットショッピングも、戸籍上の名前を書きゃいいもんを、

　お屋敷内での呼び名を書くもんだから、宅配便のお兄さんにも、

　『こちらのお屋敷では、外国の方もお住まいなんですか』なんて、聞かれる始末。

　まったく、ミヤコは恥ずかしいったらありゃしないですわ。

　もう若くないくせに、若草物語になりきっているだなんて。

　でも、こんなんで、ビックリなさっていては、先に進めませんわよ。

　まだここはお屋敷の外側のお庭ですの。

　本格的にお屋敷の中へとご案内しながら、残りのふたつの謎（？）も、お話いたしますわね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく

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