不動産営業マンの今日のおすすめ物件!

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僕の色



泣いても涙は見せないで。

凛と前だけを見据えて。

そんなひとを目指してた、夢見てた。


何より強くて。

何より優しくて。

何より輝いていて。

そんなひとを目指してた、夢見てた。


ダメだね、僕は。

全然そんなひとになれそうもない。

だって僕は弱くて。

そして誰よりも泣き虫で。


遠い理想へと。

歩む足はすくみ。

歯がカタカタと震える。

指先は冷え切っていた。


怖い、そうつぶやく。

先の見えない。

空を見上げ、涙こらえる。

そして何かに躓き転ぶ。


泣いてしまう。

僕はすぐに泣いてしまう。

強くなろう。

そう思っていたのに。


「君は君だよ。

他の誰でもない。

君は君しかいない。

君は君にしかなれない。」


誰かの言葉がよぎる。

僕は僕?

僕になれるのは、僕だけ?

僕は、僕は・・。


色の無い世界をさまよう。

誰かの色に染まりたくて。

誰かが作った道を歩いていた。

僕は僕を捨てようとしていた。


じゃあどうしたらいいのさ?

どこに行けばいいのさ?

何で、どうして?

僕はまた泣き始めた。


空は笑ってる。

きらきらと僕を照らしている。

そしていつしか僕の涙も乾く。

そして見据える先は。


何もなかった。

道なんかなかった。

誰も足を踏み入れていない。

そんな光景だった。


怖いよ。

何か出てくるかもしれない。

ケガするかもしれない。

そう思うと、前へは進めなかった。


ただ何も考えられず、うつむく。

そして震える手を握り締める。

何度も一歩を試みた。

何度も、何度も。


だけどダメだった。

きっと僕には無理なんだよ。

そしてまた逃げる。

また涙が頬をつたう。


こんなんじゃダメ。

わかってるから余計に悔しい。

強くなりたい。

なんて甘く考えていた。


声が出なくなる。

前が見れなくなる。

足が地面に張り付いてしまう。

向かい風にくじけそうになる。


心臓の音が聞こえる。

鮮明に。

力強く。

生きている。


僕は生きている。

だから何でもできる。

ふとそう思った。

そして顔を上げた。


強い日差しだった。

風で目が乾きそうだ。

足が重い。

出るのは弱音ばかり。


それでも変わりたいと思った。

一歩前へ。

踏み出す右足。

そして歩みを始める。


その時、追い風が吹いた。

僕を支える数多の声。

相変わらずの向かい風にも。

僕は耐えることができた。


何も怖くなかった。

笑みさえこぼれてしまう。

僕は歩いてるんだ。

誰の道でもない、僕の道を。


新鮮だった、何もかも。

この空気も。

この景色も。

この胸の高鳴りも。


僕は僕。

なんとなくわかった。

ような気がした。

そう、僕は僕なんだね。


まだ確信はない。

でも実感がわいてくる。

僕は僕だけの道を歩いている。

僕だけの道を。


導のない道のり。

不安はいっぱいあった。

でもそれ以上に。

僕は多くの可能性を感じていた。


ゆっくり、でも確実に。

僕は前に進んでいる。

誰かの真似事なんかじゃない。

僕は自分のいろを探すんだ。


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