ももか日記             

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九死に一生<その2>



桃香は左目が病気になり眼球が弱くなっている為、エリザベスカラーをずっとつけていました。
痴呆の症状がひどくなり頭を床につきそうなくらいグッと下げ歩くようになってからは
エリザベスカラーに前足がひっかかり転んだり頭から前のめりに倒れて首が真下に
90度に曲がってしまって床にカラーが吸い付くようになる為、呼吸がつまってしまったり
危険な事が増えてしまいました。
倒れ方によってはうまく体が横になるようにもがいて事無きを得ることもありますが、
前のめりに倒れた場合、自分ではピクリとも動けず数秒のうちに助け起こさないと
窒息死してしまう可能性もあります。
桃香49
        ↑
   <こんな感じです。写真撮る前に助けろ!って感じなんですが…>

なので私も母も慎重に慎重を重ねていたのですが、その日はたまたま事件が起こってしまったのです。

私は桃香の介護で徹夜だった為、その日、朝になってから桃香を母に託し睡眠をとっていました。
その間、母に桃香を看てもらっていたのですが母も主婦業の傍らで
看てくれている為、1分1秒足りとも桃香から目を離さずにいるということは
不可能なのです。
もちろん、桃香の状態をわかってくれているので何分も放置するということはなく
桃香を気にしつつ夕飯の支度をしていたそうです。

その時桃香はクッションに頭を乗せ眠っていたので母はそのまま食事の支度を
続けていたのですがそのほんの数分後、桃香を見ると、すでに前のめりに倒れカラーが
床に吸い付く形で桃香は動けなくなっていたそうです。

助けに行って起こしかけたところ、桃香の状態がいつもと明らかに違っていて
呼吸も普通ではなく、目はカっと見開き一目みて「危ない!」と思ったそうです。

私は母の悲鳴に近いような私を呼ぶ声で起こされ、直感的に「桃香に何かあった!」
と思って走って桃香のところへ行きました。

私が見たときの桃香の状態は、目も口もカっと開き、泡のようなヨダレが流れ、
舌が紫色で、呼吸がおかしくていつもは一定の呼吸に合わせて動く体が変なリズムで
胸のあたりが上下していて、失禁もしていて手足は小刻みに震えていました。

「あ・・・」一瞬にしてこれはマズイかも・・・
と思ってかなり焦ったのですが、私の横でパニくっている母の事もあったので私は
とりあえず桃香の名前を呼びながら体をマッサージするようになでて
何とか呼吸を落ち着かせようとしました。

そしてカラーも外し楽な姿勢に寝かせ直して頭をずっとなでていたら
しばらくして呼吸が乱れながらも、だんだんと規則性をおびてきて、
目も焦点が合うというか、光りが戻ってきたというか「もしかして大丈夫かも…」
と思えるような感じまで落ち着いてきました。

それからしばらくして呼吸も整ってきたのでお水を飲ませると
ゴクゴク飲んでくれて、「あぁもう大丈夫」と思いました。
その後しばらく桃香はショック状態というか放心状態のままボケーっとしていましたが
ここでも桃香は助かってくれたのです。

母曰く、目を離してたのはほんの10分程度だったらしいのですがいつからあの状態に
なったのかはわからないそうです。

あの状態になると首が思いきり締まってしまい数分で危ない状態になってしまうと思うので
母が早くに発見してくれて本当に良かったです。

母もかなり驚いたようで、桃香の横でオロオロしてて可哀想でした。
桃香の形相があまりにすごくて怖くて何も出来なかったと言っていました。
とにかく早く私を呼ばなくちゃ!と思ったそうです。

桃香の介護を手伝ってもらっている以上、私がいない間に何かが起きても母を責めるつもりは一切ありません。
むしろ、怖い思いをさせてしまって申し訳なかったと思っています。
確かにあの桃香の形相を目の前で見てしまったら怖くて動けないというのもわかる気がします。
私も桃香じゃなければ怖くて固まると思うのですが桃香に対しては感情より先に
体が動くので全てが終わってからショック状態に入ります…
この時も全て終わってからドキドキして冷汗をかいちゃいました。

でも、うちの桃香はホントに良い子です!
あそこで死んじゃったら、母は自分を責めるでしょう。私がどんなに母のせいじゃない!と言ったところで
その思いはどこかで母の中に残ってしまったと思います。
私も介護を手伝ってくれている母にそんな思いはさせたくありません。
なので桃香を誉めてあげました。
「よくぞ生きていた!!!よくぞ頑張った!」と。

苦しかったと思いますが桃香は本当に頑張りました。

結局その事件以来エリザベスカラーはつけなくなりました。
でも今は自力で立ち上がる事も出来なくなっている為、もう同じ事は起こらないと思います。
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