産婦人科医の生活

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子宮筋腫

<子宮筋腫>
子宮筋腫とは子宮の中に出来る筋肉のこぶです。 良性 なのでそれ自体が命に関わるようなことはありません。発生率は、35歳以上の女性で約20%といわれています。
筋腫だけでは症状は起きませんが、子宮を内側に圧迫する場合はいろいろな問題を起こします。
1. 過多月経 、不正出血、頻発月経→ 貧血 (息切れ、めまい、顔色不良など)
2.骨盤内にある膀胱・直腸や神経などを圧迫→頻尿、排尿困難、便秘、腰痛など
3.筋腫が受精卵の着床をじゃまをする→ 不妊・流産
などの症状があります。
筋腫は女性ホルモンの作用で大きくなるため、閉経するまで小さくはなりません。症状が強い場合や成長属度が早く、悪性との鑑別が必要な時には治療が必要です。

<手術>
筋腫核出術 :子宮を切開し、筋腫をくりぬきます。筋腫を摘出した子宮は正常な形に形成します。対象としては今後の妊孕性(にんようせい:妊娠の可能性)を残したいという希望がある方に行いますが、再発の可能性があります。子宮の内側に飛び出したようなものは経腟的に切除することもあります。

子宮全摘術 :子宮を摘出するため再発の危険性はありません。妊娠を希望されない方に行います。卵巣は正常な場合切除しないため、術後に更年期障害などになる心配はありません。

最近では 腹腔鏡 という内視鏡を用いて上記の手術を行うことが出来る場合もありますが、適応には限界があるため、今後も手術方の改善が期待されます。

<ホルモン治療>
1次的に閉経状態(女性ホルモンがない状態)を作り、筋腫を小さくします。副作用として更年期症状が出たり、骨量が低下したりする可能性があるため、通常は半年しか行えません。治療を終了すると筋腫は再度大きくなります。

<子宮動脈塞栓術>
足の血管からカテーテルを通して、 筋腫の栄養血管を止めてしまう 治療です。体への負担が少ないため注目される方法ですが、筋腫の大きさや個数に限界があり、治療後の妊娠については安全性が確立していません。

<子宮内膜アブレーション>
子宮の内膜を焼いて、月経が起こらないようにします。妊娠の希望がなく、月経にに関するトラブルのみを解決したい場合に行います。筋腫は小さくなりません。

治療法は患者さんの年齢、妊娠希望の有無、症状、筋腫の大きさや成長速度を考慮し選択され、いくつかの治療法を組み合わせることもあります。


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