Anima-Town

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第18話 方舟

人間は脳の容量の70%を使っていないと言われている
人間の持つ不思議な力はこの部分に秘められると言われている。
その使用されることのない脳の70%はこう呼ばれる・・・
『NIGHT HEAD』・・・・・・・



第18話「方舟」


【STORY】

双海芳樹の記録を撮られたビデオが流れ出す。
自分の力が覚醒されたのは大学生の頃。それ以来、力は強力になって行き、今では自分自身制御出来ないくらいの大きな力になってしまったらしい。パラドックスを起こす自分の能力。やがて双海は、アーク・コーポレーションにスカウトされ自分の能力が進み過ぎてしまった。やがて見えなくては良いものまで見えてしまい、双海翔子との接触してしまう。アークは、翔子との接触を嫌い、翔子とのアクセスを切断されてしまった。この頃からアークの存在感を疑問と不信感に苛まれ、双海はやがて訪れる二人にこのビデオを残していたのだった。

「誰かが来る・・・」

直也はビル内の侵入者を察知した。やがて、扉が開き、そこに立っていたのは記録係の浅野だった。
「一緒に来いって言ってる。抵抗すれば女の命は保証しないって。兄さん・・・行くしかないよ────。」
二人は浅野に連れられ、ある場所に向かう。そこは、アークの本社ビルだった。二人を迎えたのは、坂口という男だった。
彼は、二人にアークの存在について説明する。社長である奥原晶子は予知能力者で、その能力を生かして会社を大きくして行った。今は政界とも太いパイプで繋がっているのだと。
「アークの目的は未来を良い方向に導く事・・・人類は破滅に向っています・・・中にはそれを変革と呼ぶ人も居ますが・・・」その言葉に直也は反応する。
「変革と破滅とはちがうはずだ」
「物質文明がなくなるという事は多くの人にとって破滅するという意味だ。そうでしょう」
「違う人は破滅なんかに向ってない」直也は坂口に抵抗する。その言葉に動じず坂口は続ける
「この世界は物によって成り立っている。目に見えるものが価値を持っている。財力や権力をどれだけ集められるかによって地位と名誉が決定される。その価値観が崩れる事を恐れている人間が一杯居る。今の価値観が崩れることは、彼らにとって破滅だ。もし、純然たる精神世界などというものがやってきたら、今までの利害関係は崩壊してしまう。百匹目のサルですよ。世の中には百匹目のサルが溢れている」
この言葉に怪訝な顔をする二人。そんな時、坂口の携帯が鳴った。
その一瞬に双海芳樹の意識が直也に流れ込む。『霧原直人・霧原直也は消去』そのメッセージを読み取る直也。
「兄さん。このビルの何処かに双海さんが監禁されている」
坂口は、電話の相手との会話が終わり、自分の能力が『反能力者』と告白する。
「気を付けてお帰りください。さようなら・・・」意味深な言葉を残し二人と共有できなかったと惜しむ坂口と別れる。

しかし、二人を狙う刺客者が待ち構えていた。研究所で襲ってきた、あの3人だった。
「此処にはエネルギースポットもないかならね」
三人は余裕を漲らせていた。直人と直也そして3人は対峙する事に。しかし、いきなり部屋に砂が溢れだし、みるみる5人は砂の中に埋もれていく。
黄金に輝く太陽の光。見渡す限り砂漠の山。
「此処は?」
「翔子だ。翔子が僕たちをここに運んできた。」
それは、翔子が二人に会う為の出来る限りの力を振り絞り、自分の世界を作りあげたものだった。
刺客の3人は、二人の姿を見て、駆け寄ってくる。そしてサイキックな戦いが始まった。しかし、彼らの攻撃は、二人を倒す事は出来なかった。
「此処にもエネルギースポットがあるのか・・・」三人は驚愕する。
「翔子と僕たちは繋がっている。だからこのエネルギーは僕たちに有利なんだ」直也は直人に告げ、次の瞬間、直人は一撃を三人に与えた。
それは、彼らを灰と化する大きな力だった。やがて、かれらは砂になり消えていく。
「やらなければ、こっちが殺されていた。こんな事になって・・・やつらと同じ事をしているのと同じだ。戦いは悲劇しか生まない」
「うん・・・解っている。」兄の悲しみを受け入れる直也。また二人は新しい苦悩が始まってしまった。そんな時、翔子が二人の前に現われた。
「翔子!!」直也は翔子に駆け寄り抱き寄せる。「やっと触れた・・・」翔子もまた直也を抱き締める。直人はその光景をずっと見つめていた。

「私は行かなければならない。・・・あなたたちとはもう会えない」
「もうこの形を保つ事ができない。この世界も今日で終わる。・・・破滅なんかなくても変革は訪れる。変革には破壊的な力は必要ない。
二人にはやれることがある・・・」
「どういう事?君には色々聞きたい事があるんだ・・・」
「それは双海芳樹さんが、語ってくれる。彼は私と違う形でこの世界に残る。」
そして直人に手を差し伸べ、こう伝えた。
「あなたの苦しみは豊かなものから生まれる。あなたの感じる悲しみは、心の貧しいものでは感じられない。どうか心の闇を見つめないで。
あなたは、きっとその試練を乗り越える強さを持っているはず・・・」
翔子はそう言い残し、二人の前から消えていき、太陽に向って蝶の化身となって羽ばたいていった。

現実に戻ってきた直人と直也。ロビーには双海芳樹が残した残像の足跡が。二人はそれを辿り、ある部屋へ。
そこには、1台のPCが置かれていた。再び、双海の残像が残っていた。しかし、その残像は画面に消えていく。画面には、ARKが調査していた
人々の情報が流れていく。そこには、今まで二人が出会った、麗子や昌浩・そして神谷の名前までも登録されていた。みんなARKが仕組んだ罠。やがて画面一面に芳樹の顔が浮き出る。やがて彼は、二人にメッセージを残すのだった。

「頼む・・・あの子を守ってくれ・・・ ・・・ ・・・ミサキ デ マツ」




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