ニューヨーク。銀行の貸金庫より出た老人は、雑踏の中、出してきた小箱をある男に手渡し、直後交通事故死した。この事故を近くでマラソン・トレーニング中のベーブ(ダスティン・ホフマン)は見ていた。彼の崇拝者はあのアベベであったが、ランニング中の事故は不吉なめぐり合わせの始まりだった。
パリは高級ホテルの一室。ベーブの兄ドク(ロイ・シャイダー)はアメリカ政府機関(ディビジョン)の男。例の箱を売り込もうとしたが、常に命を狙われていた。一方南米ウルグアイにいるナチの残党ゼル(ローレンス・オリヴィエ)は、ニューヨークでの老人の事故死を知るや、ニューヨークへ飛ぶ。
ある日ベーブは図書館でエルザ(マルト・ケラー)と知り合うが、公園でデート中 2
人の男に襲われる。ベーブがこの事件を手紙でドクに書いた数日後、ドクが帰って来、エルザを交えた 3
人は食事をするが、彼女がドイツ人と知りドクの態度が変った。
その夜ドクはゼルと会う。彼はゼルの運び屋も兼ねていたのだが、弟に手を出すなと言った矢先、ゼルにナイフで刺され死ぬ。自分の下宿にたどりつき息切れた兄に驚くベーブ。そして、入って来たドクの同僚ジェニウェイ(ウィリアム・ディベイン)に兄の正体を知らされ再び驚かされるのだった。
やがて公園での 2
人の男にベーブは誘拐され、地下室に連れこまれ、拷問をうける。銀行の貸金庫にゼル自身が宝石を受け取りに行っても安全かどうか、ベーブから聞き出そうとしたのだ。あまりの苦痛に気を失ったベーブをジェニウェイは助け出すが、それもベーブから秘密を聞き出そうとするワナ。ジェニウェイすらも敵なのだ。
手下のすきをつき日頃のマラソンの訓練を生かしやっとの思いで、脱出に成功したベーブは、エルザの協力の下、郊外の家に隠れるが、そこはゼルの兄の家。エルザも一味の 1
人だったのだ。ベーブは彼女の正体を知り驚くが、再び現われたジェニウェイの一味と死闘をくり返す。
そして勝ち残ったベーブは貸金庫からナチ時代の遺物のダイヤを持ち出したゼルと公園の池の前で対する。拳銃を彼をむけ、ダイヤを呑ますベーブ。格闘の末、階段からころげおち、自らのナイフで命をおとすゼル。冷然とした顔のベーブ。いつものマラソンコースを男達が行くのを尻目に去って行く彼だった。
(KINENOTE)
ナチの残党を演じる
ローレンス・オリヴィエの悪役ぶりが秀逸です。
年をとっても、それに応じた風格ある役作りです。
観るのは3度目ですが、結末はわかっていてもこわい映画です。
余談ながら、子どもの頃当時の歯医者は炎で器具を消毒していました。
それがなんとも不気味で、歯医者に行くのがこわかったです。
今でも歯を削る音は苦手です。
多くの人が持つ歯科医のイメージが、この映画の拷問シーンを一層怖いものにしているように感じました。
戦後77年こうしたナチの残党ものもおしまいでしょう。
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