そういちの平庵∞ceeport∞

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高田渡



季節季節が素通りする
来るかと思って見ていると
来るかのように見せかけながら
僕が居る
代わりにというように
街角には誰も居ない

無駄骨折に
まみれて座っていると
これでも生きているのかと
思うのだが

季節季節が素通りする
着ている毎日
見返れば僕はあの
あの頃からの浮浪者

季節季節が素通りする
着ている毎日
見返ればボクはあの
あのころからの浮浪者

その昔、高田渡というシンガーが一世を風靡する。

浦河に住んでたころ職場の人が音楽好きで教えてもらいCDなどを借りてはじめて聞く。

もう10数年前の頃だ。

数年前にベルウッド・レコードの30周年記念BOXシリーズの高田渡編を購入する。

ディスク1がキング・レコード移籍第1弾アルバムとなった『ごあいさつ』(71年)、ディスク2がジャグ・バンドの武蔵野タンポポ団を経て発表された名作『系図』(72年)、そしてディスク3が前作『系図』の延長線上ともいえる『石』(73年)という内容。

細野晴臣、鈴木茂、松本隆が参加した『ごあいさつ』とでも言えばその存在感が伝わるだろうか?

このアルバムで一番好きなのが・・・・

「生活の柄」         詩 山之口貘

歩き疲れては、
夜空と陸との隙間にもぐり込んで寝たのである
草に埋もれて寝たのである
ところかまわず寝たのである
寝たのであるが
ねむれたものでもあつたのか!
このごろではねむれない
陸を敷いてはねむれない
夜空の下ではねむれない
揺り起こされてはねむれない
この生活の柄が夏むきなのか!
寝たかとおもふうと冷気にからかわれて
秋は、浮浪者のままではねむれない。


大正から昭和中期の添田唖蝉坊・添田知道親子の壮士演歌の流れを汲み時事の話題を辛辣に滑稽に取り上げたり、金子光晴、草野心平、山之口貘らの現代詩にフォークのスタンダードを組み合わせ全く別物をつくり上げたりと。

ミミズのうたというのもあって・・・・・

目ない 足ない おまえ ミミズ
暗たん人生に
何の為生きるの

頭どこ 口どこ おまえ ミミズ
話せるものなら
声にして出さんか

心ない 涙ない おまえ ミミズ
悲しいのなら鳴いてみろ
苦しいのなら死んでみろ

生まれて死ぬだけ
おまえ ミミズ
跡形もさえ消され
残すものない憐れな奴

おい雄か やい雌か
おまえ ミミズ
踏んずけられても
黙ってる阿呆な奴

判ってる 知ってる
おまえ ミミズ
先っちょ気持ちばかりに
モコチョコ動かすだけ

ニョロニョロ 這いずり
おまえ ミミズ
チョロ遠く出過ぎて
日干して果てた

死刑囚無知の涙を書いた永山則夫を拘置所まで尋ね録音した曲などもあり。

聞くたびに深いなあとおもう・・・・

自分が詩を書こうとすると必ず意識する人。

高田渡。

年収30万などという時期もアリ。

彼を知る漫画家が浦河に移住してきたり・・・・

北海道に来てから色々あったなあ・・・などと思いつつ。

今日は「石」をひたすら聞く。

詩やサウンドやイメージが僕の作りたい楽曲のイメージに一番近いのだ。

和風ホーボーブルースみたいな曲を書きたいのだ。


2005年4月3日、北海道白糠町でのライブの後に倒れて入院。4月16日、入院先の北海道釧路市の病院で死去。死因は心不全。享年56才

ほぼアル中の平均寿命などといわれる50代前半に近い死。

中島らもともども

ああ・・・やっぱりてな中毒者の死に方だったけど。

2人とも良い仕事したなあ。


















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