七夜式のやりたい放題なブログ

第一話 少年




「ふむ、どうやら僕たちの計画が実行に移せる時が来たみたいだ。」


科学者が言った。科学者の名前はジェイル・スカリエッティ。


「やっと来たか。この時が。17年も待ったのだ。成功させねばならないな。」


そういったのは大統領補佐、レオン・三島。


「でも私達の夢は、1人の少年によって左右されるのね。」



マネージャーのグレイス・オコナー。


「ふむ・・・あの子に、僕等の全てが注ぎ込まれているんだ。面倒な事にはしたくない」


「でも、あの子には『聖痕』があるから、言う事を聞かせるのは簡単でしょ?」


「ああ、簡単だ。だがあれは見境無くいろいろなものを『壊す』。下手をしなくても僕らを襲ったりはしないが、手がつけられなくなってしまう。そうなっては計画が完遂出来ない可能性も出てしまう」


「私達の未来は、たった一人の、17歳の少年にかかっているのか・・・」


レオンはうなだれた。


「おっと。時間が危ない。私はこれで失礼する。これ以上は流石に怪しまれる」


「じゃあ私も行くわ。『時空の妖精』のマネージャーは多忙なの」


「わかった。それじゃあ、また来週」


そういって、レオンとグレイスは研究所を後にした。


「っふふふふ・・・遂に、遂にだ。僕の悲願が叶う!!っふふふふふ・・・ふはははははははは!!」


1人の科学者の嗤い声が、研究室に木霊していた。







                    第一話 少年


「また俺の勝ちだな。約束通り奢って貰うぞ」


「うわ、またかよ。だれかコイツに勝てる奴はいないのか!!」


・・・「ミッドチルダ」。


そこは魔法が発達した次元世界。


そこの魔導師育成学校の敷地の芝生で、少年早乙女アルトは、クラスメイトと魔法で勝負していた。


「なあアルト姫」


「・・・っ!!姫って呼ぶなって言ってるだろ!!」


アルトは激怒した。


理由は単純で、『姫』を付けて呼ばれたからだ。


姫を付けて呼ばれる理由は、容姿が女に見えるからだ。顔つきはもちろん、髪の毛は銀色の長髪。


彼は女に見られることに過剰に反応していた。


「ごめんごめん。でさ、アルト。どうやったらお前みたいに強くなれるんだ?」


「そう言われてもな。・・・解らん」


アルトには本当に解らなかった。


実際は本人の戦闘に対してのセンスなのだが、本人に気付く由はない。


今自分が使っているデバイス『バスターソード』は、親の形見らしい。


アルトの両親は、アルトが生まれてすぐ、事故で亡くなったと聞いている。


だが、アルトの両親は名の知れた魔導師らしく、事故は有り得ないと噂されていた。アルトはその真相を確かめるべく、親戚の家を出てこの学校に入った。そして、『時空管理局』に入るときめた。


そのため、『空戦魔導師』コースに入り、トップクラス生に与えられるブースター、『アーマード』授与を目指した。


アーマードパックは、バリアジャケットに装着し、装甲としての能力を底上げする。


アルトのデバイス、『バスターソード』は、古代ベルカ式。


巨大な剣で、腕に魔力を通さなければ持つことはまず出来ない。


刀身自体に魔力を這わせ重量を換え威力や速さを調節したりも出来る。


―――放課後


「なあアルト。あの遠くから来るのは何だ?」


「ん?待ってくれ。・・・あれは、何だ?」


アルトは『眼』を持っている。


『眼』とは、『目』と違い、特別な力を保持している。


たとえば、視たものを『石』にする『石化の魔眼』等が代表例として挙げられる。


『眼』は、普段『目』になっているので、魔力を通すだけでその能力を発動させられる。アルトは稀で、左右違う『眼』を持っている。


右には遠くの物を見つける『千里の魔眼』を、左は極稀で、10万年に1人しか持たないとされる『直死の魔眼』。この眼はあらゆる物の『死』の線を視る事が出来る。今アルトは右目の千里の魔眼だけ使用していた。


・・・見える物は、紅い、虫。だが大きい。軽くアルトの背丈はあるだろう。数字にすると2mはあるだろう。数は50はあるかもしれない。


学校が、町が火で包まれたのは、そんな時だった。



 To Be Continued...


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: